ニコンから単焦点広角レンズ「AF-S 35mm F1.8G ED」が発売されました。
28mm、50mm、85mmと小型軽量化が計られたF1.8シリーズの4本目は、スナップ撮影に人気の焦点距離でありながらなかなか登場しなかった待望の1本です。
早速マップカメラの周辺、新宿で撮影してきました。
圧倒的な高画質を誇るより大口径の「AF-S 35mm F1.4G」の約半分の重さの305gは、よりフットワークを軽快にしてくれますが、それ以上にアクティブな行動を可能にしてくれたのは最短撮影距離の0.25mの接写能力です。実際にはレンズ前面から約15cm位までの接写が可能で、近づきたいものをグッと引き寄せることができます。
上の水仙の花がその例で、一見マイクロレンズではと思わせる花粉の粒子感や花びらの質感をしっかり描写しているのが分かります。
接写と解放F1.8から生まれた大きなボケは、3Dかと思わせる強烈な立体感となりました。
最新デジタルカメラに最適化されたレンズは、とてもシャープな描写で高画素センサーの性能を存分に引き出してくれます。
日の短い早春、明暗の差が激しい場所でもそれぞれの質感を壊すことはありません。隅々の細かいタイルの質感まで見てとれる見事な解像力です。
日没後、神社の照明だけの薄暗いシーンでもこれだけの透明感のある仕上がりに驚きます。
ナノクリスタルコートは採用されなかったものの、周囲の光を上手く取り込んだ自然で美しい描写です。
撮影時にはよく見えなかった着物の柄までもしっかり捉えていたことにも驚きました。
大きなボケとシャープな描写。両方がバランスよく共存しています。
ノクトニッコールの再来と言われている「AF-S 58mm F1.4G」と同様に、点像再現性に配慮したという光学設計は夜間照明下でのボケも美しく、その場所の情緒感を余す事無く伝えてくれます。
高めのコントラストが、光の強弱を上手に再現してくれます。
カメラの高感度性能とF1.8という明るさがストロボを必要とせず、フィルム時代では難しかった夜間撮影が気軽に楽しめる様になりました。
見上げた際のパースはあるものの、直線だけの被写体がそれぞれの方向にスッとのびているのを見ると単焦点レンズの気持ちよさを感じます。
思わず寄って撮った線の細かい花から感じ取れたピントの薄さ。ボケがうるさく感じるときは絞りでボケ具合をコントロールするなど、撮り方を工夫する楽しみが広がります。
軽くて寄れる大口径広角単焦点レンズは、ポートレートをはじめ夜間撮影や接写など用途が広く、コストパフォーマンスの高さも見逃せないまさに3拍子揃ったレンズです。
普段歩き慣れた新宿でも短時間でこれだけ撮影できたことに、撮影意欲をかき立てられるレンズの魅力を感じました。
オールマイティーに使えるけど性能も高い。単焦点レンズの魅力がギュッと詰まった楽しいレンズの登場です。
Photo by MAP CAMERA Staff