シグマから発売されるAPS-Cサイズミラーレス専用単焦点レンズ『SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN』の「キヤノン RF-Mount」をご紹介いたします。約285gと小型軽量ながら開放値F1.4と、本格的な大口径レンズを手軽に楽しめるContemporaryシリーズの標準レンズです。このレンズはEF-Mマウントの頃からから使っていたという方も多いと思いますが、今回明るい単焦点がキヤノンのRF-Sマウントに追加されたことはユーザーにとって嬉しいニュースになったのではないでしょうか。今回は「EOS R7」と組み合わせて撮影してきました。明るい単焦点と組み合わせるのは今回が初めて。どんな写りを見せてくれるのか楽しみです。
と言いつつ、目的地に着いて早々に好きな写真が撮れました。良い光が射し込んでいたというのもありますが、点字ブロックのイエローの発色などとても濃厚なトーンです。かと言って濃すぎるわけではなく、気持ちいいのラインを越えない絶妙なところ。ちなみにススキと紅葉を撮った最初の一枚はF11まで絞って撮影しましたが、深い被写界深度で全体を写すことも出来るオールマイティ―な画角です。
開放絞りでの撮影。サイドから太陽の光が入ってくるような感じで撮ったので左上は光量落ちが若干見られますし、小さなゴーストも右端に発生しています。もう少し整えてもよかったかもしれませんが、開放絞りの特性の一つでもあるかなと思いご紹介いたしました。ちょっと奥の方にあるススキにピントを合わせていますがピント面はしっかりシャープ、手前のススキが玉ボケになっているのが面白くてそれが決め手となりました。
F3.5に絞って見事なまでに紅葉した落羽松を撮影しました。青空の色を出すために割り切ってアンダーで切り取りましたが木や枝の黒の締りもとても良く、光が当たった葉や空の発色も見事な再現力です。
開放絞りがただ柔らかい写りかというとそういうわけではありません。まずまずの遠景を開放絞りで撮ってみたのですが、歩いている人達の服の皺や小さな枯れ木の細い枝を解像してくれました。それでいてのっぺりとせずに立体感のある写り、今回一番オオッと思ったカットかもしれません。
赤い葉が中央にくるように両手を出して真上から撮影しました。F2.5に絞っただけですが周辺まで光が均一に行き届いています。今回のカットは全て「EOS R7」のボディ内レンズ補正を使用しています。
海外の方が人力車を牽いており、それが動き出した瞬間を撮影。オートフォーカスはスナップで使うなら全く不満のない速度で、とっさに構えてもシャッターチャンスを逃してしまうということはほぼありませんでした。
開放絞りだと手前がボケすぎてしまうかなと思い少し絞って撮影をしました。それぞれの色がとても深く出ていて印象的です。
白飛びを気にせずに、マニュアルフォーカスでピントを奥に合わせて柔らかく明るい印象に撮ってみました。小型でもフォーカスリングの操作感はしっかりしているのがとても気に入りました。逆光時のフレアやゴーストは割と出やすい印象ですが、入射角を気にすれば抑えることも可能です。
逆に光を整えてあげれば綺麗な空のトーンがしっかりと出てきます。背景ボケとのバランスも良い感じにまとまってくれました。開放値で撮るも良し、絞って整えるのも良しの多彩な表現ができる一本で一日撮影を楽しむことが出来ました。
気軽に楽しめる大口径レンズ
数年前、それこそ『SIGMA Contemporary 30mm F1.4 DC DN E-Mount』が発売された当時に使ったことがありますが、改めて本当によく写るレンズだなと感じました。後半になるにつれて、やっぱり良く写る、ばかりになってしまって言うことがなくなってしまうくらい手応えのある写りを見せてくれました。撮影したカットの中にはRAW現像を見越して撮ったカットもいくつかあって、そのカットがどう仕上がるのかが後の楽しみだったりします。本当によく写るレンズだったので今回同時に発売される『SIGMA Contemporary 56mm F1.4 DC DN RF-Mount』も撮影するのが楽しみな一本です。コンパクトな設計でありながらも、Artラインに匹敵する高画質、そしてRF-Sマウントとしては待望の大口径単焦点レンズ、ぜひとも一度使ってみていただきたい一本です。
Photo by MAP CAMERA Staff