寒い冬も終わり、街中でも春の彩りが目につく様になりました。昼休みのお散歩や、お買い物ついでに見つけた風景を1枚。そんな写真好きに最適なカメラがコンパクトデジタルカメラです。数あるラインアップの中から今回は、明るいライカレンズを搭載した人気モデル『Panasonic LUMIX DMC-LX9』を紹介いたします。
ハイエンドシリーズとして不動の人気を集めていたLXシリーズが大幅な進化を遂げました。旧モデルのLX7では1/1.7型、1010万画素センサーだったものが、約3倍の面積を持つ1.0型、2010万画素になり、ライカレンズの解像力をより高精細に伝えることができるようになりました。
良い天気に誘われて東京タワー方面へ。お膝元の公園では綺麗な菜の花が咲いていました。近接撮影も得意とする本機は、広角端で3cm、望遠端でも30cmまで近づいても大丈夫。さらにはタッチ式のチルト液晶モニターはアングルも自由自在でピント合わせも一瞬と、構図を決めるだけで簡単に撮れてしまいます。
花壇の中に手を伸ばして撮影すると、色鮮やかな菜の花と、綺麗な青空に東京タワーと欲張りな写真が簡単に撮れました。小さなコンパクトカメラからは想像もできない大きなボケ味も堪能できます。
ライカカメラ社の厳しい評価をクリアした24-72mm相当の「LEICA DC VARIO-SUMMILUX」レンズを搭載。ズミルックスと名が付くからにはもちろん開放F値は1.4の大口径レンズです。少しでも望遠側にシフトするとF1.6にシフトしてしまうため、広角端24mm時のみでしか味わえないのが少々残念ですが、ズミルックス24mm F1.4と言えば約90万円もする超高級レンズ。24mmをピンポイントで使いたくなります。
周辺減光も歪みもなく、クリアでシャープな描写は広角撮影をより楽しくしてくれます。
展望台からの景色も綺麗に捉えます。逆光による薄暗さなど見たままの自然なトーンを再現してくれます。
逆光時の明るさ調整に重宝する露出補正機能。LX9は一眼カメラ顔負けの±5の調整が可能なので、強い日差しも何のその。オーバー気味の写真になっても綺麗な色再現が楽しめました。
神社脇のショーウインドウに綺麗な白無垢を発見。F5.6まで絞ってガラスに近づくと、細かな模様がはっきり確認できるシャープで解像感の高い描写が得られました。開放で柔らかく、絞るとクッキリ。絞り操作でいろんな表現が楽しめ、レンズの凄さを十分に堪能できます。
高精細なセンサーが白い桃の花をシャープでコントラストの高く捉えます。大きなボケ味はズーム中間域でも健在で、メリハリが一層引き立ちます。ズームレンズとは思えない各焦点距離でのバランスの良さは、さすがライカレンズと言ったところでしょうか。
パナソニックのデジタルカメラと言えば、秒間30コマの連写を速度を落とさず続け、決定的瞬間を逃さない「4K Photo」機能が有名ですが、あえて通常の高速連写にも触れておきます。
本機はコンパクトカメラとは思えない、メカシャッターでの秒間10コマの高速連写が可能で、2010万画素の高画質をそのままに、かつ動体も歪むことなく撮影が楽しめます。4K Photoによる切り出しが800万画素ですから、その違いは歴然です。 望遠端が72mm相当と、旧モデルのLX7(24-90mm)と比べ、スペックダウンの印象の焦点距離ですが、トリミングが可能な2010万画素ですから、十分なズーム域とも言えます。 よりジャストな一瞬を狙うなら4K Photoを。少しでも高画質を望むなら秒間10コマの高速連写を。使い分けでより快適な連写を楽しむことができるのです。
4K Photoによる便利機能は高速連写だけではありません。今回は高速AFでフォーカスポイントを移動させながら連続撮影し、撮影後に最適なピントの写真を選ぶという「フォーカスセレクト」機能を試してみました。
花の絵柄のラベルにピントが合った写真と右脇のマグカップにピントが合った写真を書き出してみるとその効果は一目瞭然。ピンボケによる失敗写真を減らすことはもちろんのこと、ピントを何処に置くか悩んだ時はひとまず撮って、後でセレクトするといった便利な使い方が可能になりました。
さらにはその複数枚の画像を合成する「フォーカス合成」機能を使用すると、どの面にもピントが合った写真を作ることができます。
先ほどの画像をカメラ内で合成すると、酒瓶と右脇のマグカップの両方にピントが合った写真が出来上がりました。画像合成により若干の画像劣化を感じますが、F1.4の明るさそのままに接写時でも被写界深度を稼ぐことができました。
逆に活用すれば、見せたくない箇所のピントを外すなどの応用も。4K動画(約800万画素)の読み出し能力を応用した4K PHOTOですが、そこから発展した機能の充実に驚きます。
便利な4K Photoなど機能充実のLX9ですが、気になるのがライバル機の存在ではないでしょうか。他社の1.0型センサー搭載のコンパクトカメラも魅力的であり、まさに悩みどころです。
その中で筆者が最も注目したのが高感度機能です。ライバル機は、高感度に強いと言われる裏面照射型CMOSセンサー搭載を搭載しており、高感度でも十分なクリアな画像が確認できていました。果たしてLX9の高感度MOS センサーは? その実力を試すべく、夜の新宿へ…。
心配は杞憂に終わりました。ISO1600位ではノイズの発生はほとんどなく、十分な高感度耐性と言えます。ますますライバル機との比較が難しくなってしまいました。
そのまま吸い寄せられるように飲屋街へ。
人ごみを避けながら片手での撮影でも、優れた手振れ補正と高感度機能が相まって、ブレの無い撮影が楽しめました。
シンプルでカッコイイデザインに多機能が凝縮。ハイエンド機に相応しい高性能を感じることができました。ライカレンズによる描写はとてもシャープで、高精細センサーがそれを余すことなく受け止めています。もちろん大きなボケ味も。初代LX1のエルマリートから始まり、ズミクロン、ズミルックスと代を重ねるごとにレンズが贅沢になってきたLXシリーズ。次はノクチルックス?そんな想像をしてしまう、レンズ好きにはたまらない魅力的なモデルです。
Photo by MAP CAMERA Staff
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