OM SYSTEMからついに新しいカメラが発表されました。その名も『OM SYSTEM OM-3』。いつでも持ち歩ける小型軽量ボディーに持ち歩きたくなるフィルムライクなデザインながら、世界中のフォトグラファーから信頼される安心のIP53対応、防塵防滴耐低温設計対応。最大連写枚数90枚やプロキャプチャーモード70枚などフラッグシップモデルに肉薄する連写性能も。直観的に素早く操作できるクリエイティブダイヤルをOMシリーズとして初めて実装し、AI被写体認識AFを搭載しました。またフィルム一眼レフカメラ「OLYMPUS OM-1」の設計思想を継承しつつ、フィルムカメラ「OM-3」のモデル名をオマージュして命名されており、大型のバッテリーを採用しつつもグリップレスでフラットなデザインとなっています。そして今回金属外装やIPX1の防塵防滴性能を備えた「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II」「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」「M.ZUIKO DIGITAL ED 100-400mm F5.0-6.3 IS II」も同時発売となります。日常のスナップから非日常の旅まで、写真の表現と可能性を無限に広げる『OM SYSTEM OM-3』。今回は「OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II」とのカットをメインにご紹介いたします。ぜひご覧ください。
従来PCなどを使用し後処理で実現していた合成技術をカメラ内で処理するコンピュテーショナルフォトグラフィを搭載するOM SYSTEM。まずは明暗差の大きな撮影シーンを美しく表現することができるライブGND(グラデーションND)を使用してのカットをご紹介いたします。風景写真に有効な撮影機能ですが、今回はちょっと変則的な使い方をしてみました。たとえば、船内から外窓のあるシーンを撮影したこのカット。ライブGND(グラデーションND)は横だけでなく縦に設定することも出来るので、明るすぎて白飛びしてしまう窓の光を抑えるためにカーテンギリギリのところで縦グラデーションをかけました。窓の明るさを抑えた露出であとからカーテンのほうを調整するという方法もありますが、ライブGNDはRAWデータにも反映されるので極度な補正をかけずに済むというメリットも生まれます。
次にハイレゾショットでのカット。高画素で撮影が可能なハイレゾショットには2種類あり、0.5ピクセル単位でセンサーを動かしながら、8回撮影した画像を基に約8000万画素相当の高解像写真を生成する「三脚ハイレゾショット」と、撮影中に発生するわずかな位置ずれを利用し、12回撮影した画像をもとに約5000万画素の高解像写真を生成する「手持ちハイレゾショット」があります。今回はどちらかとえいばスナップを楽しみたいということで手持ちハイレゾにこだわってみました。
というわけでこちらの手持ちハイレゾショットで撮影した写真を見ていただきたいのですが、背面部の解像力の高さに非常に興奮しました。絞りF5.6に設定しましたが全体を見ることが出来、バランスの良い被写界深度です。ボディ前面にあるクリエイティブダイヤルの「カラープロファイルコントロール」で初期設定で割り振られていたビビッドに設定してみたところ、良い色味になったのでその設定で撮影しました。
こちらも手持ちハイレゾショットです。動く被写体がある場合は気を付けなくてはいけませんが、被写体が固体であればほぼ普段通りの感覚でシャッターを切れるのが手持ちハイレゾショットのいいところです。そして後方の高層ビルとレンガ造りの建物とが密着しているかのようなパンフォーカス効果を表現でき、マイクロフォーサーズの被写界深度の深さが活きた形となりました。
今回は『OM-3』と同時発売された『OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II』にて撮影を行っています。リニューアルされた本レンズは金属外装になっただけでなくIPX1の防滴性能を備えながらも、重量156gの軽さと全長42mmのコンパクトさを実現しています。標準レンズらしい豊かなボケと接写性能の高さでテーブルフォトの撮影も楽しめます。
