047:『Voigtlander NOKTON 17.5mm F0.95』
2012年04月29日
F値、レンズの光を集める性能の指標とされ、人間の目をF1.0として計算される値です。普通、大口径レンズと言われるのはF2やF1.4などのスペックですが、このレンズは何とF1を切るF0.95!人の目よりも明るいこのレンズ、フォクトレンダーブランドでは以前25mm/F0.95のNoktonが発売済みですが、より広角になった事で使いやすさも更にアップしたのではないでしょうか。
まずは少し絞っての描写。大口径レンズながら、少し絞るとしっかりシャープな印象です。ガラスや帽子の質感描写も良いもので、これなら普通の撮影にもしっかり活躍してくれそうです。
そして、開放・最短だとご覧のような柔らかい描写に!前後のボケも非常に美しく、ピントの合った綿毛を1本1本解像しながら、柔らかいベールを重ねたような独特の描写です。最短撮影距離も15cmとかなり短く、開放の明るさとあいまって様々な表現が可能です。
開放が強烈に明るい本レンズ、ライブビューでフォーカスをしている状態でも、その驚くべきピント面の薄さを実感できます。ボケも大きいのでピントを追う事は想像以上に楽ですが、遠距離の被写体でもしっかりとピント合わせを行わないとぼやけた印象に。 また、日中屋外で撮影を行う場合には曇り空、シャッタースピード1/4000、ISO200での撮影でも、開放0.95での撮影では露出オーバーになってしまう事があります。「えっ、こんな条件でも露出オーバーに!」と驚いてしまうこともしばしば。そのスペックの強烈さを改めて感じた次第です。 せっかくの超大口径を生かすなら、NDフィルターなどを準備して撮影に望む事をオススメします!
この程度まで絞り込むと滲みも消え、すっきりとシャープな描写に。開放でのソフトフォーカスの様な描写から、この現代的な描写への変化は被写体によって使い分けができる魅力的なものでしょう。
このレンズを使っていると、「身近にもこんなに面白い被写体があったのか」と思わせられることがあります。開放のボケ、絞り込んだシャープさ、そしてその最短撮影距離の短さから選べる写真のバリエーションの多いこのレンズ。1本あると本当に楽しめるレンズです。
OM-Dに着けても、その存在感は抜群です。ローレットの刻みや付属するフードも実にしっかりした作りで、持つ喜びのあるレンズに仕上がっています。また動画撮影用に絞りクリック音を無くす機構も装備。この描写で動画、少し前までは想像もできない世界です。マイクロフォーサーズでしか得ることのできないこのスペック、この描写。是非お愉しみいただければと思います!
Photo by MAP CAMERA Staff