OM-D E-M5の発売から約3年、小型デジタル一眼のパイオニアが新しく生まれ変わりました。今回は『OM-D E-M5 MarkII』のご紹介です。
先日開催されたCP+のオリンパスブースの中でも本機の展示台は長蛇の列が出来ていました。前モデルのサイズをほぼそのままに、最新の技術が埋め込まれた本機は、スペックシートを見る限り上位機種にも負けない機種である事を伺わせます。その中でも世界最強を謳う5軸手ブレ補正は、なんと5段分という強力な性能を持っている事にも注目です。果たして新E-M5はいかなる進化を遂げたのか、早速試写へ出かけました。
青い空と球体の被写体。撮影しててオリンパス・ブルーという言葉が頭をよぎりました。気持ちのいい解像力とヌケの良さです。 今回使用したレンズはキットレンズでもある『M.ZUIKO DIGITAL ED14-150mm F4.0-5.6II』。APS-C機の標準ズームくらいのサイズなのですが、ズーム域は35mm換算で28-300mm相当もあります。小型軽量な『OM-D E-M5 MarkII』との相性もよく軽快に撮影が出来ます。
AFエリアは81点に拡張され、シングルAFなら最大連射が約10コマ/秒。シャッターを押して撮影が開始される撮影タイムラグも世界最短のスピードです。(2015.2.5現在)位相差AFは非搭載ではありますが上位機種にも負けないAF性能でシャッターチャンスを逃しません。
フルサイズに比べセンサー面積が約1/4のフォーサーズセンサーですが、シャドウ部の階調も良好で、粘り強い黒の表現が可能です。
『M.ZUIKO DIGITAL ED14-150mm F4.0-5.6II』は望遠端での最短撮影距離が0.33m、最大倍率0.44倍というハーフマクロに匹敵する近接撮影をする事が出来ます。 ボケ味も滑らかで美しく、蘭のしっとりとした白色の濃淡もしっかり捉え『OM-D E-M5 MarkII』がそれを再現しています。
シャッタースピードが最高速が1/8000秒となり、電子シャッター時には1/16000秒という超高速シャッターが可能になりました。
明るくコンパクトなレンズが揃うM.ZUIKO DIGITALレンズをNDフィルターなしで日中開放撮影が出来るというのはOLYMPUSユーザーには嬉しい事です。
逆光の木々と冬の空。枝の細部まで見事な解像力です。
ISO800でもまだまだ余裕が感じられる高感度性能。シャッター速度1/30秒という低速でしたが、手ぶれ補正のおかげで安心してシャッターを切る事ができました。 約5段分の手ぶれ補正機能は強力で、ファインダー内で絵が貼り付いたように静止します。レンズに左右される事なく常にこの手ブレ補正が効くという事は、室内や夜間撮影はもちろん、動画撮影でもその効果を発揮してくれます。
こちらの写真はISO3200とシャッタースピードが1/15秒。高感度でもノイズは目立つことなく被写体のディテールもしっかりと写し出しています。
工場夜景と登る月。テレ側F5.6開放での三脚撮影です。月の登るスピードが速かったため、絞り込まず開放でシャッタースピードを稼ぎました。
カメラ・レンズ共に絞り開放ながらしっかりとした解像力を見せてくれました。
『ハイレゾ』と言うと高音質を指すオーディオ用語を思い浮かべる方も多いと思います。今回『OM-D E-M5 MarkII』には新機能として『ハイレゾショット』という機能が追加になりました。
1600万画素のセンサーを0.5画素(ピクセル)分、円を描くようにずらしながら8枚撮影をし、カメラ内で画像合成する事で4000万画素相当の高画質な写真が出来る技術です。これはセンサーを動かして手ブレ補正をする技術の応用とも言えるでしょう。
しかしながらこの『ハイレゾショット』を行うには少し注意点があります。一回の撮影に約2秒ほど掛かるため三脚などカメラを固定する必要がある事、また被写体も動かない物に限ります。
【拡大画像は7296×5472pixの非縮小サイズで掲載しています。そのため画像の読み込みに時間がかかる場合がございます】
熱帯の植物を見上げてでの撮影。正面奥にあるバナナのような葉の葉脈にご注目ください。少し絵作りは固めの印象ですが、その分解像感は通常撮影以上というのが体感できます。この撮影は温室でしたので無風での撮影が可能でしたが、屋外で植物を『ハイレゾショット』で撮影するには被写体が完全に動かない条件が必要です。
【拡大画像は7296×5472pixの非縮小サイズで掲載しています。そのため画像の読み込みに時間がかかる場合がございます】
複雑に組まれた工場の鉄骨とパイプ類。夜景は『ハイレゾショット』で一番試してみたい被写体でした。
さすがの解像感ではありますが、拡大表示すると被写体の輪郭に斜線が入ったようにザラついて見えます。ライトの場所で微妙に違うことから、これは交流光で起こるフリッカー現象が影響しているのかもしれません。
『ハイレゾショット』は条件が合えばもの凄い解像力のある写真が撮れる新機能です。
三脚が必要、動体撮影が出来ないという事で被写体は選びますが、マイクロフォーサーズ機でよくここまでの解像力を実現したと賞賛すべきでしょう。 この機能もまだまだ最初の段階です。今後の進化に期待が出来る新機能でした。
『OM-D E-M5 MarkII』はファインダー・シャッター・AF機能など基本性能の向上とハイレゾショットなど新機能を詰め込んだ魅力あるカメラでした。 背面液晶も横面を軸に稼働するようになり、動画撮影などの使いやすさが向上しています。
そして実際の撮影時にはファインダー内が静止したように見える強力な5軸手ブレ補正に驚かされました。この感覚は是非手に取って体感していただきたいです。
小さく軽いカメラシステムで驚くような画質の写真が撮れる。フルサイズで5000万画素を超えるカメラが発表された昨今、『OM-D E-M5 MarkII』を皮切りにマイクロフォーサーズ機も超高解像の時代が来たように思えます。オリンパスの今後展開にも期待が膨らむ一台でした。
Photo by MAP CAMERA Staff