
1073: いつでもPENを『 OM SYSTEM PEN 』
2026年09月09日
今回のKasyapaでは、「OM SYSTEM」として初めて“PEN”の名を冠した『OM SYSTEM PEN』をご紹介します。時代を超えて愛されてきたレンジファインダースタイルを採用し、クラシカルな佇まいと現代的な使いやすさを両立。コンパクトなボディに電子ビューファインダーを搭載し、PENシリーズとして初めて防塵・防滴に配慮した設計を採用するなど、日常から旅先まで気軽に持ち出せる一台に仕上げられています。撮影機能には、以前Kasyapaでご紹介した『OM SYSTEM OM-3』でも印象的だった「カラー/モノクロプロファイルコントロール」や、手持ちハイレゾショット、ライブNDなどの「コンピュテーショナル フォトグラフィ」を搭載。OM SYSTEMらしい写真表現を受け継ぎながら、それらをPENらしい軽快なスタイルで楽しめるのが大きな魅力です。今回は実際に持ち出し、その携帯性や操作感、そしてPENで楽しむ色と写真表現を、実写とともにご紹介していきます。

今回の撮影では、新しい標準ズームレンズ『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III』を『OM SYSTEM PEN』と組み合わせて使用しました。35mm判換算28-84mm相当をカバーし、風景やスナップから少し被写体を引き寄せた撮影まで、幅広いシーンに対応できる一本です。沈胴機構を採用したコンパクトな設計で、PENとの組み合わせんでも軽快に持ち歩くことができます。特に注目したいのが、その近接撮影性能。広角端14mm(35mm判換算28mm相当)では最短撮影距離0.13m、最大撮影倍率は35mm判換算0.53倍相当と、標準ズームながら被写体へ大胆に近づいた撮影も楽しめます。
さっそく14mm(35mm判換算28mm相当)の広角端で、ツユクサへ思い切って近づいてみました。まず目を引くのは、鮮やかな青い花弁の描写です。花弁表面の細かな筋や質感まで見て取れ、黄色い雄しべの繊細な形もしっかりと写し出されています。さらに背景は大きく柔らかくぼけ、木漏れ日もきれいな丸ボケとして表現されています。被写体の細部を捉える解像感と、自然で柔らかなボケの対比が印象的な一枚になりました。

続いて、望遠端42mm(35mm判換算84mm相当)でも近接撮影を試してみました。最大撮影倍率では広角端に分がありますが、個人的にはこちらの写りも好みです。望遠端らしく背景がすっきりと整理され、主役となる花を自然に浮かび上がらせることができました。ピントを合わせた花の細かな質感をしっかりと捉えながら、柔らかなボケへと変化しています。広角端では被写体へ大胆に近づきながら周囲の空気感も取り込み、望遠端では背景を整理して被写体を際立たせる。同じ標準ズーム一本でも、焦点距離によって近接撮影の表現を変えられるのが面白いところです。こんな気軽にクローズアップ撮影を楽しめるのは、マイクロフォーサーズならではの魅力だと思います。

広角端、F8で撮影しました。画面周辺まで見渡しても歪曲や周辺減光は目立たず、広い画角を素直に活かせる、すっきりとした描写です。抜けるような空の青、芝生の鮮やかな緑、そして少年のユニフォームの青が、それぞれ気持ちよく発色しています。彩度の高い仕上がりながら色同士が混ざることなく、夏らしい爽やかな空気感が印象的です。広角端ならではの空の広がりと芝生の奥行きもしっかりと感じられ、14mm(35mm判換算28mm相当)という画角の開放感を存分に楽しめる一枚になりました。

ここでレンズを「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」に交換しました。35mm判換算24mm相当の広角単焦点レンズで、小型・軽量なサイズ感も魅力の一本です。今回は「手持ちハイレゾショット」を使用し、ビルを大きく見上げるように撮影しました。長辺約8,000ピクセルにもなる高解像な画像からは、ガラス張りの外壁や窓枠の細かなラインまで緻密に描かれているのが分かります。一方、手持ちハイレゾショットは複数枚の画像をもとに生成するため、動いている被写体では残像のような表現が現れることがあります。本来は注意したいポイントですが、被写体やシーンによっては、あえてその動きを取り入れてみるのも面白い表現になります。

こちらも「手持ちハイレゾショット」で撮影しました。先ほどのように動きのある被写体では残像が生じることがありますが、こうした静止した被写体では、その高い解像力をより実感できます。車体表面の金属の質感はもちろん、塗装に付いた細かな擦り傷や汚れまで緻密に描き出されています。また、シルバーの車体に描かれた黒と鮮やかなブルーの文字もくっきりと表現され、素材ごとの質感や色の違いが印象的な一枚となりました。

続いて、「ライブND」を使って撮影してみました。今回は最も効果の強いND16(4段分)に設定しています。明るい日中でもシャッタースピードを1/4秒まで落とすことで、交差点を行き交う人々の動きが大きく流れ、普段のスナップとはひと味違った一枚になりました。OM SYSTEMの機能の中でも、個人的に特に気に入っているのがこの「ライブND」。通常であればNDフィルターが必要な場面でも、カメラひとつで気軽にスローシャッター撮影を楽しめます。いつもの街や何気ない日常の景色に、少し違った時間の流れを加えられるのが、この機能の大きな魅力だと感じます。

時空ワープ。こちらも「ライブND」を使い、シャッタースピードを1/4秒まで落として撮影しました。走行中の車内から進行方向へレンズを向けると、流れていく周囲の景色が大きくぶれ、まるで時空をワープしているような一枚に。理想を言えば車内をもう少しぴたりと止めたかったところですが、走行中の車両は想像以上に細かな揺れがあります。それでも、ボディ内5軸手ぶれ補正のおかげか、1/4秒という低速シャッターながらカメラの揺れはある程度抑えることができました。

水族館での撮影に切り替え、レンズを『M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II』へ交換しました。35mm判換算34mm相当の自然な画角に、開放F1.8の明るさを備えた小型・軽量の単焦点レンズです。館内は決して明るいとはいえませんが、F1.8の明るさを活かすことでISO感度を大きく上げることなく、シャッタースピード1/250秒を確保することができました。水族館のような光量を確保できない室内では、明るい単焦点レンズの恩恵を強く感じます。ガラス越しの撮影ながら、暗い背景の中に浮かび上がるクラゲの細く繊細な触手までしっかりと描き出され、淡い色のグラデーションも滑らかです。暗所ではできるだけISO感度を抑えて撮影したい場面もあります。そんなとき、F1.8の明るさを得られる単焦点レンズは非常に心強い存在です。
『 OM SYSTEM PEN 』は、121点オールクロス像面位相差AFを搭載しており、オートフォーカスも頼もしい仕上がりです。ファインダーを覗いていると、目の前を一人の少年が駆け抜けていきました。そのまま動きを追いながら撮影。最後までしっかりとピントを捉え続けてくれました。

海に来たら使ってみたかったのが「ライブND」です。今回はシャッタースピードを0.5秒まで落として撮影しました。画面右の白い監視台はしっかりと形を残しながら、その周囲を打ち寄せる波は滑らかに流れ、肉眼で見る景色とはひと味違った表情に。動かない被写体と動き続ける波を一枚の中に組み合わせることで、「静」と「動」の対比を楽しむことができました。水の流れや人の動きなど、時間の経過そのものを写真に取り込めるのがスローシャッターの面白さ。ライブNDがあることで、明るい時間帯でもこうした表現へ気軽に挑戦できるため、撮影のアイデアがさらに広がります。

ここでは「モノクロプロファイルコントロール」を使用して撮影しました。『 OM SYSTEM PEN 』はボディ前面に「プロファイルコントロールスイッチ」を備えており、カメラを構えたままワンタッチでカラー/モノクロの表現へアクセスできるのも魅力です。カラーで撮影していた途中でも、ふと「これはモノクロで残したい」と思った瞬間にすぐ表現を切り替えられる。こうした操作性の良さも、日常のスナップで使っていて楽しいポイントです。


月を刺すか、乗せるか。ファインダーを覗きながら、マストの先端と月をどこに重ねようか、しばらく悩みました。望遠端42mm(35mm判換算84mm相当)で撮影しています。標準ズームでありながら中望遠域までカバーしているため、少し離れた被写体を引き寄せながら、背景との位置関係を活かした構図も楽しめます。広角端では風景を大きく取り込み、望遠端では画面の一部分を切り取って遊ぶ。同じ一本のレンズでも、焦点距離を変えるだけで写真の楽しみ方が大きく変わります。

夕方にかけては太陽を画面内に入れる逆光のシーンも多く撮影しましたが、今回の撮影ではフレアやゴーストが大きく目立つこともなく、すっきりとした描写を見せてくれました。OM SYSTEMには、小型・軽量で明るい単焦点レンズも数多くラインアップされており、レンズを交換することでさらに表現の幅を広げていく楽しさがあります。ただ『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III』は35mm判換算28-84mm相当を一本でカバーし、風景からスナップ、近接撮影まで幅広く対応できる標準ズームです。この一本だけでも、日常のさまざまな場面で「カメラで撮る楽しさ」をたっぷりと味わうことが出来ると思います。

いつでもPENを
一日を通して持ち歩いてみて感じたのは、『 OM SYSTEM PEN 』は日々の中から撮りたいものに出会えるカメラだということでした。コンパクトなボディに電子ビューファインダーや5軸手ぶれ補正、121点オールクロス像面位相差AFを備え、さらにプロファイルコントロールやライブND、手持ちハイレゾなど、撮影のアイデアをその場で形にできる機能が充実しています。新しい『M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 III』一本で軽快に歩くのも、『M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0』や『M.ZUIKO DIGITAL 17mm F1.8 II』を加えて表現を広げるも良し。特別な撮影の日だけではなく、何気ない日常の中にあってほしい一台です。撮りたいと思ったその時、いつでもPENを。ぜひあなたのそばに。
Photo by MAP CAMERA Staff














