コンパクトなボディにAPS-Cサイズのセンサーを搭載し、Canonの高画質が手軽に楽しめる機種として人気の『EOS M シリーズ』。初代のMからM2、M3と徐々に『本格的な味付け』が加わり、新型でより本格志向のカメラへと進化しました。今回のKasyapa最新モデル『Canon EOS M5』をご紹介します。
今までのシリーズと決別するかのように大胆なイメージチェンジをしたEOS M5。これまでのモデルではオプションだったEVFファインダーをボディに内蔵し、AFシステムや操作系も大きく進化を遂げました。
まずはその画質性能から。『EOS M5』に搭載される2420万画素のCanon製CMOSセンサーは高解像度と広いダイナミックレンジを持ち合わせています。そびえ立つ高層ビルの窓ガラスが空と雲を映している姿を撮影した一枚ですが、その先鋭な描写に驚きました。
キットレンズのEF-M18-150mmとは別に持ち出したもう1本は、EF-Mレンズシリーズの中では最大望遠域をカバーする「EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM」。35mm換算で最大320mm相当の撮影が楽しめます。 これまでも何度かKasyapaの撮影で訪れるている動物園ですが、300mm超えのシステムを持ちながらの撮影としてはフットワークも快適で、気兼ねなく撮影が楽しめました。。 置物のように鎮座していた百獣の王が突然の大あくび。慌ててシャッタを押しましたが、素早いピント合わせで一瞬のチャンスを逃さず撮影できました。小型軽量ボディとは思えない速写性に大幅な進化を感じた瞬間です。
高精細な描写は高い場所に止まる鷲も綺麗に捉えてくれます。木漏れ日がスポットライトのようになり白い羽が中央部で輝いたようになりましたが、明暗のバランスの良さで定評のある映像エンジン『DIGIC 7』だけあって、階調豊かに捉えているのがよく分かります。そして、ISO感度も2500位ではびくともせず、ノイズも抑えられたクリアな画像です。
撮影日は低い位置に薄い雲が広がっていて、時おり雲の切れ間から強い日差しが差し込むというカメラ泣かせの天候。 展望施設に登るとちょうど海の部分にだけ日差しがあるという不思議な光景に遭遇しました。黄金色に輝く海に露出を合わせると対岸のプラント街はまるで夜の世界。 ここでも明暗差の大きなシーンへの強さを確認できました。暗部の様子をしっかり捉えていて、広いダイナミックレンジを持つ2420万画素のCMOSセンサーが、光の絶妙なニュアンスを表現してくれます。
港のキリンとも呼ばれる大型クレーンですが、ワイヤーまで確認できる非常に高い解像力です。雲のグラデーションも絶妙です。
煙の迫力がより目立つようにモノクロで仕上げてみました。 豊富なクリエイティブフィルターが用意されており、作品作りの楽しさが広がります。
今までの『EOS M シリーズ』を見ると軽量・コンパクトで高画質というのがウリでしたが、近年のミラーレス機の技術進化は目覚ましく、これまでミラーレス機が苦手とされていたAFの高速化や動体追従性能の強化、プリズムファインダーにも負けないクリアなEVFや過酷なフィールド撮影にも対応できるタフなボディ設計など、中・上級機の一眼レフと肩を並べる高性能機が多く登場してきました。それはカメラが変わっただけでなく、ミラーレス機に対する認識や求める性能が変わってきた結果だとも言えます。そんな「ミラーレス機乱世」に突入した現代に指標を合わせてきたのが今回の『Canon EOS M5』と言えるのではないでしょうか。
今までは必ずしも「高速」とは言えなかったAFシステムを一新。 EOS 70Dで技術革新とも言われた『デュアルピクセルCMOS AF』を搭載した事により高速AFを実現しただけでなく、どんな撮影条件でも迷う事なく一発で合焦する実力と撮像素子自体が位相差センサーの働きをする事により、広い範囲で動体を追従する事も可能になりました。
操作系もより撮影者主体になったと言えばいいでしょうか、豊富な操作ダイヤルとファンクションボタンにより、一眼レフのようにファインダーから目を離す事なく撮影設定の変更をする事ができます。また、背面液晶を指でなぞって「タッチ&ドラッグAF」もできますから、静止画撮影のAFポイント変更だけでなく、動画撮影時のなめらかなフォーカスシフトも可能です。
冒頭1枚目の写真でも感じたハイキーでの白の粘りは素晴らしいですね。この写真では植物の影が映っている板の模様までしっかりと確認ができます。
ブルーベリーの葉が真っ赤に紅葉し、風と共にはらはらと散っていました。アンダー気味での色の深さと発色もCanon機らしい美しさです。シャドウ部の階調表現も豊かですから、撮影後のRAW現像でも自由度が高いはずです。
ススキが西日で輝いてました。光が素通しの一眼レフでは、撮影しにくい完全逆光の状態でも高精細な電子ビューファインダーのおかげで、しっかりピントを確認しながらシャッターを切ることができました。 そして、クリアに捉えるカメラとレンズの性能にも驚きます。超望遠ながらコンパクトなレンズは、フレアも少なくとてもクリアな描写です。
冷たい風が吹く中、毛を逆立てて丸くなり必死に寒さをこらえる猫を発見。ビックリさせても可哀想なので少し離れた場所から望遠で撮影をしましたが、フカフカの毛並みはしっかり捉えることができました。ローアングルの撮影ではフリーアングルの液晶モニターが本当に便利です。強力な手振れ補正は、タッチでピントを合わせる際の片手持ちもしっかりサポートしてくれます。
『Canon EOS M5』はメーカーの本気度を感じる完成度の高いミラーレス機でした。中・上級者が納得する高い撮影性能だけでなく、これからステップアップを目指して本機を手に取るビギナーにもわかりやすいインターフェースや、充実してるオートモードなどは実にCanon製品らしい配慮がされているカメラだと感じます。
また、今回使用したレンズ『EF-M18-150mm F3.5-6.3 IS STM』と『EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM』も好印象でした。テレ側がF6.3というレンズの明るさを気にする方も居るかと思いますが、私個人的にはこのコンパクトなサイズで軽量なのに描写力が高い、そして値段も高価すぎないというレンズコンセプトに大賛成です。カメラに付けた時のバランスもいいですからね。スナップや旅行で歩きながら撮影するには最適です。
『Canon EOS M5』は今までの方にも、これからに方にも満足のいくミラーレス機だと思います。今ですと年末の旅行に持っていきたいですね、真っ白い雪景色も、南の島の青い海も、この一台で美しく残せるはずです。
Photo by MAP CAMERA Staff