NikonNIKKOR Z 85mm F1.8 S
ニコンからZシリーズの新レンズ『NIKKOR Z 85mm F1.8 S』が発売されました。ニコン独自の設計指針と品質管理をさらに厳格化したNIKKOR Zレンズの中でも、さらに高いレンズ基準を満たす「S-Line」のレンズです。
これまでに発売されている「35mm F1.8」と「50mm F1.8」はいずれも優秀な写りを披露してくれました。同じF1.8の単焦点レンズと考えれば、必然的にその期待値は高まります。早速試してみました。
まずはキバナコスモスが満開の花畑を訪れました。花の大きさに対し茎が細いコスモスは弱い風でも大きく揺れます。手ブレ補正が優秀なZシリーズとは言え、被写体ブレが相手となれば速いシャッタースピードに頼らざるをえません。そんな時は大口径レンズによる明るさが本当に頼りになります。そして驚いたのが、絞り開放でも周辺減光を感じさせない画面全体での均一さです。光を余すことなく取り込んでいるのがよく分かります。
花の周りを飛ぶアゲハ蝶や蜂を発見。運良く目の前の花に止まった瞬間を捉えました。静かで素早く正確なAFは、貴重な瞬間を逃しません。
絞り開放の柔らかさをより強調すべく、露出をオーバー気味に設定。とても優しい表現が印象的で、なだらかに変化するボケ味は驚愕の一言。花びらの薄さが際立ちます。
自然なボケとピント面の高い解像感が確認できた85mm。当然、ポートレート撮影も試したくなります。 「瞳AFの検証」の時にご協力いただいた、水穂 まき さんにお声をかけさせていただきました。
まずは待ち合わせの喫茶店で1枚。外の日差しが差し込む窓際の席でも、とても自然な明るさで捉えてくれます。前髪の細い線まで鮮明に写し出す高い解像力は、さすが高画質のZシリーズと言ったところでしょうか。
店内照明がわずかに加わって、少し温かみを増した色再現はまさに見たまま。ナノクリスタルコートのレンズは本当に光を綺麗に捉えます。
少し目線を外しても瞳AFはしっかり追従。もちろん顔の角度や位置などの条件は必要だと思いますが、Nikon Z7のレスポンスや精度の高いAF性能は1度使うと手放せなくなる機能です。
夏の強い日差しを避け、高速道路下の橋でのカット。背景が一直線に抜けているので、ボケ感を最大限に味わうことができました。改めて感じるのがボケの柔らかさです。
同じ場所で少し絞って撮影すると、奥の橋桁の細部まで捉える高い解像力を確認。4575万画素のZ7の性能を存分に引き出してくれました。
ポートレートだけではもったいない大口径中望遠レンズ
今回改めて実感したことは「高精度な瞳AF」を活用することで、フレーミングに集中でき、モデルさんとのコミュニケーションへの余裕ができる。ポートレート撮影を心から愉しめる魅力的な組み合わせであることを実感いたしました。
コントロールリングが幅広く配置されているため、操作性やホールド感のよさを実感。フードを逆着けしてもコントロールリングを覆いかぶさないので、カメラバッグからとっさに取り出して撮影したい時などにも便利です。風景からスナップ、ポートレートまで優しさとシャープさを兼ね備えた魅力的な中望遠レンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff