
1076:より軽く、より豊かに『 SAMYANG Schneider AF 60-180mm F2.8 FE 』
2026年09月16日
今回のKasyapaでは、前回ご紹介した『 SAMYANG Schneider AF 24-60mm F2.8 FE 』に続き、SAMYANGとSchneider-Kreuznach(シュナイダー・クロイツナッハ)のコラボレーションから誕生した大口径望遠ズームレンズ『 SAMYANG Schneider AF 60-180mm F2.8 FE 』をご紹介します。一般的にこのクラスでは70mmスタートが馴染み深い中、本レンズはひと回り広い60mmから180mmまでをF2.8通しでカバー。前回ご紹介した24-60mmから画角をそのままつなげられる、ユニークな焦点距離も大きな特徴です。それでいて質量は730gと、F2.8通しのレンズとしては非常に軽快。さらに広角端では最短撮影距離0.35mまで寄ることができます。180mmならではの圧縮感や大きなボケはもちろん、60mmの使いやすさや近接撮影まで、一本でどこまで楽しめるのか。実写とともにその魅力を探っていきます。
まずは同じ場所から、60mmと180mmで写り方の違いを比べてみました。60mmでは周囲の枝葉や青空まで広く取り込める一方、180mmまでズームすると、景色の中から気になった部分をぐっと引き寄せることができます。普段70mmを中望遠域として意識している筆者にとって、周囲の状況を残した構図を作りやすい60mmから使えることは、大きなメリットに感じました。同じ場所でも焦点距離を変えるだけで、景色の見え方が大きく変わります。

草花の中から覗くように撮影しました。手前にある赤や緑の花は大きく柔らかなボケへと変わり、その奥にある小さな花が自然に浮かび上がります。望遠端だけでなく、中間域でもF2.8の大きなボケを積極的に構図へ取り入れられるのが印象的でした。

花にとまった蝶を、望遠端180mm・開放F2.8で撮影しました。ピントを合わせた蝶や花の細かな輪郭はしっかりと描かれ、その前後は滑らかなボケへとつながっています。実は望遠端でも0.79m、最大撮影倍率0.21倍と接写性能に優れています。

ディスクを投げる瞬間を、60mm・F2.8で撮影しました。1/2500秒の高速シャッターで動きを止め、人物だけでなく周囲に広がる芝生や空まで一緒に収めています。動きのある場面でも狙った瞬間をしっかりと捉えることができました。

広い芝生と遠くを歩く人々を、60mmで捉えました。空や芝生を含めた景色全体の広がりまで残せるのは、60mmスタートのこのレンズならでは。風景を少し広めに捉えられる自由度を感じました。
同じ花畑を、60mmと180mmで切り取ってみました。60mmでは周囲の景色や花畑の広がりが感じられる一方、180mmでは望遠の圧縮効果によって前後に広がる黄色い花が重なり、密度感のある景色へと変わります。さらに180mmでは手前の花が大きな前ボケとなり、その奥を歩く人物が自然に浮かび上がりました。絞り値は異なりますが、焦点距離による画角と圧縮感の違いがよく分かる比較です。

中間域の使いやすさもこのレンズの魅力です。ここでは噴水と人物像を切り取りました。1/4000秒の高速シャッターによって流れる水を細かく写し止めながら、周囲の景色も程よく残しています。被写体に合わせて細かく画角を調整できるのもズームレンズならではです。

青空に向かって咲くサルスベリを、60mmで撮影しました。花だけを大きく切り取るのではなく、広く流れる雲まで一緒に取り込むことができました。一般的な大口径望遠ズームより少し広い60mmスタートだからこそ、こうした「被写体+周囲の景色」という構図も作りやすく感じました。

雨上がりの路面へ目を向け、100mmで一部分を切り取りました。水が作る細かな模様や濡れた地面の質感、そこに反射する光まで丁寧に描かれています。こうした細かな質感までしっかりと捉える描写からも、本レンズの解像感の高さを実感することができました。

並んだグラスを180mm・F2.8で撮影しました。ピントを合わせたグラスの縁やガラスに映り込む光を丁寧に描きながら、その奥にいる人物は大きく柔らかくぼけています。望遠端とF2.8の組み合わせによる、被写体の分離感がよく分かる一枚です。

室内に置かれたクッションへ近づき、刺繍や生地の質感を撮影しました。60mm側の高い近接性能を活かすことで、金糸の細かな装飾や布の凹凸まで大きく写すことができます。こうしたディテールまでしっかりと寄って撮れるため、一本で撮影できる被写体の幅が広がります。1/25秒という低速シャッターでしたが、730gという軽さもあって構え続ける負担が少なく、落ち着いて撮影することができました。

木々の奥にある東屋を、望遠端180mmで切り取りました。周囲に広がる緑がぎゅっと凝縮され、その中から建物が自然に浮かび上がっています。F4まで少し絞ることで、東屋の屋根や柱の細かな部分までしっかりと描いてくれました。特に屋根の直線や柱の輪郭には、望遠端でも高い解像感を感じます。

光量の少ない室内で、ガラス越しに小さなメリーゴーラウンドを撮影しました。ピントを合わせた細かな装飾はしっかりと確認でき、その前後は柔らかなボケへとつながっています。ズーム全域でF2.8の明るさを確保できることは、こうした暗所での撮影でも大きな安心感につながります。

夜の街に並ぶ看板や提灯を、望遠端180mmで切り取りました。離れた位置にある光や看板が望遠の圧縮効果によって重なり合い、肉眼で見ているときとは少し違った密度感のある景色へと変わります。開放F2.8を活かし、ISO100のままその場の光と色を残しました。こうした景色を見つけられるのも、望遠レンズならではの楽しさです。

規則的に並ぶ提灯と看板を、通りの正面から切り取りました。奥へ続く光景が望遠によって凝縮され、離れているはずの看板や提灯が幾重にも重なって見えます。細かな文字や装飾までしっかりと描かれており、望遠ならではの圧縮効果と解像感を同時に楽しめた一枚です。

より軽く、より豊かに
今回の撮影では、60mmの扱いやすい画角から、180mmならではの圧縮表現、F2.8の大きなボケ、近接撮影、そして光量の少ない室内や夜の街まで、一本で幅広い撮影を楽しむことができました。特に印象的だったのは、一般的な70-200mm F2.8とは少し異なる「60mmから始まる」という焦点距離です。60mmでは周囲の状況まで自然に取り込みやすく、そこから180mmまでズームすれば、景色の中から気になった部分をぐっと引き寄せることができます。そして、これだけの表現力を備えながら質量は730g。F2.8通しのレンズを持ち歩くハードルを大きく下げてくれる軽快さも、本レンズの大きな魅力です。前回ご紹介した『 SAMYANG Schneider AF 24-60mm F2.8 FE 』と組み合わせれば、24mmから180mmまでをF2.8通しでシームレスにカバーできます。望遠をもっと気軽に、日常の撮影へ。『 SAMYANG Schneider AF 60-180mm F2.8 FE 』は、そんな楽しみ方を広げてくれる一本でした。
Photo by MAP CAMERA Staff










