パナソニックの「F1.8単焦点シリーズ」から『LUMIX S 24mm F1.8』の登場です。描写性能・サイズ・操作性などを統一したことでレンズ交換の際にも扱いやすいこのシリーズで、最も広角となる単焦点レンズです。開放F値が1.8と明るいので暗所やシャッタースピードを稼ぎたいシーンも得意です。広角24mmの特性を活かした広がりのある風景写真、美しい丸ボケを擁する夜景ポートレート、最短撮影距離24cmまで寄り食材を精細に写すテーブルフォトなど、あらゆる撮影に対応します。フォーカスは、フォーカスレンズを保持するフレームがガイド軸に沿ってリニアモーターで駆動するシステムになっており、またボディとレンズ間の通信システムも高速になっていることから、AFは俊敏で高精度です。そのような当レンズをカメラにつけて街を歩いてきました。
広々とした通路に街路樹からこぼれ落ちる木漏れ日が美しいです。24mmという広角レンズはこんなシーンを切り取るのにピッタリの画角。思い立ったらカメラを構えれば目の前の風景を印象的に収めてくれます。
展示されていた古いクルマの運転席。メーターがひとつしかなく、それも潜水艦の望遠鏡を思わせる取り付け方になっており面白いです。数字が120まであり、それがキロメートルなのかマイルなのかわかりませんが、どこか頼りないこの小さな車がそんなスピードが出るのだと知り驚きました。
駅のホームに向かうエスカレーターで、この広い空間がいいなとピンときて咄嗟にカメラを出して撮った一枚。これも誰かのデザインで、街行く人が日常的に素敵な景色を見られるようにしてくれたからこそ。都市のデザインは憧れる仕事のひとつです。
よく反射する金属に、反射しない金属が貼り付けられています。オブジェ全体ではそんなことないのですが、この部分だけクローズアップして見ると手形が宙に浮いているようで不思議な感じがすると思い切り取りました。
緑が茂る道を開放F値1.8で撮りボケ味を活かします。奥に行くほどに大きくボケる様は美しく、ピントが合った箇所とのコントラストがこの庭園を綺麗に表現できました。シーズン中はバラの花で溢れるこの道ですが、グリーンだけでも十分雰囲気があると思わせてくれます。
ベンチの隙間から可憐な花が顔を出していました。うっかり座れば潰れてしまうそれが綺麗に咲いているのを見ると、誰もが花を避けて優しい気持ちで隣に座っているのだとわかります。
近年は夏が完全に終わりを迎える前にハロウィンの飾り付けが始まります。まだ気温が30度あるというのにちぐはぐな印象ですが、この日も仮装した子どもたちがディスプレーの前でたくさん写真を撮っていました。自分が子どもだった頃の写真にそのようなものはなく、時代の流れを感じます。
乳がんの早期発見を目指したピンクリボン運動で街の建物がピンクに染まっていました。みな思い思いに写真を撮っている中、筆者が選んだのはこの華やかなローアングルのショット。
広がる風景を手の中に
使用しての一番何が良かったかと振り返ると、AF性能の高さが強く印象に残っていることに気付きます。『Panasonic DS-S5』との相性が抜群なのは言わずもがなですが、一般的にレンズが苦手とする暗所や逆光、動きモノといった難しい条件でもとても俊敏にピタリと合焦したのです。その意味でシャッターチャンスを逃しません。またシャープネスやボケ味も美しかったです。人物を主役に据えた広がりのある風景写真、料理と店の雰囲気の両方を写し取るテーブルフォト、落ち着いた照明下のスナップショットなど、幅広いシーンで意図通りの表現を楽しめる信頼できるレンズです。動画撮影も前提に設計されているので映像制作に挑戦するのもよいでしょう。ぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff