『EOS M5』が昨年秋に発売されたことが記憶に新しいですが、早くもキヤノンから新たなミラーレス一眼が登場しました。『EOS M6』という名前からして最初はM5の後継機かな?と思っていましたが、どうやらM5ではなくM3の後継機にあたるようです。
M3の後継機と言えど、中身はM5とほぼ同等の高スペック。EVFの無いM5、と言っても過言ではないでしょう。EVFが無い分M5より高さが約2cmほど低くなったので、普段使いとして毎日かばんに入れておいても苦にならない大きさなのが嬉しいですね。気分によって別売のEVF(EVF-DC2)を取り付けて撮影を楽しむのも良いでしょう。
さて、今回は『EOS M6』を携えて動物園へ撮影に行ってきました!使用したレンズはダブルズームキットに付属している『EF-M15-45 IS STM』と『EF-M55-200mm F4.5-6.3 IS STM』の2本です。キヤノンのAPS-Cは35mm判換算する際に1.6倍になるので、他社のAPS-Cセンサーよりも0.1倍分焦点距離を稼ぐことが出来ます。
冒頭の写真は望遠ズームのEF-M55-200mmのテレ端で撮影した1枚ですが、1.5倍だと換算で300mmのところ、キヤノンの場合は1.6倍なので320mmで撮影をすることが出来ました。動物園や飛行場等、遠くのものを撮影したい時にこの「1.6倍」が効いてくるんですよね…。タッチ操作のおかげでピント合わせが容易なのも嬉しいです。
動物たちに威圧感を与えないコンパクトなボディと静かなシャッター音、そして何より使いやすい操作系のおかげでカモの親子をばっちり写真に収めることが出来ました。
東京は徐々に暑くなり、日差しもだんだんと夏の厳しさを帯びてくるようになりました。抜けるような青い空に木々の緑がよく映えます。
あまりにも気持ちいい天気だったので空に向けてシャッターを切りましたが、キットレンズと言えども逆光耐性はかなりのもの。コントラストの低下も見られず、キヤノンらしい鮮やかな発色が印象的です。
うだるような暑さにやられてしまったのでしょうか…。野性味のまったく感じられないメスライオンに人だかりが出来ていました。
こうやっているのを見ると、ライオンがネコ科であることを思い出します。ちょこんと曲がった前足が可愛らしいですね。
本機はキヤノンミラーレス一眼の中でもミドルクラスに位置付けされますが、余計なものがなく使いやすい操作系、タッチパネル・自分撮り対応のチルト式モニター、撮って出しでも十分に美しい発色等、初めてカメラを購入するという方にも胸を張っておすすめしたい1台です。
少しカメラのレビューとは離れてしまいますが、本機に付属しているストラップがとても使いやすかったのが個人的にとても嬉しかったです。
EOS Mシリーズように軽いカメラの場合、重さで固定されないためふとした瞬間にカメラが肩から落ちてしまうことがしばしばあるのですが、本機にはフルサイズ機の付属品と比べても遜色ないしっかりとした材質で作られたストラップが付いていたので重さを感じないだけでなく安定性も抜群に良かったです。機材名の記載が無く、「EOS」とだけ書かれたシンプルなデザインも良いですね。
EOS M3は条件によって位相差AFが行える仕様となっていましたが、M5と同等の性能を持つ本機は「デュアルピクセルCMOS AF」を採用しているため、条件に関わらず位相差AFを行えるようになりました。これによりAFの速度と精度が大幅にパワーアップ!小柄ながらもホールド性の高いグリップのおかげもあり、風に揺れるポピーもブレずに捉えます。
1点AF使用時にAFフレームサイズをサブ電子ダイヤルで小さくすることが可能です。AFフレームサイズを小さくすることで、ピンポイントでAFを合わせたい場合に非常に役立ちます。
また、コントローラーホイールのある位置にMFボタンがありますが、これを押すことで簡単にAF/MFの切り替えが出来るのも嬉しかったです。
明暗差の激しい被写体でもこの通り。階調の豊かさを感じる1枚です。
拡大をしてみると、フラミンゴの形に並べられた薄いピンク色の石も白トビすることなく、更に石の質感まで損なわずに写しだしてくれています。
最高約9.0コマ/秒の高速連写を生かして、親鳥から餌をもらっている雛鳥を草むらの陰から激写!忙しなく動く小さな体を追うのに苦労するかと思いきや、高性能なAFと連写性能のおかげでこの通り。親鳥から餌をもらおうと一生懸命首を伸ばしている姿が愛らしいですね。
閉園間際、少し日も傾き始めたころに撮影をしたので高感度での撮影になってしまいましたが、ISO3200であることを感じさせないクリアな描写には驚きました。フクロウの羽根の細かい模様まで繊細に写し出してくれています。
また、EF-M 55-200mmのボケの美しさにもうっとり。フェンス越しの撮影であることを忘れてしまいそうです。
上の写真は別売のEVF『EVF-DC2』を取り付けた状態の『EOS M6』です。実はカメラだけでなくこの別売のEVFも進化を遂げており、前モデル『EVF-DC1』と比べて約29gの軽量化を果たしています。デザインもよりスタイリッシュでコンパクトになりました。
スイッチを押しながらでないと取り外しができない仕様になっているので、うっかり落としてしまった…なんてことにもなりません。
さて、肝心のカメラ本体ですが、見た目は確かにM5よりもM3寄りでコンパクト。しかしながらなかなかの高級感があり、性別を問わずに愛されるユニセックスなデザインが魅力的です。スタッフ間でも「かっこいいね!」と大好評でした。写りの美しさも然ることながら、見た目のデザインにも配慮が行き届いているのが分かります。
バッテリーは極端に減りが早いということもなく、動物園で1日撮影をしていてもまだ半分以上バッテリーが残っていました。(撮影枚数は350枚ほど)旅行に持ち出したり連写を多用する場合は念のため予備バッテリーがあると安心でしょう。
小型・軽量なのでどこへ行くのにも気兼ねなく連れて行ける『EOS M6』。
「このカメラと一緒に、いろんな所に行ってみたい。」そんな気持ちにさせてくれる1台のご紹介でした。
Photo by MAP CAMERA Staff