
999:一本で“作品づくり”を完結させる描写力と柔軟性『SONY FE 50-150mm F2 GM SEL50150GM』
2025年05月25日
ソニーのGマスターシリーズに新たに加わった『SONY FE 50-150mm F2 GM SEL50150GM』をご紹介いたします。なんと50mmから150mmまでのズーム全域で「開放F値2」という明るさを実現した標準~望遠域をカバーするズームレンズです。浅い被写界深度と美しいボケ味がどの焦点距離でも得られるのはもちろん、夜の撮影や屋内スポーツ、舞台撮影といった厳しい光環境下でも活躍が期待されます。さらにこれだけのスペックを実現しながら質量も約1340gと手持ちで扱えるサイズで機動性にも優れています。α9 IIIの最高約120コマ/秒の高速連写にも対応するトラッキング性能、最大撮影倍率0.2倍の近接撮影能力、光学技術を惜しみなく投入したGマスターの名にふさわしいスペックの『SONY FE 50-150mm F2 GM SEL50150GM』の写りをぜひご覧ください。

寄せては返す白波に飛び込む一瞬を捉えたカット。動いている被写体でもブレることなく、しっかりとした輪郭とともに躍動感を感じられる描写です。波の泡立ちの立体感や透明な水の層も階調豊かに表現されており、描写性能、AF性能どちらにおいても非常に優れたレンズであることを証明してくれました。

やわらかな逆光を受けて浮かび上がる新緑の葉。眩しさを含んだ光の中でも、葉の輪郭や葉脈の細部はしっかりと捉えられており、ハイライトの階調もとてもなめらかです。強い光に包まれた条件下でありながら、白飛びや色飽和は感じられず、実際の光の中で見た葉のやわらかな印象を忠実に再現してくれました。「ナノARコーティングII」を採用しており、太陽光などの強い光が入りこむシーンでも、内面反射によるフレアやゴーストの発生を大幅に抑制しヌケの良いクリアな画質を実現してくれます。

開放絞り・最短撮影距離でのカット。紫と青を帯びた花房がふわりと浮かび上がるように撮れました。花弁、雄しべ、中心に向かって密に並ぶ蕾まで、ひとつひとつが丁寧に描かれており、近接撮影時でも高い解像力と立体感の表現力を持っているのが分かります。背景も非常に自然で、色のにじみやざわつきもなく、溶けていくようなグラデーションも見事です。発色についても、撮って出しから繊細な色味がしっかりと出てきました。近接撮影からこのクオリティで撮れるというのは素晴らしい性能を持ったレンズです。

金属の質感や剥がれかけた塗装、わずかに浮いたサビなど硬質な素材の質感描写を見てみました。同色系も経年による細かなトーンの差異をしっかりと捉えており、金属独自の滑らかさや光沢感も表現されています。

ズーム中間域で撮影。主題となるピンクの花の細かな花弁の重なりや、中心部の密度の高い構造が丁寧に描写されており、解像性能の高さに驚きました。色滲みもなくボケ味も柔らかいおかげで立体感もあり、主題がより引き立ちます。

苔の複雑なディテールや微細な陰影の再現性、果物の滑らかな表面や光沢感などレンズの描写性能がはっきりと伝わる一枚です。スーパーED(特殊低分散)ガラス2枚、EDガラス3枚を採用し、面中央部・画面周辺部での色収差を軽減し、にじみのないシャープな画が得られます。


画面手前の針葉の先端や枝の重なりにはしっかりと芯のあるシャープネスがありながらも、硬くなりすぎることもないナチュラルな描写です。何より筆者が気に入った点は、ピント面から徐々に奥へと移り変わるボケの自然さ。青空の深みや雲の立体感もしっかりと再現されています。

テトラポッドの上に佇む小鳥を捉えた一枚。このカットはカメラボディ内でAPS-C(クロップ)して撮影したのですがそれを感じさせない解像感です。羽毛はしっかりと芯のあるシャープネスがありつつも、柔らかい質感まで繊細に描写されています。背景に広がる水面も滑らかなボケでまとめられていて、主役の存在感をいっそう引き立てくれました。

お昼を過ぎた頃、雲の合間からやわらかな陽射しが差し込みはするものの、次第に空全体が厚い雲に覆われ、沈んだような色合いに変わっていきました。そんな中、逆光で煌めく海面を横切っていくウィンドサーフィンの赤いセイルを、非常にクリアに捉えてくれました。ハイライトの粘りやコントラスト再現など、その一瞬を見事に描き出してくれたことに、とても信頼できるレンズだと実感できました。

ターンテーブルのダイヤルに触れる指先や手元は、芯のあるシャープさでしっかりと描写されており、自然な立体感が感じられます。そして手前から奥にかけてなだらかなボケ味で中望遠レンズならではの奥行き表現もあります。

夕方の低い光が差し込む時間帯、波打ち際を無邪気に駆ける子どもたちのシルエットと、きらめく水面と砂浜に落ちる反射光が印象的でした。逆光という難しい条件にもかかわらず、被写体の輪郭はとてもシャープで、ハイライト部の粘りや階調の滑らかさも良好です。とくに注目したのは、足元に映る影の描写と水面に滲む反射。レンズの逆光耐性と光の再現性の高さが見事です。高いスペックによる描写性能だけでなく、いわゆる「情感」的表現も画として表現できる本レンズは、どんな撮影ジャンルでも活躍してくれるのではないでしょうか。


一本で“作品づくり”を完結させる描写力と柔軟性
50-150mmまでの焦点距離をズーム全域で「開放F値2」で使えるという中でも「50mm標準域が使える」ということに大きなメリットを感じる方は多いのではないでしょうか。広角・標準・望遠のシステムを組みたい場合も、広角・『SONY FE 50-150mm F2 GM SEL50150GM』で解決するということもあるかもしれませんし、シーンによってはこの一本で撮影可能な場合もあるかもしれません。どの環境においても撮影現場における機動力を大きく底上げしてくれる存在となってくれることは間違いありません。光量の少ない環境でも画質を犠牲にすることなく、スポーツや舞台撮影などの動体にも対応する高速・高精度なAF性能。ポートレートからイベント撮影、スナップ、ドキュメンタリーまで幅広く、様々な撮影スタイルに応えてくれます。一本で“作品づくり”を完結させる描写力と柔軟性を素晴らしいズームレンズ『SONY FE 50-150mm F2 GM SEL50150GM』をぜひパートナーに。
Photo by MAP CAMERA Staff