『Panasonic LEICA DG VARIO-SUMMILUX 10-25mm F1.7 ASPH.』は世界一の明るさを誇るズームレンズです。ズーム全域でF1.7というのは、当レンズをおいて他にありません。 超広角20mm、広角24mm、広角28mm、準標準35mm、標準50mmといった定番の大口径単焦点レンズを1本にまとめた優れものです。筆者はそのスペックを目にしたときから、使ってみたいとウズウズしていました。
マイクロフォーサーズ×F1.7通しズームレンズ。この組み合わせにしか撮れない写真がたくさんありそうです。そんな淡い期待を胸に、街に飛び出しました。
こちらは「月の松」と呼ばれる松です。江戸時代の浮世絵師である歌川広重の「名所江戸百景」に、このように枝が丸まった松が描かれています。その絵にある松は明治初期の台風でなくなってしまったのですが、2012年にこうして復元されました。
丸いポンポンのような菊。とても可愛らしい花です。品があり、どこかおめでたい感じもするのでお気に入りです。写真を見ると、小さな花弁ひとつひとつなど細かいところまで解像できているのがわかります。
公園の何気ない風景ですが、光と影が美しいと思い写真に収めました。選択したのは10mm(35mm換算20mm)。何かにフォーカスしすぎることなく、写したかった光と影全体を撮ることができました。
太陽を枝で隠すこともできたのですが、ちょっと意地悪をしてそのまま撮影。結果として嫌なゴーストが出ることもなく、光学性能も優れていることがうかがえます。
こちらはおみくじロボットです。コインを入れると、ロボットがおみくじを扇子に乗せて運んでくれます。顔立ちが中国風で歯や目を剥いていたり、肩幅がとても広かったりするので、なんだか少し怖い感じもする不思議なロボットでした。
ゴマ団子を開放F値1.7でふんわり美味しそうに撮りました。拡大していただくとおわかりいただけるかと思いますが、流石F1.7。とてもピント面が薄いです。そしてピントが合っている部分は鮮明で、ゴマ一粒一粒の照りが瑞々しく再現できています。
こちらはノゲイトウでしょうか。ノゲイトウの別名は色々あり、犬尾、犬鶏頭、狐火、能計以土介、野鶏冠、野鶏頭などと書くそうです。開放F値1.7で撮影し1本を際立たせましたが、きれいなボケ味を見せてくれました。
「開放F値1.7通し」がもたらす世界
このレンズでないと撮れないものがたくさんありそう、と冒頭に書きました。今回は時間の都合で試せなかったのですが、暗いステージでのダンスの写真などがその代表例です。動きもののため、シャッタースピードは速くしなければなりません。舞台は暗いので必然的に絞りは開放となります。開放になるとピントが浅くなり、目にピントを合わせると手先がボケるなどということが起こります。また複数人にピントを合わせるのも難しくなります。フルサイズでF1.7であれば大きくボケすぎてしまうでしょうが、こちらはマイクロフォーサーズ用レンズなので、ボケすぎてしまうことがありません。明るさを確保し、且つ、ピントの幅も確保できる。それが必要な場面は意外と多いです。筆者はステージをよく撮るので、その方面でこのレンズが活躍してくれると確信しています。過酷な環境での撮影が可能であるということは、撮影の幅が広がることを意味します。ぜひいろいろなシーンでお試しいただきたいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff