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S1Hを継承したボックススタイル 『Panasonic LUMIX DC-BS1H』 6K実写レビュー

2021年11月01日

使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.

 

Panasonicのフルサイズミラーレス一眼「LUMIX Sシリーズ」初となるボックススタイルカメラ『BS1H』が発表されました。今回は発売前の本商品をいち早くレポートいたします。基本的な動画スペックは「S1H」を継承していますが、動画撮影に特化した豊富な入出力インターフェースを搭載するなど、撮影現場に合わせて自由にカスタマイズできる拡張性が向上しました。既にLUMIX Gシリーズ(マイクロフォーサーズ)ではボックススタイルの「BGH1」が発売されていますが、フルサイズではどんな画を出してくれるのでしょうか。早速ですが、撮影した映像と共に使用感などのレポートをお届けします。

 

MOVIE

5.9K(29.97p)200Mbps 4:2:0 10bit / 画質設定から5K視聴可能です

 

撮影セッティング

本体、三脚、外部モニターの最低限の装備で各所を撮影。HDMIには汎用性に優れたType A端子を採用。

 

ボックススタイルである『BS1H』はシーンに合わせて必要なアクセサリーを自由に組み合わせて撮影に臨みます。一般的なミラーレス機と異なり、モニターやグリップが付いてないので、外部モニターにはATOMOS「NINJA V」を使用しました。今回はSDカードへの記録を行いましたが、最大5.9K(5888×3312)の動画RAWデータをHDMI経由で「NINJA V」に出力することも可能です。バッテリーはSシリーズのカメラに採用されているものと異なり、業務用ビデオカメラに採用されている大容量バッテリーAG-VBR59/89G/118G(別売)を採用。電源確保が難しい現場でも安心して撮影に臨む事が出来ました。

 

「NINJA V」の1000nitモニターはモニタリング機能も豊富で屋外撮影でも扱いやすい。

 

カメラボディには収録状態を示すタリーランプも付いていますが、外部モニター上にも動画記録中の赤枠表示が可能です。タリーランプの見間違いから起こる、いわゆる「逆タリー(記録したつもりが出来ていない)」を未然に防ぐ事が出来るので、個人的に多くのカメラで採用して欲しい機能でもあります。ちなみに、収録は編集を簡略化するためにダイナミックレンジを優先した「シネライクD2」を使用しました。V-Log収録と異なり、撮って出しでも十分美しく、簡単な編集で好みのルックにも調整しやすい印象です。

 

SHOT ON BS1H

使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.

 

撮影の舞台は、神奈川県・三浦半島の南端に位置する島「城ヶ島」。海岸線は広い岩場が広がり、特徴的な地層が見られるスポットです。広大な自然と高解像度の映像は相性が良く、岩の表面の細かな質感、波の立体感など眼前に広がった風景を余すことなく描写してくれます。「S1H」譲りの画質ということもあり、期待通りリアリティのある画を見せてくれました。

 

使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 16-35mm F4

 

今回は被写体が風景ということもあり、MF中心の撮影を行いました。これまでの電子式フォーカスリングでは、マニュアルの操作性に不満を抱く事も多かったですが、使用した「LUMIX S PRO 16-35mm F4」「LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.」はMF時のレスポンスも良く、スムーズにピント合わせを行えました。また、AF / MFの切り替えもレンズ側のフォーカスリングをスライドさせることで瞬時に切り替えられます。

 

使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.

 

光のフラットなシーンですが、柔らかなトーンでナチュラルに描写してくれます。岩肌の凹凸もしっかりと捉え、奥行きの感じられる画になっています。

 

使用機材:使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 70-200mm F4 O.I.S.

 

雲の切れ間から光が漏れる美しい光景。この自然現象は画家のレンブラントが好んで描いたことからレンブラント光線とも呼ばれます。光のグラデーションを飛ばさないようにハイライト側に露出を合わせましたが、海や雲のディテール、シャドウ部分も潰れることなくよく粘ってくれる印象です。

 

使用機材:Panasonic LUMIX DC-BS1H + Panasonic LUMIX S PRO 16-35mm F4

 

撮影の後半は雲優勢の天候、現場の雰囲気がよく再現されています。映像内のラストショットはISO6400での撮影です。さすがにノイズ感は出てきますが、街灯や照明機材のない屋外撮影ではカメラの高感度性能が頼りです。明るいレンズを携帯しなかったのが悔やまれますが、高感度域も低ノイズで撮影できるのはパナソニック独自の「デュアルネイティブISO」のおかげでしょう。暗所での撮影など、これまで諦めていたシーンにも挑戦したくなります。

 


 

S1Hを継承したボックススタイル

一眼レフやミラーレス機は写真撮影に最適化されたボディであるがゆえに、動画撮影時に不満を持つことも多いと思います。その点、『DC-BS1H』はモニターやファインダーを搭載せずに動画撮影に特化したスタイルを突き詰め、フラットなデザインとなりました。スクエアな形状とコンパクトなボディはリグを組んだりジンバルに載せたり、カット毎に様々なアクセサリーを組み合わせる動画撮影においては扱いやすい形状ではないでしょうか。これまでのカメラの様に「使い込んでいるうちに慣れになれる」ではなく、「使いやすいように自分でカスタマイズする」といった自由度の高いカメラだと感じました。入出力も豊富に搭載されたことで、マルチカメラ撮影やストリーミング配信といった動画制作の幅広い分野においてオールマイティーに活躍してくれる一台です。

 
Movie by MAP CAMERA Staff
  

 

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