PanasonicLUMIX S PRO 24-70mm F2.8
『Panasonic LUMIX S PRO 24-70mm F2.8』は、ズーム全域で高い描写性能を発揮する、大口径ズームレンズです。赤い「S」のエンブレムは、ライカカメラ社の品質基準を満たす証。明るいF値から得られるとろけるようなボケ味と立体感が特徴で、風景から人物まで幅広く描き出してくれます。今日はそんな当レンズと相性ピッタリなS1Rを携えて、街へ撮影に出ました。向かったのは、いまではなかなかお目にかかれない古民家が保存されている公園。
とある古い家屋の一角に、美しい光が射していました。窓に向かって椅子が4脚並んでいます。こんな夕日の時間には4人並んで宿題をしたりしたのでしょうか。どのように使われていたのかと、当時に思いを馳せます。陽が当たっている箇所が白飛びすることなく、暗部まで滑らかな階調で豊かに描写されています。
歴史ある銭湯の脱衣場。窓ガラスに籠、広告に至るまですべてがレトロです。プロレスのポスターには力道山が笑っています。カメラ位置を少し下げ、子どもの視線くらいの高さで撮影したところ、更に懐かしい雰囲気の写真になった気がします。広角端で撮りましたが、不自然な歪みは見受けられません。
小さな消しゴムが売られていました。なんと小瓶に詰め放題! ダルマに三色団子、お寿司、富士山、招き猫などなど。なんて可愛らしいのでしょう。どれを詰めるか迷ってしまいます。また写真をよく見ると、消しゴムの断面の小さな破片まで見て取れます。端から端まで上品でクリアな発色である点もよいです。
文具屋さんの店内に筆が並んで掛けられていました。様々な太さの筆が取り揃えられています。F2.8開放で筆一本だけにピントが合うように撮影しました。前も後ろもまさにとろけるようにボケてくれました。
SHINAGAWAと書かれた年代物の耐火レンガ。現在も生産されているそうです。レンガと聞いて私が思い浮かべるものよりも色が薄い気がしますが経年がそうさせたのか、元々そういう種類のレンガなのかはわかりませんでした。しかし道に昔ながらのレンガが埋め込まれているのは風情があるものです。斜陽と相まって石の質感をしっとりとした描写で写し出してくれました。
こちらの趣のある洋館には各所にステンドグラスが飾られています。中でも階段の踊り場にあるステンドグラスは、一際大きく印象的です。法隆寺の五重塔の上を飛んでいるのは、14羽もの鳩の群れ。写真を拡大してみると、ステンドグラスの色が均一でないことがわかります。またガラスは少し波打っていますが、そのような微妙な描写も細やかに表現してくれます。
立体感のある描写が光る1本
円熟味のある風合い、美しいボケ味、解像力の3点が当レンズの魅力です。中でも私が注目したのは、その風合い。まるでその風景が目の前に立体的に広がっているかのようなコクがあります。その風合いが美しいボケと相まって写真に華が生まれ、素直な描写と合わせて品のある仕上がりに。緻密で確かな表現力は、臨場感のある作品作りを約束してくれます。
また、当レンズをS1Rに合わせて撮影に出たのは正解でした。ボディとレンズの重量バランスがよく、手にもしっくりと馴染みます。周囲から見ても存在感があるのでしょうか、首から下げて歩いていると、「立派なカメラですね」と2度も話しかけられました。恐らくそれは確かな堅牢性ゆえ。温度についても、マイナス10度でも耐えられる耐低温設計なのです。
豊かな表現力と剛性を併せ持つ、相棒と呼ぶのに相応しいレンズと言えるでしょう。
Photo by MAP CAMERA Staff