2012年10月26日より、オリンパス「STYLUS XZ-2」が発売となった。前機種であるXZ-1は、明るいレンズと滑らかなボケを持つ光学メーカーとしてのオリンパスのこだわりが感じられるコンパクトデジタルカメラだ。あれから一年以上経過して世に送り出される「新しいXZ」はどんなカメラなのだろうか?!
XZ-1はシンプルなデザインの中に、オリンパスがマイクロフォーザーズなどで培ったUI(ユーザーインターフェイス)を盛り込んだ完成度の高いカメラであった。XZ-2はさらに撮影に必要な機能をこれでもかと言わんばかりに盛り込み、光学メーカーのオリンパスとカメラメーカーとしてのオリンパスが出した一つの答えと言えるだろう。
反面、美しいデザインからやや無骨なデザインとなってしまったが、実際に手にしてみると質感の高さとシャッターボタンの押し心地の良さなど、見た目以上に中身にこだわっていることがすぐに実感できる。手に伝わる触感は、着脱式となった新しいグリップと背面のサムグリップの手に馴染む感覚と、金属製のボディーパーツによるワンランク上の剛性感だ。
背面に配置された各種ボタン、コントローラーは誤操作しない絶妙な位置にありつつ、適切な操作感を得られるサイズとなっている。コントロールダイヤルは、軽すぎず程よくクリック感があり軽快な操作が可能だ。もちろんメニュー操作などもレスポンス良く追従するので、操作の一体感を感じられるところでもある。
もちろん前面にあるハイブリッドコントロールリングもXZ-1から受け継いでおり、絞り操作やMF操作など直感的な操作が可能となっている。ハイブリッドたる所以は、クリック感のある絞り操作、滑らかな回転のマニュアルフォーカスなど、ハイブリッドコントロールリングに割り当てられた機能に応じて贅沢にも操作感が変わるところである。
操作系には、新たに背面の「Fn1」ボタン、前面のスイッチ式で機能を切り替えることができる「コントロールレーバー」とその軸部分に設けられた「Fn2」ボタンが追加された。それぞれに機能を割り当てられるのだが、Fn1ボタンとFn2では割り当てられる機能が違う。Fn1ボタンはNDフィルターのオン/オフやAEロックなどここぞという時の機能、Fn2ボタンにはブラケット撮影やカラーモードなど即変えたい機能が割り当てられる。
実際に手にしてみると分かるのだが、Fn2ボタンは右手の薬指ですぐに押せて、そのまますぐ右手の親指のコントロールダイヤルを操作できる。Fn1ボタンは押すことで決定できる機能が割り当てられており、この二つのボタンは使い勝手を考慮した上での実用的なものとなっている。
コントロールレバーにはMF/AF切り替えやハイブリッドコントロールリングの機能切り替えを割り当てることが可能で、その形状から目視で確認すること無く指先で位置が分かるすぐれものである。
これらの優れたいわゆるアナログ操作をもってしても、まだ直感的に操作できない部分がある。各種メニューの項目の選択もそうだが、やはりAFポイントの指定が撮影時には煩わしい。そこで新たにディスプレイにはタッチパネルを搭載することで、タッチシャッターとタッチAFを実現している。撮影時は構図を決めることに集中し、ここぞというピントを合わせたい場所をタッチするだけでピントが合う直感的な操作が可能となった。
XZ-2に搭載されている35mm判換算28-112mm(F1.8-2.5)の光学4倍ズームレンズi.ZUIKO DIGITALは、少しだけ色収差のある味のあるボケ方をしており、XZ-1同様ボケ方はレンズ交換式カメラのそれに近い。点光源はエッジがあり、かなり解像感重視の設計であるように思える。
作例の中の点光源やボケ方は、コンパクトデジカメの写りとは一線を画すXZ-2の総合力を感じることができた。
最後に、XZ-2を使ってみて感じたことは、明るいレンズと滑らかなボケだけではなく、より人に近づいた素晴らしいカメラであるということだ。そして、あえて商品としてのクラス分けすることなく、レンズ交換式のマイクロフォーサーズシリーズと一貫した操作系としたことで、カメラの使い分けそして共存ができるオリンパスの最強の布陣が完成したのではないだろうか。
Photo by MAP CAMERA Staff