シグマから、世界初(※)となる開放値F1.8の明るさを誇る超広角単焦点レンズ『SIGMA Art 14mm F1.8 DG HSM』が登場しました。
2017年7月7日発売、7本目の35mmフルサイズ対応の単焦点Artレンズ。そんな縁起の良い数字がそろった本レンズの魅力に迫ります。
(※2017年2月現在、デジタル一眼レフカメラ用交換レンズにおいて)
重量1,120gのずっしりとした重みもさることながら、せり出した前玉のインパクトはかなりのもので、このレンズを使ったらいったいどんな写真が撮れるのかと撮影前から期待が高まります。レンズと一体型となっているフードはとても頑丈で、ゴースト・フレアを防ぐだけでなく大きな前玉を守るのにも一役買ってくれることでしょう。
今回使用したボディは『Canon EOS 5D Mark IV』。本レンズに相応しい上位機種を選びました。早速レンズをボディに装着して、はやる気持ちを抑えながらゆっくりとファインダーを覗いてみると、そこに広がっていた世界はメーカーサイトで謳われている通りまさに「異次元」でした。
実際に目で見た感動を写真で伝えることはなかなか難しいですが、このレンズは目で見た感動をさらに飛び越えてしまうほどの表現力を持っています。
冒頭の写真は都内某所にてビル群を捉えた1枚ですが、あまりの迫力に自分が小人にでもなってしまったかのような錯覚を覚えます。ヌケのよくシャープな写りはさすがシグマのArtレンズといったところでしょうか。ビルの細かいディティールも、モアレが発生することなく鮮明に写し出されています。
お次は少しローアングルから。超広角レンズであるのにも関わらず、周辺の歪みはほとんど感じられません。
そして、オートフォーカスも非常にスムーズ。狙ったところに気持ちいいくらいにビシッとピントが合います。
また、フルタイムマニュアルを可能としているためピントの微調整を容易に行うことができるのも嬉しいポイントです。
この日は36℃を超える猛暑日でした。照りつける日差しはまさに真夏そのもの。少し上を向けば強い光が差し込んでくるためフレアやゴーストが発生しないか少し心配でしたが、本レンズの逆光耐性はかなりのもののようです。
超広角レンズとなると風景や建造物に合うイメージがありますが、本レンズは明るいF値を生かしたスナップ撮影もこなせてしまう優れもの。
さすがF1.8、超広角と言えどもよくボケます。上の3枚の写真と見比べると、同じレンズで撮影した写真とは思えないですね…。シグマならではの美しいボケ味にはうっとりしてしまいます。
本レンズの発売日は7月7日。そう、七夕です。そして、七夕といえば天の川。星空撮影に最適なレンズなので、発売日当日に本レンズを携えて天の川の撮影をされる方もいらっしゃるかもしれませんね。
撮影に出向いた庭園内にちょうどよく笹の葉があったので、少し視点を変えて真下から撮影。海外の観光客の方がよく訪れるところだったので、国籍を問わず願い事が綴られたたくさんの短冊が笹の葉に吊るされていました。
七夕はクリスマスやハロウィンと比べて派手なイベントではありませんが、毎年こうやって飾られる短冊を見るのが楽しみだったりします。
さて、ここからは水上バスへ乗り込んで次の目的地へと向かいます。
誰もいない船内を撮るため、先頭に並んで急いで撮影した1枚がこちら。レンズが重いので手ブレが少し心配でしたが、サッと撮ってもしっかりとピントが合っているのには感動です。
最短撮影距離は27cm。かなり寄れるため光の向きによっては自分の影が被ってしまうこともしばしば。
距離感をつかむのに最初のうちは四苦八苦しましたが、このレンズは使えば使うほどに「こんな撮り方もあるのか!」と新しい発見があり、様々なバリエーションを探しながら撮影を進めていくのがとても楽しかったです。
水上バスから臨むレインボーブリッジ。拡大をしてみると、お台場の観覧車やテレビ局など、観光スポット各種が一堂に会しています。
海の撮影をするのにはやっぱり広角レンズが合いますね。本レンズはマウント部にゴムのシーリングが施されているため、水辺でも安心して撮影を楽しむことができます。(※シグママウントを除く)
屋外はもちろん、屋内でも威力を発揮します。パースを意識して少しカメラを傾けたので、より迫力のある1枚に仕上がりました。
周りの風景を取り込みつつも、浅い被写界深度のおかげで主題である真ん中の「G」のマークが強調されています。
今まで広角レンズは苦手と思っていた方でも、スナップ撮影のように扱える本レンズならば気兼ねなく広角の世界を楽しむことができるでしょう。
地下通路に差し込む、強い西日。
隅々までシャープな写りを魅せてくれるので、メインの被写体を隅に配置しても問題ありません。周辺も流れることなくしっかりシャープに描写されています。
『SIGMA Art 14mm F1.8 DG HSM』いかがでしたでしょうか。
冒頭で前玉の大きさについて触れましたが、改めて上の写真を見返してみると、撮影中にいつもよりも周囲の視線を感じていた理由がわかったような気がします…。それほどまでに見た目のインパクト大です。
マウントコンバーターMC-11やUSB DOCK等、アクセサリー周りも充実している本レンズ。
7月5日現在まだ開発中ではありますが、キヤノン用のみリアフィルターホルダーも発売されるとのこと。このホルダーを装着することでシートタイプのフィルターを使用できるようになるので、キヤノンユーザーの方は要チェックです!
幾度となく「世界初」を生み出してきたシグマのレンズ。今回もユーザーの期待を裏切らず素晴らしいスペックのレンズでしたが、次はいったいどんな形で私たちを驚かせてくれるのでしょうか。今後もシグマのArtレンズシリーズからは目が離せません。
Photo by MAP CAMERA Staff