944: 唯一無二のフィッシュアイ『SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE E-Mount』
2024年07月06日
革新的な魚眼レンズの登場。民生用のレンズとして世界初の35mmフルサイズ対応開放絞りF1.4の対角魚眼レンズを実現した『SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE』。
先代の「SIGMA 15mm F2.8EX DG DIAGONAL FISHEYE」も35mmフルサイズ対応でAFが使用でき対角180°をカバーする魚眼レンズとして、開放F値F2.8ながら小型で使いやすいデザインと性能から長らく愛されていますが、本レンズはさらにそれを上回る開放F値“F1.4”。そして星空撮影で嫌悪されるサジタルコマフレアを中心に各収差を補正することを目的に、特殊レンズを贅沢に採用し絞り開放から画面全体で高い描写力を実現し確実に進化を遂げています。今回は高い解像力と点像再現性を味わうため『SONY α7RV』に装着して撮影してまいりました。どうぞご覧ください。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
星空写真には大きく二つ。景色と星を一緒に撮影する「星景写真」と星々の天体だけを撮影する「星野写真」に分かれます。このレンズは広い画角を活かした「星景写真」向きのレンズ。山間にぽっかりと広がる満天の星空。よく見てみると星だけでなく数多くの人工衛星の細かい光跡が写っていることが分かります。やはりその高い描写性能には目を見張ります。そして夜空を分断するように横たわる天の川。天の川の右側にひときわ明るく浮かぶ星は、こと座のベガ(織り姫)。天の川の左淵にあるのがわし座のアルタイル(彦星)。7月7日の夜は年に1度、この織り姫と彦星が会うことができる日です。このレンズであれば二人の姿もしっかりと捉えることが出来ます。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
太陽に向かって撮影してもフレア・ゴーストが全くと言っていいほど現れません。逆光性能の高さがうかがえます。また隅に写っている柵も注目頂きたいポイント、魚眼レンズとは思えないシャープな写りです。四隅まで卓越した解像力を維持しており、本レンズのポテンシャルの高さが際立ちます。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
歪に変形するエスカレーターの手すり。右端の下階に降りていくエスカレーターなんてもはや絶叫系のアトラクションのような傾斜のつきかたです。普通のレンズであればこんな変化はとうてい許容できないのですが、その変化を楽しめるのがこのレンズ。新しい発見が街中のあらゆるところで見つかります。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
シャキっとした直線を撮るとどうなるのか。魚眼レンズといえどレンズの中央部は歪まず、きっちり写ります。三角形は画面下に行くにつれ歪曲の影響をうけて、ふくよかなフォルムになりました。以前に別のレンズで撮影したことのある構図ですが『SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE』にしか表現できない世界を見させてもらいました。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
開放値がF1.4と明るいおかげで、水族館のような暗い室内でもISO感度に頼らずシャッタースピードを調整できます。フォーカスの速度はとても早いというわけではありませんが、前を横切っていく魚くらいなら難なく捉えてくれます。水槽の厚いガラス越しでも模様がちゃんと分かるくらい解像力も高いです。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE
本来であれば見切れていくはずの高架が急激にカーブして画面端に残りました。この周辺の歪みでどう遊ぶのかが一つの醍醐味である気がします。沢山のスポットを知っていれば知るほどに遊び方が増えていくレンズです。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE + Kenko リア プロソフトン No.050
景色を撮影する際には絞り込んで被写界深度を深めたりシャープネスを高めたりするものですが、星の撮影環境下は暗く、なるべく多くの光を取り込みたいものです。様々な手法はありますが、最も一般的なのは絞り開放で露光し、景色と星を同時に記録すること。このレンズは絞り開放でもシャープネスが高く、星を点像として写す性能はもちろん、地上の景色までも立体感を損なわず撮影が可能です。そして開放F値がF1.4と明るいためISO感度を上げすぎなくても十分な光量が得られるので高画素機でもノイズを気にせず撮影が行えました。加えて新しく登場した『Kenko リア プロソフトン No.050』を使用して撮影を行っております。No.050は地上景のシャープネスを損なわず、明るい星の光と色を強調してくれます。星を強調しつつ解像感はそのまま。リアフィルターホルダーを備える本レンズとの相性はバッチリです。
使用機材:SONY α7RV + SIGMA Art 15mm F1.4 DG DN DIAGONAL FISHEYE + Kenko リア プロソフトン No.100
このレンズを使用していると宙の広さに改めて驚かされます。180°という画角は、アングルによって周辺部が大きく湾曲します。それはそれで魚眼レンズ特有の写りになって面白いですが、角度を変えることで湾曲が抑えられ、超広角レンズとしての姿が垣間見れます。全天に広がる天の川をここまで捉えられるレンズはそう多くはありません。シビアな性能を求められる「星景写真」でここまでの性能を示すのですから、風景撮影や建築物の撮影など幅広いシーンにおいてもその高い性能は折り紙つきのことでしょう。さらにこちらは『Kenko リア プロソフトン No.100』を使用しています。より星々が強調され、白い点だけと思われがちな星も赤やオレンジ、青白い色まで様々あることが分かります。
唯一無二のフィッシュアイ
レンズ単体での高い解像力はもちろん、フィッシュアイならではの周辺の歪みが楽しいレンズでした。さらに今回、星景撮影をしたことでよりてこのレンズの真価を見たように感じます。絞り開放から高い解像力と点像再現性が確認でき、リアフィルターホルダーを使用したフィルター効果で星々が強調され、より幻想的な作品作りも高いクオリティのまま行えました。さすがはArtラインのレンズ。まさに高水準の芸術的表現を叶えるレンズでした。星景写真を撮られる方も、そうでない方も、作品に豊かな表現力を加えてくれるレンズをぜひお試しください。
Photo by MAP CAMERA Staff