パナソニックのSシリーズに新しいズームレンズが登場しました。その名も『LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3 S-R1840』。世界最小・最軽量の超広角から標準までをカバーするズームレンズです。広角18mmを活かしたダイナミックな風景や建築の撮影から標準40mmで見たままの自然な画角を活かしたスナップなど幅広い撮影に対応。7群8枚のレンズ構成(非球面レンズ3枚、EDレンズ2枚、UHRレンズ1枚)で全長約40.9mm、質量約155gで「DC-S9」と組み合わせればとても軽快に撮影を楽しむことが出来ます。最短撮影距離は焦点距離21mm時の0.15m。「LUMIX DC-S9」との組み合わせがベストマッチだと思いますが、コンパクトなサイズでありながらフォーカスリングのトルクもしっかりしていて「LUMIX DC-S5II」などファインダーのあるカメラと組み合わせても楽しいと思いました。今回はLUMIX DC-S9の新色「キャメルオレンジ」のキットレンズとして登場したということもあり、この組み合わせで撮影をしてきました。ぜひご覧ください。
まずこのレンズを手にしてからどう撮ろうか悩んだのですがまずは撮ってみました。一つの画の中のいくつも要素が入ってくる超広角レンズの特徴があって、ふとした瞬間の面白さを手に入れられることが出来るレンズでした。歪曲はレンズプロファイルで補正しているので必須です。ここでは直線が外に広がっている様が良いアクセントになっていたので、あえてそう写るように撮影しました。開放絞りですが被写体のディテールや発色も綺麗に出ています。
焦点距離24mmで撮影。大きな葉で一面を埋めたくてズーミングしながらベターな画角を探して撮りました。広角域で遊べるのが良いですね。葉に向かって正面になるようなポジションから撮りましたが、絞った分の被写界深度もしっかりあります。ピント面の解像感も十分です。
最短撮影距離が広角端ではなく焦点距離21mm時の0.15mという少し不思議な仕様です。実際に撮り比べてみると確かに違いがありました。最短撮影距離にこだわる必要がなければ18mmでも十分に寄れるので「お好みで」という気もしますが、近接撮影をしたいときは21mmに設定することをお忘れなく。21mmで撮っていたつもりが20mmや22mmになっていたこともあったのでお気をつけください。
広角端18mmで絞って撮影、周辺減光は皆無です。雨上がりの晴れた青空を気持ちよく写してくれました。オートフォーカスのレスポンスも良く、サクサク撮れます。コンパクトな造りですがズームリング、フォーカスリングどちらも程よいウェイトで、操作感に味気無さを感じることがなかったのが個人的に好感触でした。
テレ端40mm。開放絞りでの撮影です。マネキンの顔の線にピントを合わせましたが、しっかりピントも当たって解像感もばっちりです。標準域らしいボケと立体感も出ました。超広角からこういう自分目線でのスナップも瞬時に行えるのはやはり便利です。
焦点距離26mm時の開放絞りです。24mm~28mmの画角で整えたときにも歪みのない線でとても綺麗な仕上がり。撮って出しですが三脚の椅子それぞれの光の当たり方がしっかりと描き分けられていてレンズの描写性能の高さを感じました。
日照時間もかなり短くなってきました。ビルの合間に射しこんだ一筋の光。このワンポイントの光を証明するには周りとのギャップが不可欠ですが、広角18mmが見せる情報量のおかげでしっかりと強調することが出来ました。
スマートフォンアプリ「LUMIX LABO」とカメラを連携することで様々なLUTをカメラにダウンロードすることが出来ます。このカットは「Streetwise-N」というLUTで撮影しています。F8まで絞ったところ、細かく千切れていく雲をしっかりと解像してくれました。
水面を撮りたいと思いましたが日も暮れてスタンダードの色では少しインパクトが足りない、ということで「Sample LUT3」を選択。初期設定では暗部が暗すぎたのでシャドウのパロメーターを上げてうっすら色が浮かぶように設定しました。カメラを片手で持っていられるので、色んな操作も持ったその手でサクサク行えるのが魅力的なポイントです。この日は川沿いにいたこともあり風が強く、何度も風に煽られました。こういうときヘビー級の機材を持っていると結構しんどいこともあるので助かりました。
ビルの隙間から現れる東京タワー。広角ではややインパクトが薄くなってしまう被写体を遠景でもしっかりとピックアップできることに安心しました。標準域の40mmまでカバーしてくれるのは常用レンズとして使いやすいです。「DC-S9」のマルチアスペクト比「65:24」や「2:1」にするとパノラマ感も楽しめるので相性がとても良く、おススメです。
心地好い広角ズーム
やはり広角端が18mmと広いこと、そのまま一本で標準域までカバーできるというのが魅力です。同価格帯の「LUMIX S 20-60mm F3.5-5.6」も十分に超広角の画角なのですが広角にとっての2mmはとても大きな違い、旅行先で大きなスケールのものに出会ったときの感動は広ければ広いほど良いと思います。キットレンズの価格帯で18mmの画角を手に入れられるというのはお財布にも優しくおススメです。ちなみに広角域をもっと撮りたくなったら、少し手を伸ばしての「LUMIX S 14-28mm F4-5.6 MACRO」も選択肢もありますので、まずは超広角の世界をこの一本から始めてみるのはいかがでしょうか。約155gとコンパクトなので常用ズームレンズを『LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3』にして、単焦点レンズをセットにするのもオススメです。撮りきれない世界がグッと少なくなる超広角ズームレンズ、ぜひお楽しみください。
Photo by MAP CAMERA Staff