Kasyapa for Leica|(カシャパ フォー ライカ)東京新宿のカメラ専門店マップカメラが提供するLeica専門サイト » Summilux 35mm/f1.4 2nd 
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LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:1600 / 使用機材:LEICA M + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model


クセ玉―――そう聞いてあなたはどのようなレンズを思い浮かべるだろうか。
如何とも表現のし難い独特な描写が、撮影者を悩ませ、そしてそれ以上に何事にも代えがたい慶びを与えてくれる。『Summilux 35mm/f1.4 2nd』は、その言葉を体現したようなレンズだ。

35mmのSummiluxは、初代の1stモデルとこの2ndが球面レンズのみで構成され、3rdタイプからは非球面レンズを用いた設計となっている。
このタイプは比較的入手もしやすく、状態の良いものも少なくない。更に1960年代から1990年の初頭まで、長期間にわたって製造されたことで、バリエーションもいくつかあり、無限遠のストッパーの有無の違いや、M6チタンとともに発売されたチタンカラーに見られるカラーバリエーションなどがある。
今回使用した個体は1986年製造のもので、奇しくも筆者の産まれ年、同世代のレンズだった。


LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model


この『Summilux 35mm/f1.4 2nd』は、持ち合わせた強い“クセ”からか、早い時期から設計変更を求めるユーザーの声があったという。しかし一部のユーザーからは疎まれたものの、この球面35mmをこよなく愛する人は多い。私もその一人で、初めて使って以来、このレンズが見せる表情の数々に魅了され続けている。
開放での描写は非常に軟らかく、あたかもソフトフォーカスレンズのようだ。


LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F5.6 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model


前述の1枚とはうって変わって、こちらはf5.6まで絞り込んで撮影を行った。するとどうだろう、先程とはまるで違う装いを見せてくれる。 この、一見すると違うレンズとも思える表情の変化こそが、このレンズの最大の魅力ではないだろうか。

被写体の明暗を緻密に、大きなデータをもって蓄積するMモノクロームでの撮影では、尚更このレンズの特性を引き出してくれるように感じられる。

LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model

こちらはLeica M(Typ 240)で撮影した1シーン。点光源におけるコマ収差や、ハレーションに苛まれる事も多いこのレンズだが、描き出すボケ味には特徴的な趣がある。
決して綺麗なボケというわけではない。それでもこの『Summilux 35mm/f1.4 2nd』が持つ、何とも形容し難い独特な柔らかさは、好みこそ分かれるものの、使ったものを虜にする不思議な魔力を持っている。

LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model

斜陽の雑踏の中。日が落つるとも都会の人々の1日は長く、まだまだ終わらない。
このレンズが切り取った世界は、多くの人が行き交う喧騒の中でも静かな優しい気持ちを産み出してくれた。


LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model

路面・鉄橋・車・窓の木枠、柔らかい質感と滲みがかったようなボケが織り成す世界観を眺めていると、被写体が辿ってきたストーリーを想像せずにはいられない。
無機質な被写体であるにもかかわらず、何か心情を訴えかけてくるようだ。

LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F4.0 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model

最短は1m。他の35mmのライカレンズと比較しても少々長い。
もちろん撮影する上で被写体に“寄れる”ということは、撮影の幅を広げる上で紛れもなく嬉しい要素なのだが、このレンズを使う際の心情では、1mでさえもが“ちょうど良い距離感”と思えてしまうから不思議だ。

LEICA M Monochrom + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model 絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/60秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Summilux 35mm/f1.4 2nd-Model

深い自然の中へ、この玉は次代の『Summilux35mm/f1.4 ASPHERICAL 3rd』と比較すると、非常に軽量でコンパクトだ。ここ最近のライカレンズの中で最も出番が多い所以のひとつに、この小さな佇まいがあることは間違いない。




このレンズが産まれ、今日まで優に半世紀――― 数あるMマウントレンズの中でも、このレンズが産んだ名場面は、一際情緒があるように思えるのは私だけだろうか。

他にはない独特な描写性は、あたかも取っ付きにくい芸術家のようだ。誰かと馴れ合うこともせず、他者の意思に迎合もしない。良く思わない人も少なくはない。しかし、その作品は時として誰もが最大級の讃美を贈らずにはいられない。
そんな孤高の雰囲気を放っているように思えて仕方ないのだ。
 
このレンズが持つ高いポテンシャルを上手に引き出す方法―――それはきっと、これからも私を悩ませる問題となるのだろう。

今の私はまだ、それをよく知らない。

Photo by MAP CAMERA Staff


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