452:『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO』
2017年11月10日
OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO
今回のKasyapaでは、2017年11月25日発売の『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO』をご紹介いたします。
35mm判換算すると90mm…中望遠相当の焦点距離となる本レンズ。昨年発売された『M.ZUIKO DIGITAL ED 25mm F1.2 PRO』に次いで2本目となるF1.2プライムレンズシリーズの登場です。25mmの描写が非常に良かっただけに、本レンズに対する期待も自然と高まります。全長84.9mmのコンパクトなレンズを『OM-D E-M1 Mark II』に装着し、早速撮影へと出かけてきました。
「美しくにじむボケ」を追求したという本レンズ。その実力を確かめるべく、絞り開放の状態で最短撮影距離である50cmまで被写体に寄って撮影を試みたところ、私の想像をはるかに超える柔らかくとろけるようなボケを得ることが出来ました。
AFのスピードは驚くほど速く、被写体に吸い付くようにスッとピントが合い「ここだ」と思った瞬間を捉えて離しません。そのAF性能の高さは、ピント面の薄いF1.2でも存分に効果を発揮します。
また、OM-D E-M1 Mark IIのタッチシャッターのおかげでより直観的に構図を決めることが出来ました。本機には「顔/瞳優先AF」も搭載されているので、ポートレート撮影はもちろん動きが活発な子供や動物の撮影でも活躍すること間違いなし。高性能なカメラとレンズを組み合わせることによって、シャッターチャンスを逃がす確率を極限まで抑えることが出来るのです。
緑の中にぽつんと咲いていた一輪の花。開放で撮ることで、より花の存在感が際立ちました。手前から奥にかけての花びらのボケの層がとても美しいです。
この日は雲一つない青空で、思わず目をつぶってしまうくらいの光が降り注ぐこともしばしば。本レンズはオリンパス独自のコーティング技術「Z Coating Nano」が施されているおかげで、直射日光や強い照明が当たっている場合でもゴーストやフレアを気にすることなく撮影に臨むことが出来ます。性能の高さをまた1つ実感した瞬間でした。
水面に写りこんだ木々がまるで絵画のようです。鮮やかな描写を得意とするオリンパスで写真を撮っていると、秋色に染まった公園がより華やかに見えてきます。
解放からシャープな描写でしたが、少し絞ると更にそのシャープさが際立ちます。密集するビル群を隅々まで緻密に描写してくれました。
冒頭でAF性能について触れましたが、もう1つ驚いた点として、これほどまでに高性能でありながら「小型・軽量」であることが挙げられます。明るい中望遠レンズと聞いて私が真っ先に頭に思い浮かべたのは、大きくて重いレンズでした。ですが、実際に箱を開けてみて出てきたのは想像よりも遥かに小さくて軽いレンズだったのです。F1.2の明るさがこんなコンパクトに収まってしまうのかと驚いたと同時に、本レンズはそんな定着してしまったイメージを覆してくれる、まさに型破りなレンズであると感じました。
オリンパスの防塵・防滴性能は非常に優れており、以前に大雨の中カメラがびしょびしょになるまで撮影をした際も、撮影後にしっかりと水を拭き取ってあげることでその後何ら問題なく使用することが出来ました。
本レンズも耐低温、防塵・防滴性能を備えているということで、これからの寒い季節でもシーンを選ばず活躍してくれること間違いなしの1本だと言えるでしょう。
もう1つ特筆すべき点として、F1.2プライムレンズシリーズは25mm、45mm、17mm(来年発売予定)と3本すべてフィルター径が同じ62mmであることが挙げられます。通常のプロテクトフィルターは全レンズ分持っていてもいいですが、金額の張るPLフィルターや、イルミネーション撮影で効果を発揮するクロスフィルターなど特殊フィルターが共有して使えるのは大きなメリットです。
途中に立ち寄ったハンバーガー店での1枚です。中望遠レンズなのでテーブルフォトは難しいかと思いきや、ご覧の通り。
さすがに椅子に座った状態で全体を捉えることは難しいですが、テーブル上にある余計なものがボケに吸い込まれて行ったおかげで、メインであるハンバーガーをより強調して撮ることが出来ました。物撮りでも大いに活躍してくれそうです。
AF性能が非常に良いため今回使用することはありませんでしたが、本レンズにはマニュアルフォーカスクラッチ機構が搭載されているため、マニュアルでの撮影を楽しみたい方のニーズにも応えます。
早いもので、世間はすっかりクリスマス一色。既に街にはクリスマスの装飾グッズが至るところに並んでいました。
本レンズは11月24日発売なので、まさにこれからのイルミネーションの季節にベストなタイミングです。大きく美しいボケ味を生かしてイルミネーションをそのまま撮るのも良いですが、イルミネーションをバックにポートレート撮影…なんていうのも面白そうです。普段わたしたちが見ている世界とは違う、中望遠の世界。想像するだけでワクワクが止まりません。
狙った被写体を逃さない、F1.2プライムレンズ。
『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 45mm F1.2 PRO』いかがでしたでしょうか。
「“ボケ”を極めるF1.2大口径単焦点シリーズ」とオリンパスが謳っているだけあって、美しいボケ味を楽しむことが出来るレンズでした。
上の写真をご覧いただくと分かるようにボディとのバランスも非常に良く、良い意味で大口径レンズであることを感じさせません。コンパクトなのでバッグの中で幅を取ることもありませんし、気軽に持ち運びが出来ることで中望遠レンズが今までよりも身近に感じられました。その上、性能面での妥協は一切ないのが素晴らしいです。どんどんと小型化していくデジタルカメラシステムですが、その中でも特にオリンパスは一歩先へ進んでいると強く感じました。
来年にはプライムレンズシリーズ3本目となる『M.ZUIKO DIGITAL ED 17mm F1.2 PRO』の発売が予定されており、これで広角・標準・中望遠と3種類が揃う形となります。
間違いなくオリンパスレンズの中で柱となるプライムレンズシリーズ。今後がとても楽しみです。
Photo by MAP CAMERA Staff