OLYMPUSOM-D E-M5 Mark III
OLYMPUSのマイクロフォーサーズ機に新たなラインナップが加わりました。その名も『OM-D E-M5 MarkIII』。先代モデル『OM-D E-M5 MarkII』の発売から4年9ヶ月、長い年月を経てのモデルチェンジです。今回、その新しい機材を使うことの高揚感に胸を躍らせ、せっかくならば、と普段訪れることの少ない都内某所を散策しました。
撮影日は文句なしの良い天気。準備中の飲食店で素敵なテラスを発見しました。光が当たっているところの輝きはもちろんのこと、影に置いてある椅子も様々な光を放ち、こちらに存在を主張してきます。暗いからこそ強調される光の輝き、対極にあるものの美しさを感じずにはいられません。
赤いパプリカのヘタの根元にピントを合わせることで、立体感を協調した1枚。手前に伸びたヘタや、奥に見えるパプリカのボケ味もしっかりと描いています。「マイクロフォーサーズだから」というセンサーサイズの問題は、もはや杞憂です。瑞々しい新鮮な野菜の生命力を力強く捉えました。
高コントラストな被写体もご覧のとおり。明部が白飛びすることも、暗部が黒つぶれすることもなく、豊かな階調表現をしてくれます。自転車と矢印のイラスト部分を、まるで狙ったかのような強い光が射し込む印象的なカットです。
3名の清掃員が信号機と並ぶかのように窓ガラスを清掃していました。惜しむらくは、清掃員の安全帽や作業服が青・黄・赤ではなかったことでしょうか。この偶然を収めることができたのは、わずか約366gのボディと約285gのレンズという、合わせても700gを下回る圧倒的な小型軽量システムだからこそ。この日ストラップは付けず、常にカメラを手に持ちながら移動していたことで、そのときにしかない画をすばやく確実に切り取ることができました。
商店街を散策中、「何か視線を感じるな…」と目を向けると、そこにはキャッチーなディスプレイが。複数のバッグは無造作に掛けたように見せて、実は計算しているのだろうか…どういう意図で完成させたのだろうか…そのようなことを考えながら夢中でファインダーを覗き、シャッターを切り続けます。お店の外は強い日の光が射す状況でしたが、約236万ドットの高精細有機ELパネルを搭載したファインダーにより安心して被写体を見ることができ、撮影できました。
光り輝くクルマのボディには、この日の鮮やかな青空や向かいの建物のレンガ1つ1つまでハッキリと写り込んでいます。その前を通り過ぎる華やかな自転車の残像を低速シャッターにて捉えた1枚。先代モデルでも好評だった手振れ補正機構が本モデルでは最大約5.5段分とさらに強力になり、このような低速シャッターの画もより積極的に臨めるようになりました。
美容院でご主人様の戻りを、礼儀正しくじっと待っている犬に遭遇。被写体との距離が遠く、また、あまりの動かなさに最初は「置物?」と疑ってしまいました。キットレンズになっている『M.ZUIKO DIGITAL ED14-150mm F4.0-5.6 II』の望遠端で撮影し、その正体を確認。マイクロフォーサーズシステムは35mm換算にすると焦点距離が2倍になるので、このレンズは300mm相当の超望遠になります。それをこの軽量なシステムで収められる恩恵は非常に大きいと感じました。そして、犬の目線と同じ高さで撮影できるのはバリアングル液晶やタッチパネルのおかげといっても過言ではありません。今となっては多くの機種に搭載されていますが、改めてこの便利さを実感します。
小型軽量は、大きな可能性を秘める
今回はスナップ撮影が多めでしたが、121点オールクロス像面位相差AFセンサーの採用により、さまざまな被写体を高精度に捉えやすくなったのは身を以て体感できました。上位機種に引けを取らない機能を盛り込み、それを極限まで小さいボディに詰め込んだことで、向かうところ敵なしといえる仕上がりになっています。カメラは持ち出さなければ何も始まらない…そんな当たり前のことはわかっていても、持ち出すことが億劫になることもしばしばあります。しかしながら、これほどまで小型軽量であれば、その心配もなくなるのではないでしょうか。いつでもどこでも色々な被写体を捉えたい…そんな贅沢な希望を叶えてくれる、大きな可能性を秘めた1台です。
Photo by MAP CAMERA Staff