ノクチルクス、ライカ社のレンズラインナップの中でも最速を誇る大口径ハイスピードレンズです。F1.0と数値上では人の眼と同じ明るさを持つそのスペックは、それだけでも十分に使ってみたいと思わせるもの。その独特な描写と大きなボケから愛好者も多く、「暗闇を制するレンズ」などと称されストロボを用いる事の少ないライカでは大きな役割を担うレンズです。
デジタルでもその独特な描写は健在で、最短近くにピントを持ってきた際のその薄さ、背景にとけ込んでいくようなボケともに独自の描写世界を持つレンズです。
中距離でも開放ではこの被写界深度。ミニチュアであると錯覚させそうなほど、前後のボケは大きなものです。ただしピント面の描写はさすがライカ。石のざらりとした質感とともにしっかり描き出しています。
こういった描写は、やはりノクチルクスならではの描写と言えそうです。M9などはシャッタースピードも1/4000まであり、感度もその都度かえられるのでこのレンズのキャラクターを生かすには最適な組み合わせと言えるかもしれません。
光量の少ないシチュエーションではやはり重宝します。描写の柔らかさも被写体に合っている様ですね。
絞り込めば、シャープでたいへん線のしっかりしたレンズに早変わり。強烈な逆光でもフレアも生じず、雲の細かな様子まで描写しているのには驚きました。
湿度感のある、オールドレンズのような優しく柔らかな描写。上の写真とのギャップは強烈で、この個性こそノクチルクスを求める人が断たない要因でしょう。使いこなせれば1本でも様々な世界を描く事が出来そうです。
夜の街に繰り出すにも、このレンズであれば心強いもの。これまで撮れなかったシチュエーションが撮れる、というのは嬉しい限り。
迫力のある大きなレンズで、いかにも大口径!といった佇まいの本レンズ。ただ予想以上にMボディとの相性は良く、ボディバランスがいいのか取り回しは良好でした。ただこの描写に魅せられてしまっては、少々の重さなど苦にはならないかもしれません。ノクチルクス、魅力あふれる1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.