マップカメラ店長がカメラについてアレコレ語る『極私的カメラうんちく』

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第11回:マウントアダプター雑考

ユニバーサルマウントの項でも述べたが、ひとつのカメラボディにあらゆるレンズを装着したいという欲求は、いつの世も変わらないようである。

 その願いを手軽に叶えるのがマウントアダプターである。

 マウントアダプターは、本来は装着不可能な異なる形状のマウント同士を結合する、とても便利なアクセサリーだが、マウントアダプターを使用したうえで純正レンズ使用時と同等の機能を維持することは非常に困難である。一眼レフの場合ボディとレンズ間にはもともと複雑な連動機構が存在しており、A社のレンズをB社のカメラに装着するといった場合、連動機構は全て犠牲になると考えてよい。したがってアダプターを使用して他社のレンズを装着する場合、オートフォーカスはおろか、絞り連動(シャッターを切った瞬間だけ絞りが動作すること)、および露出計連動(ファインダーが明るいままでも絞り操作が内蔵露出計に反映すること)は必然的に諦めなければならない。

 例外的には露出計や絞りの連動も可能なアダプターも存在するが、それらはレンズ側、あるいはボディ側のマウントが予めアダプターの存在を前提に設計されている場合である。自社のMFレンズを各カメラメーカーのマウントに変換するタムロンのアダプトールや、PENTAX67(レンズ)→PENTAX645(ボディ)のアダプターがそれにあたる。PENTAX645はPENTAX6×7の後に設計されたため、6×7用のレンズを開放測光と自動絞りで使用できるアダプターを設計することが可能だった。また一眼レフ用ではないが、マウントアダプターの元祖といってもよいライカL→Mアダプターは、Lマウント時代には無かったファインダー枠の切り替までをも完璧にこなし、Lマウントレンズを完全なMマウントレンズに変換することが出来る。しかしこの場合も、膨大なインフラであるLマウントレンズを引き継いだまま新マウントに移行すべく、Mマウント自体がアダプターの存在を前提に企画設計されたからに他ならない。

 次にマウントアダプターそのものの設計について考えてみたい。

 アダプターを設計する場合、装着されるレンズとボディ双方の、一般にフランジバックと呼ばれるマウント基底面からフィルムや撮像素子(厳密には設計基準面)までの距離が重要である。

 もしこの距離がボディよりレンズの方が短い場合、アダプターで装着したレンズを無限遠にしても近距離にしかピントが合わない。無限遠にピントが合うようにするためにはレンズとフィルムの間に凹レンズを入れなければならず、アダプターは補正レンズ入りの設計になる。言い換えればテレコンバーターを装着したのと同じことになり、開放F値や焦点距離にも影響する。当然ながら装着したレンズの性能を純粋に楽しむことは出来ない。

逆にレンズの方が十分に長い場合、レンズとボディの間に挟まる部材や機構の厚みを確保できるため、その分アダプターの設計は容易になる。前出のPENTAX67→PENTAX645のアダプターも、フォーマットの大きな6×7cm判のレンズの方が6×4.5cm判よりも数cmフランジバックが長いために設計が可能となっている。

 しかし同じ35mm判同士の場合、フランジバックにはどのメーカーも数ミリ程度の違いしかなく、余裕を持った設計が非常に難しい。そこで大きな意味を持つのが今度はマウントの内径である。

 レンズマウントの外径よりもボディマウントの内径が十分に大きければ、アダブターの部材はボディマウントの内側にも確保できることになり、フランジバックにほとんど差が無い場合でも、アダプターの強度を確保しつつ無限遠の出るアダプターの製作が補正レンズ無しで可能である。

 こうしてみるとアダプターの製作に適したボディマウントとは、集約すればフランジバックが少しでも短く、同じフォーマット同士比較して口径が相当に大きいものということになる。

 そしてそれこそがフィルムカメラ全盛の時代から、キヤノンEFマウントをベースカメラとして幾多のアダプターが発売されてきた理由である。ニコンFマウントを始め、オリンパスOM、コンタックス/ヤシカ、ライカR 、エキザクタ、M42 と幾多のなだたる名レンズたちを補正レンズ無しのアダプターで使用できるのは、35mm判マウントとしてはEFマウントをおいて他に無い。またマウントの口径以外にも、EFマウントはかつてミラー固定式のEOS RTやEOS 1N RSをラインナップし、さらに完全電子マウントであるがゆえボディマウント内部に邪魔なレバーやピンなどが無いことも、アダプターの設計/製作には非常に有利に働いたといえる。

 マウントアダプターは上手に利用すれば、様々な楽しみ方が可能だが、昨今は絞りリングを省略したレンズラインナップが各社に増えつつある。ボディ側に絞りの操作機能を付加し、絞りリングを省略するのは現代の趨勢であり、現行のAF一眼レフシステムにおいては、もはやレンズ側の絞りリングは無用の長物と化しているのも事実である。絞りリングの省略はマウントアダプターにとってはまさに致命的であり残念なことであるが、ベースカメラの旗印となったEFマウント自体がその当初より絞りリングが無かったことを思うと、複雑な心持ちではある。

written by ストロベリー小野
この記事のカテゴリーは『極私的カメラうんちく』です | 2005年11月20日

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