シグマが提案する「“プレミアムコンパクトプライム”Iシリーズ」のラインアップに焦点距離24mmと90mmのレンズが追加されました。今回のKasyapaではその24mm『SIGMA Contemporary 24mm F2 DG DN』をご紹介いたします。
まず「24mm」と聞いて、あれ?っと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか。それもそのはず、Iシリーズの第二弾として『Contemporary 24mm F3.5 DG DN』が発売されており、6本のレンズラインアップの内2本が24mmなのです。
その違いはレンズの明るさではあるのですが、数字上のスペックと使い勝手や写りは別の話。実際に使用してみて感じた違いなどもお話しできたらと思います。
からりと晴れて気持ちのいい秋晴れが多くなった今日この頃。過ごしやすくなってきたものの、どこか夏が終わってしまった寂しさを感じてしまう季節でもあります。カメラを手に持ち、運河のあるエリアを歩いていると目の前には美しい夕景の中に飛ぶ一機の飛行機。「きっと上空から見たらもっと綺麗だろうな」と数年前に機内から見た夕景を思い出しながらシャッターを切りました。
日が暮れ、辺りはライトアップの光に包まれます。24mmなのでスナップ向きではあるのですが、『Contemporary 24mm F3.5 DG DN』と大きく違うと感じたのは「大口径単焦点の撮り方をしないといけない」ということ。一見開放からパンフォーカス気味ではあるのですが、被写界深度によるピントピークの差は結構あり、フォーカスの距離を意識しないと確実にピンボケ写真になってしまいます。その分、写真の中に空間の奥行きが出しやすく、開放F3.5とは個性の違うレンズなのだなと認識させられました。
建物の外壁がピンク色に照らされ、それに映し出された影が面白くて撮影した一枚。高感度やカメラ内の手振れ補正があるとはいえ、薄暗い室内や夜間の撮影では開放F2の恩恵は非常に大きいです。
広角レンズは広く撮るもの。しかし、狭い空間こその画角効果を発揮できると思うのです。写真用語でパースペクティブと呼ばれている遠近感は、その効果を牽引してくれる被写体があってのこと。狭い路地や室内空間などのスナップにもってこいの1本です。
空間と距離を切り取る。
今や標準ズームの広角端では当たり前となった24mm。単焦点レンズで選ぶ理由などを考えながら挑んだ今回の撮影でしたが、使用してみて「なるほど」と思えるレンズでした。まず当然ではありますが、ズームレンズと比べてもコンパクトで軽量。周辺減光や四隅の解像感を考えても、さすが単焦点レンズと思わせる高性能な描写力です。また、開放F2からシグマレンズらしいキリッとしたピント面を持ち、アウトフォーカスとの差を大きく感じられるのもポイント。写真の中で被写体を浮かび上がらせるような魅力ある写りをしてくれます。
また、『Contemporary 24mm F3.5 DG DN』と比べても別のレンズだと言えるでしょう。F3.5の方はシャープでパンフォーカスなスナップシューターという雰囲気でしたが、この『Contemporary 24mm F2 DG DN』は主役となる被写体を際立たせて撮影するタイプのレンズ。距離によって被写界深度の深さが大きく変わりますので、より写真の中の距離感を意識して撮影しないといけないレンズだと思いました。
明るい広角レンズを気軽に楽しめる『Contemporary 24mm F2 DG DN』。フルサイズ機だけでなく、APS-C機でも存分に楽しめる1本でしょう。50mm前後のレンズと使い分けがしやすいので、+αで選ぶ単焦点レンズとしてもオススメです。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff