スタンダードモデルながら高い性能を誇る「EOS R6」や、RFマウントレンズの性能を存分に引き出し高精細な一枚を導き出す「EOS R5」など、すでにミラーレス市場でも確固たる地盤を築いたキヤノン。その次の一手として、フラッグシップモデルとの継ぎ手となる縦位置グリップ一体型のハイエンドミラーレス一眼『Canon EOS R3』が登場。その脅威のスペックにカメラ愛好家の注目が集まります。「EOS-1」シリーズで培った信頼性と操作性をミラーレスに落とし込んだプロ/ハイアマチュアのニーズにこたえる一台となっています。動画に関してもぬかりはありません。6K/60PのRAW動画内部記録に対応、4K/120Pハイフレームレート動画撮影、クロップなしのオーバーサンプリングによる4K/60P動画撮影を実現など映像制作においても高いポテンシャルを発揮します。
今回は『Canon EOS R3』での最高画質となる6K動画の撮影に挑戦。撮影地は茨城県中部の県央地域に位置する「大洗町」。雄大に広がる太平洋などを中心に、美しい景色を撮影して参りました。ぜひ、4K以上の画質でご覧ください。
MOVIE
今回は、全編6K60pのRAW撮影を行いました。6K60p記録はSDHCカードでは対応しておりませんので、CF Express Type Bカードを用いて内部収録に挑戦しました。(6K60Pでの内部収録には書き込み速度が[400MB/秒以上]のCF Express Type Bカードが必要) ここまでのハイクオリティな動画を内部収録できるというのは大きな利点で、ボディとお気に入りのレンズさえ携行すればどこでも撮影でき、制約に縛られずアクティブに撮影することができます。「Canon Cinema LAW」で収録した素材にメーカー公式ホームページで配布されているLUTを適用し、トーンを調整しております。
Shot on EOS R3
目が覚めるような日の出のワンシーンを捉えるべく、いつもより早起きして撮影地へ。セッティングをしながら待っているとゆっくり太陽が昇ってきました。ここ大洗海岸には「神磯の鳥居」という海中の岩に建てられた由緒ある鳥居があり、赤い構えの向こうに日の出を拝むことができるのです。神々しい絶景を眺めながら、超広角ズーム『RF 15-35mm F2.8 L IS USM』の広大な画角を活かして撮影。明暗差の大きいシーンながら、つぶれることなく繊細に描き切ってくれています。
過去何度か動画撮影を行いましたが、6Kという大きなキャンバスに向かうのは初めてです。『Canon EOS R3』は2400万画素フルサイズセンサーを搭載。やはり撮影した映像をモニターで確認すると、波に打たれる岩礁の、ゴツゴツとしたディティールまで鮮明に描かれているのがわかります。
色々なシーンを撮影したい動画制作においてはズームレンズが圧倒的に便利ですが、今回は携行する荷物に余裕があったため標準単焦点の『RF50mm F1.2L USM』も持参。ここぞという場面で最高の描写を見せてくれるため、自分の視野に近い画を得たい場面で積極的に使用しました。朽ちようとしている木板の細かい筋や質感が、まるで目の前にあるかのように伝わってきます。
メーカーごとに色の表現は特徴があります。キヤノンが見せる空の色、特に夕日の色はなんとも贅沢。地平線のまだ明るい部分から、暗くなりつつある部分にかけてのグラデーションの滑らかさ。当日、撮影しながら現地で大きな感動に包まれていたのですが、今こうやって映像を見てその感動が呼び起こされました。記憶色の美しさとでも言いましょうか、キヤノンの拘りがここに発揮されています。
メーカーが発表時に掲げた「無双」というキャッチコピーを体現するように、まさに並ぶ者のない撮影性能を誇る本機。撮影に出るにあたって、果たして使いこなせるのかといささか緊張した状態で臨みました。しかし、理解しやすいメニュー体系や各種撮影機能の支えもあって、戸惑うことはありませんでした。操作しながら作りこまれたユーザビリティに触れ、「もっと魅力あるシーンを撮りたい」という創造欲を掻き立てられました。
静止画撮影において定評を得た『Canon EOS R3』。すでにお使いの方はぜひ動画撮影にもご活用いただきたいです。また、ハイクオリティな映像作品をアクティブに制作していきたいという方にとっては逞しい相棒になるでしょう。これからも広がるEOS Rの世界、非常に楽しみでなりません。
MAP CAMERA Staff