オリンパスの「STYLUS 1」は、ズーム全域開放F値F2.8を実現した35mm判換算28-300mmの光学10.7倍ズーム搭載機だ。このレンズは新開発のi.ZUIKO DIGITALレンズで、その特徴は高画質とコンパクトさ、そして開放F値F2.8通しである点だ。イメージセンサーは1/1.7 型のCMOSセンサーで、有効画素数は1200万画素と実用性と高画質のバランスの取れたものっとなっている。
さて、i.ZUIKO DIGITALレンズに話を戻そう。このレンズは5枚の非球面レンズとHR(高屈折率)レンズ、そしてオリンパスが世界に先駆けて量産化したDSA(大偏肉両面非球面)レンズを高画質のために惜しみなく投入したレンズとなっている。こうしてこだわりの28-300mm F2.8というレンズが実現されているわけだが、この豪華なレンズがコンパクトなボディーにピッタリと収納されることに驚く。
ボディーに収まったレンズはレンズキャップいらずの設計となっており、使い勝手にもこだわっている。高倍率ズームを搭載したコンパクトデジタルカメラは、レンズがついた一眼レフのような丸い形状をイメージしがちだが、STYLUS 1はどちらかというとレンズを取り外した状態のミラーレスカメラのような薄くてスッキリとしたデザインをしている。どことなく同社のOM-Dのような出で立ちは、従来の高倍率ズーム機の固定観念を払拭する新しい価値観を感じずにはいられない。
実際に撮影をしてみると素早くピントが合う高速AFに感心する。とにかくレスポンスが良いのだ。そして300mm F2.8という明るいレンズが片手で扱える点が面白い。イメージセンサーが小さいため35mmフルサイズのような大きなボケを得ることはできないが、標準的な高倍率ズーム機では表現できないボケの演出がSTYLUS 1なら可能となる。
F2.8通しと言うことで、得られる大きな光量によってシャッタースピードを稼ぐことができる。これは望遠撮影時の強い味方となる。これがSTYLUS 1の強みと言って良いだろう。動く被写体を止める、暗所での望遠撮影など様々なアイディアをコンパクトなボディーで実現可能となった。さらにこのレンズにはレンズシフト式の手ブレ補正が搭載しているので、安定した写真撮影が楽しめるのだ。
STYLUS 1の素晴らしいところはレンズだけではない、タッチパネルを搭載した背面ディスプレイや144万ドットの見やすい電子ビューファインダー、カスタマイズ性にすぐれた前面のコントロールリングなど撮影をアシストする機能が充実している。
使ってみて良いと思ったのが、前面にあるコントロールレバーだ。本体のデザインにマッチしたコントロールレバーは、AF/MFの切り替えに割り当てることで高級機のような感覚で操作可能となる。また、モード切替にあわせてコントロールリングの機能も切り替わるので、操作に関しての自由度の高さと無駄のない操作系が素晴らしい。
STYLUS 1は、コンパクトデジタルカメラとミラーレスカメラの技術とデザインのいいとこ取りした新しい価値観のあるカメラだ。ボックス型の高級コンパクトとは違った躍動感があり、色々な所に持ち出したいと思える実力をもつオリンパスの意欲作だ。
Photo by MAP CAMERA Staff