今回は2011年に発売されたマイクロフォーサーズ用広角レンズ『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0』をご紹介いたします。所有欲をくすぐる金属外装のデザインに広角12mmF2、最短撮影距離が0.2mというとてつもないハイスペックが僅か130gに収められたレンズ。「ハイグレードスナップレンズ」として称された本レンズには“スナップショットフォーカス機構”が搭載されており、マニュアルファーカスの操作も瞬時に切り替えが出来るようになっています。当時はシルバーカラーのみでしたが、限定でリミテッドブラックキットが発売となりましたが、すぐに売り切れ。その後 あまりの人気から定番カラーとして発売されることとなりました。マイクロフォーサーズの単焦点レンズのクオリティに高さを世に知らしめた『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0』。その写りをぜひご覧ください。
いかに引いて、寄って、取り込むか。広角レンズは僅かな上下のアングルで構図がガラリと変わります。もう少しベースラインを下げてもいいかなと思い下げると、上の反射しているところが無くなってしまったり。個人的には試行錯誤が楽しい画角です。
東京はもう新緑の季節を迎えていて、さわさわと若葉が風に吹かれ木漏れ日が美しく揺れていました。レンズのコントラストがとても良好で明暗差のあるシチュエーションでもしっかり写してくれます。
広角でありながらF2の開放値があるので気持ちのいい立体感とボケ感が出ます。被写界深度の深いマイクロフォーサーズ用の広角レンズだったので、これだけボケてくれるのは嬉しい想定外でした。
陽が射し込んできたタイミングを狙い撮影。前後に奥行きがある構図ですが、F5.6くらいまで絞ればほぼパンフォーカス撮影が可能です。あまり明るくないシチュエーションだったためシャッタースピードが遅くなりましたが、オリンパスの手振れ補正があればこのくらいは平常運転。何の心配もなく撮影できました。
猫の警戒心でその地域の猫との付き合い方というか距離感が分かったりもしますが、この子は人に慣れているようで最短撮影距離まで寄って撮影することが出来ました。ピント面の解像はもちろん、広角レンズとしては十分なほどのボケ感も出してくれます。カシャカシャとなるシャッター音に時折しっぽをブンと一振りする猫、筆者がこの場を去ってなお、眠り続けていました。
水溜まりといえばリフレクト。見事なシンメトリーを見せてくれました。ちょっと無茶な姿勢からの撮影も疲れることなく出来る。大型なカメラやレンズでは物理的(体力的)にも諦めてしまうこともあるので「軽さ」はマイクロフォーサーズの最大の強みです。
構図を考えるでもなく、ふと振り返った時の光が綺麗だと感じた瞬間にシャッターを切る。そんな写真を撮った時に情報が豊富な広角レンズというのはやはりスナップに向いている気がします。一段ほど絞るだけでより引き締まった解像感が得られるので散歩のお供にもおススメです。
川沿いの花壇に咲く花なのですが、そういった要素は見せないように見上げる視点で撮影しました。背景のビル群も程よくボケてくれています。今回の撮影ではフードを付けずに撮影しましたが、逆光でも影響が少ないというのは素晴らしいことです。絞りも開放ですがピント面の輪郭もしっかりしています。
130gという自由
現在のレンズラインアップでは手振れ補正機構を搭載した12mmスタートの優れたズームレンズが存在しており、ただ広角を撮るだけであればあえて単焦点の広角レンズを選択する理由は少ないかもしれません。しかし、いざ使ってみるとこの小型軽量で質感も良く、描写性能も申し分ない本レンズをとても魅力的に感じました。しかも片手でパシャパシャと撮れるので、普段なら撮らないローアングルやノーファインダーでの撮影など「撮ってみたい」という直感だけでシャッターを切る回数がグンと増えるのです。カメラデザインに合う金属外装やF2だからこそ得られるボケ感、写欲をくすぐるハイパフォーマンスな『OLYMPUS M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0』。マイクロフォーサーズユーザーならぜひ手にしていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff