昨年12月、SIGMA STAGE Onlineで発表された「Iシリーズ」第一弾のトリを飾るのは広角レンズ『SIGMA Contemporary 24mm F3.5 DG DN』です。レンズ構成は8群10枚。シグマ独自の特殊低分散ガラスSLD1枚と高精度グラスモールド非球面レンズ複数枚を採用し、性能に妥協をしないままコンパクトネスを実現させました。『SIGMA Contemporary 45mm F2.8 DG DN』と合わせても約440g。『SIGMA Contemporary 35mm F2 DG DN』や『SIGMA Contemporary 65mm F2 DG DN』で3本組み合わせても総重量1kg未満。常に持ち歩くというコンセプトに沿った素晴らしい製品に仕上がっています。最短撮影距離約10.8cm、最大撮影倍率1:2という特長も気になるところ。早速その写りを見てみましょう。
一斉に羽ばたくカモメ。何度も足を運んでいる場所ですがなかなか見たことのない光景だったので、高速シャッターとAF-Cでひたすらにシャッターを切ってみました。澄み切った青空を「FOVクラシックブルー」がさらに印象的にしてくれました。広角レンズということもありますが今回「Iシリーズ」を使った中では『SIGMA Contemporary 24mm F3.5 DG DN』が最もコントラストが高めで色が良く出る印象です。
普段バス停の標識をあまり意識して見たことがないですが、おしゃれなデザイン?開放絞りで手前にピントを置いた時の背景のボケ感がどう出るのか気になっていたのですが、「これくらいで丁度いい」ボケ量です。
このレンズの最短撮影距離は約10.8cm、最大撮影倍率1:2。とかなり寄れるレンズなのですが実際どれだけ寄れるのか試してみたところフードを付けた状態でフード先端に僅かな隙間がある、くらいまで寄れました。これだけ寄るとやはり描写に柔らかさが出てきますが光の滲み方などとても綺麗で、使い方によって面白い表現が出来るなと思いました。
深みのある赤の色が気に入りました。最短撮影距離まで寄らずに少し遠ざけるだけで解像感がグッと出ます。これだけ背景との距離があればボケるので被写体を印象的に写すことも出来ると思います。
どうでしょう、1段絞っただけですがフロント部の網目の解像感。個人的にはゆるやかなボケ感がとても気に入りました。
コーヒーを飲みながら店内にある本を読めるカフェにて。ちょっと興味のある本があったので読もうと開いたら全て英語表記だったため、そっと本を閉じ被写体になってもらいました。手元のものも気軽に撮影できるのでテーブルフォトで使うのも楽しいレンズです。
一風変わったデザイン性の高い本棚。射し込む夕日に映えていたので撮影しました。ほんの1段くらいしか絞ってないのですが、書籍の文字までしっかり解像できていることに少し驚きました。陰のトーンがとても色っぽいです。
日も暮れかけ、休息を取る人と車。と言っても実は日に照らされた車がかっこよかったイメージだけで撮ったので、人がいたことに気付いたのは帰ってからです。広角レンズで縦構図を撮るとき、地面より空の配分が多いと開放感が増す気がします。
夕日に照らされシロガネヨシが黄金色に輝いてました。横構図ですこし低めの角度から撮影することで少し被写体に迫られてくるような感覚があるのでしゃがんで撮りました。
ジェットコースターのレーンの立体感に惹かれて撮影。これも撮った後に感じたことですが、金属の網目の細いところまでよく解像してくれていると感心しました。隅の手すりを見ても極端な歪みは見受けられませんし、本当に優秀なレンズだと思います。
日が暮れかける直前の横断歩道。影が一番伸びる時間帯に撮ることが出来ました。少しわかりにくかもしれませんが、画面上部にわずかに出ているフレアが個人的にはお気に入りです。フレアやゴーストは時に撮影者の感情を表現するのに役立ってくれます。そういう意味でもこの”Iシリーズ”は撮影者の日常を記録するのにとても適したレンズであると感じました。
小柄で手軽で自由な広角
さて『SIGMA Contemporary 24mm F3.5 DG DN』いかがでしたでしょうか。コンパクトな広角単焦点オートフォーカスレンズとして、とてもハイパフォーマンスなレンズではないかと思います。広角レンズは慣れないうちは画面整理が上手くいかず、悩んで敬遠してしまいがちですがダイナミックな風景を撮るならぜひ使いたいレンズです。筆者自身あまり普段は触らない画角で戸惑っていたのですが、フットワークの軽い撮影に終始助けられ最終的には24mmも楽しい!と思えるレンズになりました。今回は『SIGMA fp』の組み合わせで使いましたが他のLマウントカメラに装着しても違和感のない造りの良さ。お手軽な広角レンズを探していた方にぜひオススメしたいレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff