シグマ「19mm F2.8 DN」は、ミラーレス一眼カメラ専用レンズを謳う個性的なレンズだ。ソニー NEXシリーズ用は35mm判換算約28.5mm、マイクロフォーサーズ用は35mm判換算約38mm相当の単焦点広角レンズとなる。
まずは外観。
ボディーカラーはシルバーとブラックの2色。どちらも金属外装でフォーカスリングまでもシンプルデザインにまとめられている。フォーカスリングはオーディオ機器のロータリーフェーダーを回すイメージに近い。大胆なデザインのなかにしっかりと実用性も持たせてある。
マウント部分は真鍮製となっているところもこだわりのポイントだ。工作精度の高さと堅牢性を兼ね備えたメイド・イン・ジャパンらしい作り込みがなされている。表面処理も美しく仕上げられている。
35mm判換算28.5mmということで、広角レンズながら寄りにも引きでも目の前の景色を自然に写し込めることができる。ズームレンズと違い、ズーミングの迷いがないので思うがままに景色をどう切り出すかを考えるだけ、実にシンプルに撮影を楽しめるのが単焦点レンズの良いところだ。
逆光時にもゴーストやフレアを軽減するスーパーマルチレイヤーコートがなされているため、逆光時にもしっかりとしたコントラストを保っている。
広角レンズの特徴は、目の前に広がる景色をそのまま写し込める点。本レンズは、街歩きの記録や季節の変化の記録に最適で使いやすいと感じた。もちろんそれは焦点距離だけではなくサイズ感も含み、さらにこの近未来的なレンズデザインも街歩きのアクセサリーとして自分の気持ちを高めてくれる要素となる。
描写もスッキリとしており、ある意味レトロな味を一切廃したデジタル世代のキレのあるレンズと言った印象を受けた。
光と影のコントラストや細かい描写がしっかりとしているのもこのレンズの良さだ。木々の細かい部分、葉や枝の重なり、鉄の質感、乾いたゴムの劣化した雰囲気などがしっかりと再現されているので、イメージをしっかりと形にすることができる。
ライブビューが使えるミラーレス一眼カメラ用と言うことで、可動式のモニターを利用したローアングルからの撮影など様々なことにチャレンジして撮影してみたくなる。そしてそれに応えるしっかりとした描写が楽しめるのも本レンズの良さだ。
19mm F2.8 DNは、Artラインらしい描写と大胆なデザインを取り入れたミラーレス一眼カメラ世代の新しいレンズだ。コストパフォーマンスが高いので、ミラーレス一眼カメラ入門者向けのズームレンズの次に購入する1本としてもオススメしたい。
Photo by MAP CAMERA Staff