OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO
今回のKasyapaでは、オリンパスのF1.2大口径単焦点シリーズ第3弾となる『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO』をご紹介いたします。
35mm判換算すると34mmと、ちょうど準広角域にあたる本レンズ。最も汎用性が高く使いやすい焦点距離がラインナップに加わったことで、F1.2シリーズもますます勢いづいてきたように感じます。『17mm F1.2』という文字を見た瞬間に「あ、これは人気が出るだろうな」と思い、実際に試写をしてみてその思いは確信に変わりました。
25mm、45mmと大きく異なる点として、本レンズにだけ新開発の「ED-DSAレンズ」が使用されていることが挙げられます。
高い色収差の補正能力を持つ「EDレンズ」と、優れたコマ収差や非点収差の補正能力を持つ「DSAレンズ」。これら両方の特性を併せ持つレンズが採用されたことによってレンズの枚数が削減され、レンズの小型化が実現したというわけです。
冒頭の写真は、パンフォーカスで風景全体を捉えた1枚。陰影表現が見事です。また、どんな被写体でも迷うことなくピントが合うのには驚きました。まさに非の打ちどころの無いAF性能と言っていいでしょう。描写力はもちろん、性能の面でも写真を撮る楽しさを存分に感じられるレンズであると感じました。
冒頭の写真から一転して、ここからは開放の写真をメインにお届けしたいと思います。
F1.2シリーズの凄いところは、F1.2という浅い被写界深度でありながらもピントを外さないということ。「F1.2」と聞くだけで、じっとカメラを構えて少しの手振れも起こさないようにしなければ…と普通なら思ってしまうものですが、本レンズにその心配は必要ないのです。初めてF1.2シリーズを使用した時の感動は今でも忘れられません。
厳しい寒さの中、ジュウガツザクラと呼ばれる桜が元気に花を咲かせていました。冬の撮影だとあまり花に出会えないぶん、見かけると嬉しくてついついたくさんシャッターを切ってしまいます。
こちらの写真は太陽の光をバックに撮影をしましたが、開放での撮影にも関わらずしっかりとフレアやゴーストを抑制してくれるので、安心して撮影を行うことができました。
穏やかな池の水面が、まるで鏡のように風景を写し出してくれました。空や池の水面の青も「オリンパスブルー」と言われるだけあって、どのようなニュアンスでもしっかりと表現してくれます。
本レンズはシーリング加工が各所に施されているため、防塵・防滴性能は抜群。水辺での撮影はもちろんのこと、これからの雪のシーズンでも活躍すること間違いなしのレンズです。
オリンパスのようにタフな機材は、シーンを選ばずに持ち出すことができるので非常に頼もしいです。それに加えてこの小型・軽量さですから、もう言うことありません。
準広角レンズながらも、周辺の歪みは全く気にならないレベルまで抑えられています。まっすぐな物を撮ることで、よりレンズの性能の素晴らしさが際立ちました。
クリスマスツリーのオーナメントを前ボケとしてフレームイン。少しボケがうるさくなるかなと思いましたが、杞憂だったようです。それも本レンズの優しいボケ味のおかげでしょう。夕日に照らされてより一層輝きを増したオーナメントが、良いアクセントになってくれました。
あまりの寒さに耐えかねて、ここで少しコーヒーブレイク。
本レンズの最短撮影距離は20cmなので、ぐっと被写体に寄ることが可能です。近接撮影で得ることのできる大きなボケ、そして本レンズならではのにじむボケが合わさることで、ご覧の通り吸い込まれるようなとろけるボケを味わうことが出来ます。
開放の柔らかな描写はもちろん、少し絞るだけでキリリとシャープな描写となるのも魅力です。こちらの写真は西日の影響でよりコントラストがはっきりとした1枚となりました。
室内の撮影でもここまでシャッタースピードをかせぐことが出来るとは、さすがは大口径レンズ…。アウトフォーカスにかけてのなだらかなボケがとても美しいです。
日常の風景を、作品に落とし込んでくれるレンズ。
『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO』いかがでしたでしょうか。
F1.2シリーズは操作系が同じなだけでなくレンズの大きさもそれほど変わらないため、ぱっと見どのレンズか分からなくなりそうですが、上の写真をご覧いただくと分かるように実はマウント部にある焦点距離の印字が他のレンズより倍近く大きいのです。これにより識別性が向上し、レンズを取り違える心配もありません。操作系を統一することで使い勝手を良くするだけでなく、ユーザビリティまでしっかりと考えて作られているところが、オリンパスが支持される所以なのでしょう。
25mm、45mm、そして今回ご紹介した17mmを使用して、オリンパスのF1.2シリーズ最大の特徴である「にじむボケ」と、その美しいボケに負けずとも劣らない素晴らしい描写力にすっかり魅入られてしまいました。高性能なカメラやレンズがどんどんと出てきていますが、中でもオリンパスの製品は群を抜いていると使用するたびに感じます。
「もうセンサーサイズなんて気にならなくなるくらい、マイクロフォーサーズ機ってよく写るよね」と最近よくKasyapa担当者の間で話題になるほど、ここ数年でマイクロフォーサーズ機は飛躍的な進化を遂げていると感じます。
特に本レンズを含めたF1.2レンズシリーズとOM-D E-M1 Mark IIの組み合わせはまさに鬼に金棒。小型・軽量が人気の今、マイクロフォーサーズ機が天下を取る日はもうすぐそこまでやってきているのかもしれません。
Photo by MAP CAMERA Staff