最初にして最高傑作。ライカ初のM型カメラ『M3』を語るときによく使われる言葉ですが、この撮影で思い浮かんだ言葉がまさにそれでした。今回のKasyapaはパナソニック初のフルサイズミラーレス機『LUMIX DC-S1R』のご紹介です。ミラーレス機の黎明期から業界を牽引してきたパナソニックのLUMIXシリーズ。昨年ライカ、シグマと共にLマウント アライアンスを発表し、フルサイズミラーレス市場への参戦を示しました。その第一弾として発売されたのが『LUMIX DC-S1R』と『LUMIX DC-S1』の2機種なのですが、その驚愕のスペックに世界中のカメラファンが震撼しました。ローパスレス約4730万画素の新型CMOSセンサー(S1R)、耐久40万回のメカニカルシャッター、そして世界最高の電子ビューファインダーと言っても過言ではない約576万ドットの超高精細EVF。パナソニックが初めて作り上げたフルサイズミラーレス機は、他を大きくリードする魅力的なカメラです。
使用機材:Panasonic LUMIX DC-S1R + LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.
春のコントラストを意識して撮影した一枚。まず使用した瞬間に驚くのがファインダーです。瞳の解像力に迫る576万ドットEVFは、被写体の空気感も伝わる素晴らしい見え方に感動しました。今まで経験したことのない高精細さです。また、搭載された水準器も見やすく、建造物を入れたシーンでも楽に水平をとることができました。
今回の撮影では新レンズを3本持参しました。その中でも気になっていた『LUMIX S PRO 50mm F1.4』でサザンカを撮影した一枚です。全ての50mmレンズをベンチマークにして作られたという最高峰の単焦点レンズ。ピント面の解像力とボケの滑らかさ、歪曲収差、ハイライト部の色収差、周辺のコマ収差など、全て高い次元で満たしているレンズです。
実際に使って見るとすぐに「別格」のレンズであることが感じられました。ファインダーを覗いているだけで、目の前の景色が「特別」に変わるのです。万能なズームレンズも良いですが、このレンズもぜひ手にしていただきたい1本です。
最新技術と、カメラとしての本質。
大きなレンズに大きなボディ。まるでフルサイズ一眼レフのような出で立ちの『LUMIX DC-S1R』を使用して感じたのはハイパワーなセンサーやEVFを搭載しているにも関わらず、レスポンス良くキビキビと撮影ができる事です。最初は大きいと感じたグリップも、レンズを付けると「なるほど」と納得してしまうバランスの良さ。機能や操作性は今までのLUMIXシリーズで培われてきたノウハウと、様々なカメラを徹底的に研究して作られたのでしょう。ボタン類の配置やメニュー画面の分かりやすさなど、非常に完成度の高い仕上がりです。センサーもマウントも全て新規に作られた『LUMIX DC-S1R』ですが、そのポテンシャルは現在ラインアップされている全てのミラーレス機の中でも最高峰のものです。
レトロという言葉が似合う観覧車を撮影した一枚。繊細な空の色やゴンドラのディテールも見事です。
日没後、付近に街灯のない沼の辺りで撮影したカット。電子ビューファインダー越しに見ると肉眼ではほぼ見えなかった水面が、明るく美しく見えます。まさにファインダーの見易さが最大限に活きたシーンです。
暗い場所でもピント面がしっかり確認でき、合焦点からボケていくさまも芸術的。思わず何枚もシャッターを切った瞬間でした。写真はISO 4000と高感度ですがノイズはあまり感じられず、高感度耐性も見事です。
望遠ズームの「 LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.」も使いやすい1本です。重いイメージの望遠レンズですが、実際手にすると「LUMIX S PRO 50mm F1.4」とあまり変わらない印象を受けます。そして解像感もありボケも綺麗です。
重さが苦にならないレンズだからこそ、夕暮れの帰宅時にもレンズは付けっ放し。目の前に広がった夕焼けにも自然とカメラが向いてしまいます。黒く潰れるか潰れないかのギリギリの階調表現を表すことができました。
世界をリードする、渾身のプロフェッショナルモデル。
ライカ品質の高性能レンズ群、その性能を最大限に引き出すセンサーと画像処理エンジン、『LUMIX DC-S1R』はパナソニックが持つ全てのカメラ技術を投入して作られた一台だと感じました。他社と比べるとカメラメーカーとしてまだ歴史が浅いですが、LUMIXのライカレンズを作り続けてきた光学技術と、世界をリードするデジタル技術を持ち合わせたパナソニックの強みと本気を『LUMIX DC-S1R』から感じます。LUMIX Sシリーズは他のフルサイズミラーレスを追従するどころか、リードしていく存在になるでしょう。これからライカ、シグマと共に歩んでいくLマウント アライアンスが非常に楽しみです。
Photo by MAP CAMERA Staff