ニコンからDXフォーマット用の超広角ズームレンズ「AF-P DX 10-20mm F4.5-5.6G VR」が発売されました。
35mm換算で15mm相当からのワイドな撮影が楽しめる新レンズは、広角撮影が苦手な印象の強いDXフォーマット機のイメージを大きく変えてくれる1本です。早速、その描写をご覧いただきましょう。
まずは定番の東京駅から。丸の内駅舎前の広場の工事も進み、より広いスペースで撮影ができるようになりました。その広さと大きな駅舎を存分に伝えるダイナミックな描写です。今にでも夕立が来そうな不穏な雲も捉えようと少し上向きにカメラを構えると、広角レンズ特有のパースがより建物の迫力を強調してくれます。また歪みのない綺麗な直線からも、レンズ性能の高さが伺えます。
被写体に大胆に寄って、デフォルメ効果やボケ味を楽しむのも超広角レンズならでは。さすがに大きなボケとはなりませんでしたが、周辺減光もなく、柔らかく上品なボケ味を感じることができました。
これまで、何本ものNikonレンズを試してきましたが、恥ずかしながらステッピングモーターの「AF-P」レンズを使うのは今回が初めて。静かで高速に合焦するAFに驚きです。元々、被写界深度が深い広角レンズなのでピント自体は合わせやすいのですが、画面内を移動する被写体があっても、シャッターボタンに指をかける度にしっかり追いかけてくれる素早さを感じることができました。
桟橋には大型客船が停泊中。せっかくなので船の大きさを体感すべく、桟橋の端まで歩いてみました。
コンパクトで軽量な本レンズの重さは約230g。撮影に使用したグリップの握りやすいD7500と合わせても1Kg未満で、手持ちで歩いていても苦になりません。小型軽量のDXフォーマットの恩恵を存分に感じることができる組み合わせです。
細かなレンガを重ねた赤煉瓦倉庫の写真を見返してみると、改めて本レンズの解像感の高さを感じることができます。避雷針や、瓦屋根、広場のタイルまで細かい部分までしっかり捉えており、最新レンズらしい高精細デジタルカメラとの相性の良さを感じることがきました。
太陽光が割り込むシーンも多い広角レンズ。ナノクリスタルコートが施されていないため、フレアやゴーストの発生を心配しましたが、意外と逆光耐性は高そうです。強い斜光でも周辺までクリアでコントラストの高い描写が確認できました。
暗いシーンの撮影の際、頼りになる3.5段相当の手ブレ補正機能も忘れてはいけません。広い画角のためファインダー越しではあまり効果を実感できませんでしたが、実際にスローシャッターで撮影すると、その効果を感じることができます。
スポットライトによる明暗のグラデーションも綺麗で、クリア感の高さが分かります。
ブレも抑えられているので、計器のメモリなど細かい箇所もとてもシャープに捉えています。
最短撮影距離は22cm。レンズ自体の長さを考慮すれば、レンズ先端から十数センチまで寄ることができます。
D7500のバリアングル液晶を駆使しながらローアングルで接近。静音で瞬時に合焦するステッピングモーターのおかげで、猫を驚かせることなく近接撮影をすることができました。シャッターも液晶画面を見ながら猫の目の部分をタッチするだけ。AFが早いとタッチシャッターのレスポンスも良く、カメラの性能も向上したように感じます。
携帯性良く、描写もAFスピードも申し分なし。期待以上の性能を披露してくれました。そして何より注目したいのがコストパフォーマンスの高さです。
これまでDXフォーマットの超広角を担ってきた「AF-S DX 10-24mm F3.5-4.5G ED」と比べて半値以下と、とてもお財布に優しいのです。望遠端側が短くなっていたり、開放F値が少し暗くなっていたりと、多少のスペックダウンはありますが、それを補う価格面のメリットは大きいのではないでしょうか?
よりお求めやすくなった超広角ズームレンズは、DXフォーマットの苦手意識をなくし、より広角撮影を気軽にしてくれることでしょう。
Photo by MAP CAMERA Staff
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