キヤノン「EOS Kiss X6i」には、「新しいEOS」の始まりを感じる。ライブビュー撮影のための、位相差検出AF用の画素を組み込んだハイブリッドCMOSセンサーを搭載。これによって、高速な位相差AFで大まかなピント合わせを行い、次いでコントラストAFで微調整的にピンと合わせを行うことで、コントラストAFの弱点であったAF速度を大幅に短縮に成功している。
さらに、このハイブリッドAFだけではなく、応答性・制御性に優れたSTMレンズをキットレンズにラインナップしてきたのである。STMレンズは、動画撮影時のコンティニュアスAF時に必要な、被写体を追い続ける応答性に優れており、この2つを合わせることでキヤノンは他社にはない魅力的な製品としてEOS Kiss X6iを送り出してきたのだ。
そのほか、基本性能もブラッシュアップされ、ファインダー撮影時の9点のAFセンサー全てがクロスセンサーとなり中央以外でも、AF検知の性能が向上している。クロスセンサーとなったことでAIサーボAFによる動体予測の信頼性が向上した。さらに、この性能向上を受け止めるべくドライブモードは、最高秒間5コマの高速連写が可能となった。
EOS Kiss X6iは、エントリーモデルだからこそカメラの基礎体力を上げることで全てのユーザーの満足度が向上させる、そのように感じた。
EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMは、35ミリ判換算28.8-216mm相当の万能ズームレンズだ。今回試用して感じたのは、レンズ1本で広角から望遠まで撮影できると、イマジネーションが途切れることなく撮影に集中できる点だ。目の前に広がる風景全てを捉えるのも、美しく重なる造型を切り出すのも自在に行える。あとは、シャッターチャンスを待つのみ。
自由な角度をつけられるバリアングル液晶モニターは、約104万ドットの高精細タイプ。ライブビュー撮影時の自由度だけならEOS Kiss X5と同等だが、EOS Kiss X6iにはデジタル一眼レフカメラ初となる「タッチパネル」を採用している。これにより、メニュー項目の選択を直接画面にタッチして選べるだけではなく、ピントを合わせたいところにタッチして撮影できる「タッチシャッター」機能も実現している。タッチシャッターはAFフレーム選択要らずで直感的に操作できるため、特に初心者にオススメしたい機能だ。
最新の映像エンジンDIGIC 5と新開発の約1800万画素CMOSセンサーで高感度にも強くなっている。
「STM(ステッピングモーター+リードスクリュー」によるライブビュー時の静粛性と高速化を極めたEF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STMは、USMとは違った静粛性が素晴らしく動画撮影時のAF作動音に関して全く問題がない。
特筆すべきは、動画専用のダイナミックISモードが搭載されたことで、デジタル一眼ムービーとは思えない手持ち撮影が可能となった点だ。実際に、歩きながら撮影してみたのだが静止画でいう「ブレ」ではなく常におこる「揺れ」を打ち消すため映像が常に安定する。サンプル動画では、普通に歩いているので足が地面に着いたタイミングで補正しきれないショックがあるが、歩き方を工夫することで浮遊感のある独特の映像表現も可能となるだろう。
Photo by MAP CAMERA Staff
使用機材:Canon EOS Kiss X6i +EF-S18-135mm F3.5-5.6 IS STM