花びらの少し割れた先にピントを合わせました。『OM SYSTEM M.ZUIKO DIGITAL 25mm F1.8 II』の最短撮影距離は約25cmと標準レンズながらとても寄れます。近接撮影時も解像力が高く、ボケも綺麗です。
クリエイティブダイヤルの「モノクロプロファイルコントロール」に切り替えての撮影です。柔らかい光の表現やリッチなトーンに感嘆のため息が出ました。花のカットから3枚続けてノーマルのシャッターで切っています。あえて言い直す必要もありませんが、どれも綺麗に写ります。
せっかくなのでライブGND(GND2-8)で撮影したカットをもう一枚ご紹介させていただきます。シャンデリアをこの露出で撮影したかったのですが、そうすると窓が白飛びしてしまいます。そのため下斜めにライブGND(グラデーションND)をかけて窓の光を抑えるように調整しました。意図したとおりになると気持ちがいいものです。
そして再び手持ちハイレゾショットです。これだけ遠景だというのに2本の鉄塔が立体感を得ていることと、各所にある小さな看板文字がほぼ読み取れることに非常に驚きました。一秒も無駄にできないシーンでなければ、手持ちハイレゾショットをスタンダードにしてしまおうかと思ってしまうくらいです。ぜひ使ってみてください。
スローシャッター効果を実現するライブND撮影(ND2-64)を組み合わせて6秒間の撮影を行いました。約2~3秒間動きを止めておけば風景が固定されるので、そのあとはカメラを振ったり回したりして光跡で遊ぶことが出来ます。しかしOM SYSTEMの手ぶれ補正の高さには改めて驚かされました。8.5段の「OM-1 Mark II」とは差別化されていますが、最大7.5段の手ぶれ補正能力は手持ちで数秒止めることも難しくありません。夜間でも開放絞りでは意外とシャッタースピードをスローに出来なくて絞り込んでしまうという経験もあったので、NDフィルターの用意がない時でもその場ですぐ対応できるライブNDも素晴らしい機能です。コンピュテーショナルフォトグラフィは撮影のアイディアを無限に思いつかせてくれる便利な機能で、スナップをメインで撮るという方にもとてもオススメです。これを使えば友人や家族とも写真で気軽に遊べるかも、というのが個人的には大きなポイントでした。ペンライトやスマートフォンのライトを光跡にしてみるなど、思いついたままに写真を楽しめる最高の相棒となってくれるのはないでしょうか。
日常のスナップから非日常まで
楽しいこと、新しい可能性がたくさん見つかる。それがこのカメラを一日使ってみての感想です。高速・高機能さが光るフラッグシップ機ではその機能の使い方はどうしても野鳥撮影などに向きがちです。同等の性能を持つとはいえ『OM-3』はスナップを楽しみたい方に手に取ってもらいたいという意図があるのかなと考え「ならばこのコンピュテーショナルフォトグラフィ、全力でスナップ向けに使ってみようじゃないか」と意気込んで撮影に出かけました。その結果「こんな使い方もあったんだ、こんな使い方も楽しい」と新しい発見がたくさん見つかって改めてOMシリーズの可能性を感じた次第です。そして改めてこのカメラのすごいところは、撮影しようと思えばフラッグシップ機と遜色ない撮影が出来るということ。日常の街スナップから非日常の旅へ。常に持ち歩けるからこそ掴めるシャッターチャンス、天候にも左右されずどこにでも持っていける信頼の防塵防滴性能に感性と創造性を広げる撮影機能。可能性は無限大です。今回はコンピュテーショナルフォトグラフィの3つの機能に焦点を合わせましたが、他にもライブコンポジット撮影、深度合成撮影やRAW連写可能なプロキャプチャー撮影やAF/AE追従50コマ/秒連写など、チャレンジしてみたいことは全て叶えられると言っても過言ではありません。『OM-3』で日常から旅の果てまで自分だけの時間を、冒険を。ぜひ使ってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff