

今回はα7シリーズ第5世代目となる『 SONY α7V 』をご紹介いたします。ベーシックモデルの新基準を打ち立てた「α7IV」の発表から約4年。自らにしてその「基準」を塗り替える新モデルが登場しました。
新開発の有効最大約3,300万画素の部分積層型フルサイズCMOSイメージセンサー「Exmor RS(TM)」と新開発の画像処理エンジン「BIONZ XR2」の組み合わせによる最大約16ストップのダイナミックレンジを実現。最大約30コマ/秒のブラックアウトフリー高速連続撮影と「プリ撮影」機能をα7無印シリーズとして初搭載し、軽量化を実現した新しいRAWファイルフォーマットは、すべてのRAWファイルフォーマットで30コマ/秒の高速連写×14bit RAW記録に対応しました。AIディープラーニング技術により、オートホワイトバランスの精度を向上、4K120pでの動画撮影にも対応するなど、写真を本格的に撮りたいと思って始めたユーザーにとっては、一切の死角なし、と言ってもいいほどのオールラウンダーなカメラに進化した『 SONY α7V 』。少し前の時代であればフラッグシップモデルと名乗ってもいいほどのスペックで、初代から所持していた身からすると、ついにこんなところまで辿り着いたのかという感慨深い思いです。早速撮影してまいりましたので、ぜひご覧ください。

サーバルキャットが陽光に当たっている瞬間を撮りたかったのですが、ゆっくりと歩いているとはいえ、茂みの陰に入ってしまうこともあってシャッターチャンスはシビアです。それでも、茂みで顔が隠れたりする時でも、AIを活用した「リアルタイムトラッキング」がまた瞬時に認識してくれたおかげで、ベロを出しながらこちらに目線をくれた瞬間を撮ることが出来ました。被写体認識では[動物]に対する認識性能は全体で約30%向上しているとのことです。

『 SONY α7V 』でα7無印シリーズとして初めてブラックアウトフリー高速連続撮影が可能になりました。ファインダー像の途切れがなく、被写体を常に見続けられるので、飛び上がったフラミンゴでも見切れることなく撮影することが出来ました。

ブラックアウトフリーのおかげでバードゲージ内を飛び続けるワシも肉眼で見ているかのような感覚でフレーミングが可能です。被写体認識において[鳥]の認識性能は約50%向上し、幅広い種類の鳥の瞳や頭、体の認識にも対応しているということです。実際追いきれずに一瞬ワシがフレームアウトしてしまったときでも、ファインダー内に入れなおしたときに瞬時に再認識してくれました。リアルタイム認識AF+を搭載している「α9III」や「α1II」に優位性はありますが、飛翔中のワシを追従できるオートフォーカス性能を持つ『 SONY α7V 』も非常に優れているということが分かります。

『 SONY α7V 』でα7無印シリーズとして初めて「プリ撮影」機能を搭載。花に止まっていたツマグロヒョウモンが飛び出った瞬間にシャッターを切り、ちょうど羽根を開いた瞬間のコマを選びました。シャッターボタンを半押ししながら被写体を捉えた後に全押しすると0.03秒から最大1秒前までの連写画像を記録することが出来、RAWでクロップされることもなく、AF/AE追随最大約30コマ/秒の連続撮影にも対応しています。また軽量化を実現した新しいRAWファイルフォーマットにより、30コマ/秒の高速連写時も14bit RAW記録に対応にしました。


一羽の鷹が飛んでいるのをAFで捉えて追従させながら、ちょうど画面中央を横切る少し前から連写で撮影しました。画像処理エンジン「BIONZ XR2」による高速データ処理と最適化されたAFアルゴリズムが被写体の動きをリアルタイムに解析し、イメージセンサーの撮像領域のほぼ全域(約94%)をカバーする759点像面位相差AFシステムにより、フレーム全域で被写体を追従してくれます。

本来LEDを撮影するときは高速シャッターでは、点滅してしまいます。実際部分的に消えてしまったりしたのですが、高速シャッターで切っていたらそのうち撮れるのではないかとチャレンジしてみたカットです。『 SONY α7V 』だから撮れた、という直接的な理由になりませんが、高速シャッターで切ればなんとかなる場合もあるんだ、と感心した1枚です。

新開発のイメージセンサーと画像処理エンジンを搭載し、メカシャッター時には最大約16ストップという広いダイナミックレンジを実現した『 SONY α7V 』。高感度での撮影も非常に優秀でした。ISO5000という高感度ですが、そう言われないと分からないほどノイズは少なく、赤クラゲの褐色の縞模様や水槽のブルーの発色もはっきりと出ており、そのクオリティの高さに驚きました。すでに過去のα7シリーズに搭載されていますが、フリッカーレス撮影も可能です。水族館など室内での撮影時にはやはり重宝します。

手ブレ補正も「α7IV」の5.5段から、中央最大7.5段、周辺最大6.5段の高性能光学式5軸ボディ内手ブレ補正へと進化。1秒のスローシャッターでも手持ちでブレることなく撮影が可能です。また、対応する手ブレ補正機構内蔵レンズとの組み合わせで、より効果的にボディと協調し、ボディとの協調は動画撮影用のアクティブモード時にも対応しているということです。

AI処理を搭載した画像処理エンジン「BIONZ XR2」により、「α7IV」と比較して認識性能が約30%アップ。遠くにいる人物の認識精度も向上しました。また姿勢推定技術を用いた処理により、瞳だけでなく人間の胴体や頭部の位置をより高精度に認識するため、たとえばカメラに対して後ろ向きの人物を捉えたり、顔が見えないシーンなどでも認識性能が大幅に向上しているということです。
サーファーが水平線にシルエットが重なってしまったときでも粘り強く追尾してくれました。このカットの中で最も明るいのが左上。太陽が画の中に入らないように撮影しています。最大約16ストップのダイナミックレンジはメカシャッター時のみということですが、電子シャッター時でもハイライトはよく粘っていれている印象です。

「1.4x Teleconverter」を装着した状態でさらにAPS-Cクロップを使用し、約420mmの焦点距離で撮影しました。「リアルタイムトラッキング」は狙いたい被写体を指定してシャッターボタンを半押しするだけで、顔が見えない人物、背中を向けているような動物もリアルタイムに検出、追随し続けてくれます。オートフォーカスはカメラに任せて、構図に集中することが出来たおかげで、画面右側に被写体を置いた画を撮ることが出来ました。
設定はフォーカスエリアモードで選択できるほか、カスタムキーに「押す間トラッキング」を割り当てれば、フォーカスエリアの設定に関係なく、一時的に狙った被写体を追随できます。「タッチトラッキング」を設定しておけば、狙いたい被写体をモニター上でタッチするだけで追尾できます。

ほぼシルエットでしか認識できない被写体でも、フレームに入ってきた瞬間から被写体を認識してくれるオートフォーカス性能のおかげで、太陽が真ん中にある構図を狙いながら撮影することが出来ました。静止画と動画において、[人物]、[動物]、[鳥]、[昆虫]、[車/列車]、[飛行機]に対応し、より幅広い被写体を認識できるように。[動物]に対する認識性能は全体で約30%向上しているとのことです。
他にも[鳥]においては認識性能が約50%向上し、[車/列車]、[飛行機]、[昆虫]では被写体全体または先頭部や頭部を認識し追尾。また、新しい[オート]モードなら、カメラが自動で被写体を認識してくれます。


波打ち際を走り回って餌を捕る、おそらくミユビシギだと思われる群れ。夕暮れ時でほぼシルエットの状態でしたが、姿を捉えたくて感度を12800まで上げて撮影しました。撮って出しでもノイズは少なく感じたのですが、せっかくなので「Imaging Edge Desktop」に新たに搭載された「エクステンデッドRAW処理」機能の「エクステンデッドNR」で現像をしてみました。実際に現像したカットなのですが、そのノイズの少なさに感動しました。これがISO12800のカットだとは思いません。
「Imaging Edge Desktop」には解像感を保ちながらノイズを大幅に低減する「エクステンデッドNR」と、通常のノイズを抑えつつも約4倍の画素情報に拡張する「エクステンデッドHi-Res」があるので、「エクステンデッドHi-Res」の解像感も気になるところです。

光源の色を推定する処理にAIディープラーニング技術が採用され、「α7 IV」のAWBでは難しかったシーンでも、より正確で安定したホワイトバランスを実現しているということです。日が沈んでからの刻々と変わっていく空の色を忠実に再現してくれました。

記録メディアは「CFexpress Type A」/SDXCカードのダブルスロット、SuperSpeed USB 10Gbps(USB 3.2) /Hi-Speed USB 480Mbps(USB 2.0)に対応した2つのUSB Type-C(R)端子を搭載しています。また画像処理エンジン「BIONZ XR2」の低消費電力化により、バッテリーのスタミナ性能が大幅に向上したということです。実際に、バッテリーの予備が必要どころか、1日撮影していて、バッテリーが切れそうになったのは夕暮れ時になって、という感じでした。もともと大容量のバッテリーですが、確かにスタミナ性能の向上を実感しました。

ソニー独自の、自在な調整ができる4軸マルチアングル液晶モニターを搭載。バリアングル液晶モニターとチルト液晶モニター両方の利便性を兼ね備えており、モニターを手前に引き出しカメラ背面に対して上方向約98度、下方向約40度にチルトできるほか、横方向に約180度開くことができます。ほぼ地面スレスレのアングルで撮影しているのでチルトが出来るのが非常に助かりました。バリアングルとチルトどちらもユーザーによって求める操作性は違うので、撮影スタイルに合わせた柔軟な運用が可能になったことは嬉しい進化です。


ベーシックの新基準
『 SONY α7V 』の広告「塗り替えろ。」というコピーと背景に筆で引かれたオレンジ。α7初代の広告のあのベタっとしたオレンジが記憶に鮮烈に残っています。これでα7シリーズに興味を持った私にとっては、当時を彷彿とさせるデザインに非常に興奮しました(ちなみに「α」のブランドカラーであるオレンジは正確にはシナバー(辰砂・しんしゃ色)と呼ばれる伝統色だそうです)。そして「α7IV」が「次代の新基準へ」というコピーで登場したときも、このスペックをベーシックと呼ぶのかと衝撃を覚えました。過去に高画素・高感度モデルの3ラインを展開したときなどもそうですが、αシリーズが新しくなるたびに私は毎回驚いている気がします。今回の『 SONY α7V 』もそうです。
最大約16ストップのダイナミックレンジ、最大約30コマ/秒のブラックアウトフリー高速連続撮影(14bit RAW記録)など一部の機能だけでも、時代によってはフラッグシップモデルと呼ばれるほどのスペックを持つカメラが「ベーシック」として定義されるという衝撃。もちろん高速連写モデルの「α9III」や「α1II」とは明確に差別化されており、高速で動く被写体を確実に捉えたい場合はその優位性に変化はありません。ただ「ベーシックモデル」を求める層にとっては『 SONY α7V 』は間違いない選択肢になったと断言できます。このカメラで撮れないものが出来たとき、それはベーシックからの卒業ということ。でも卒業まではかなりかかるかもしれません。それほどまでに洗練され満足度の高いカメラです。迷うことなく選んでしまいしょう。次代の新基準が、いまここにあります。
Photo by MAP CAMERA Staff








