SONYから魅力的なコンパクトデジタルカメラが登場しました。『SONY Cyber-shot DSC-RX100』、1.0型センサーとF1.8レンズを搭載しつつシンプルにまとめたそのボディは驚きのコンパクトさ!想像以上に薄く、軽いボディはまさに手のひらサイズ。レンズも薄く収納され、レンズバリアも装備されているのは日常使う上でとてもありがたいものです。
さてその描写はというと…この仕上がりです。コンパクトとしては異例の大型センサーを搭載している事、そしてツァイスのバリオゾナーの優秀さも手伝ってか、ピント面のシャープさは素晴らしいものがあります。前後のボケも自然であり、さすがはハイエンドクラスのコンパクトです。
明暗の中に浮かび上がるような被写体もしっかりと描写。取り込む諧調幅もしっかりあるので美しいトーン再現です。タイルの質感もしっかりと再現してくれます。
荒れたドアの塗装、古びた金属と木材の枯れ具合。触るとざらつきそう…そう感じさせてくれるのですから、描写力は一級のものと言えそうです。
すみません、ナンバープレートは加工させて頂きましたが、細かい被写体、動体もしっかりと描き止めてくれています。また特筆すべきはフォーカスのスピード。パッと振り返りさっと撮影しても、しっかりと手前の車にフォーカスを合わせてくれました。他のシーンでもオートフォーカスが迷う事はほぼ無く、また静かなそのフォーカシングは『Cyber-shot DSC-RX100』の大きな美徳と言えそうです。
マクロ域でもフォーカスが早いのは嬉しい限りです。ボケも驚くほど柔らかく、センサーサイズが大きいながら約5cmと、しっかり寄れるのも嬉しい所。
広角域でも、その描写のシャープさは損なわれません。しっかり情報を残したトーン再現です。嫌なゆがみや周辺部の減光も見られず、良好な描写です。
遠くのレンガの細かい質感も良く出ていますね。なるべく荷物を減らしたい旅行等でも、このコンパクトさは大いにお勧めしたい所です。
こんな重厚な描写が期待できるコンパクトデジタルは、なかなか多いものではありません。石材の凹凸に反射する光の複雑な諧調も見事に捉え、思い通りの画を残してくれました。
驚くほどヌケの良い、気持ちいい描写です。様々な青のトーンをしっかりと描き分けてくれます。タイルの細かな張り込みも、中心と周辺で全く遜色無く描写しています。1枚1枚に色の違いもあるのですね、撮影時には気がつかなかった微妙な差異まで、的確に写し取ってくれています。
最後にこの1枚。ISO3200での撮影ですが、ディティールの欠損もそこまで大きくなく、十分に「使える」印象です。F1.8の大口径レンズに、この高感度耐性の良さ。様々なシチュエーションで使える事が求められるコンパクトデジタルとして、この万能さは大きな魅力です。
レンズが大きい、のではなくボディが小さいと言えそうです。シンプルかつ質感の良い外装のフィニッシュは…文句なしにかっこいいもの。レンズ外周部のコントロールリングでの操作性も良好で、使っていて気持ちのよいカメラである事は間違いありません。ソニーが贈る新しいハイエンド・コンパクト。魅力的な1台に仕上がっています。
Photo by MAP CAMERA Staff