ズミルックス、開放F値が1.4と大口径のレンズラインナップですが21mmと24mmの焦点距離が発売された際には驚いたものです。一眼用にも同一のスペックのものがありますが、それと比べると一回り以上もコンパクト。つくづくライカ・システムの携行性の良さを実感したものです。
描写傾向は想像以上に柔らかく、前後のボケも画角とスペックを考えればかなり美しくなだらかなもの。葉の柔らかさも良く描写してくれています。24mmにしてこのボケの大きさはこのレンズならではのもので、自然な視線の誘導が出来るなど作画にも多いに活用できそうです。
明るいレンズの恩恵は、こうしたシチュエーションで発揮されます。時を経た土壁の光の反射、ソファのベルベット生地の柔らかな雰囲気、真鍮の重厚な輝きなど、光量の少ない中で驚くほど繊細に描き出してくれています。室内などで光量とアングルが制限される状況では、このレンズは多いに活躍してくれる事でしょう!
繊細さ、そして光のトーンの柔らかさ。お分かりいただけるかと思います。
24mmという画角はライカレンズの中でも少ない画角ですが、スナップをしているとなぜライカ社がこの画角を追加したのか、その理由が分かる気がします。21mmともなってしまうと誇張とデフォルメが激しく、なかなか使いこなしは難しいもの。といって28mmでは画角的に広がりに乏しいシチュエーションが存在します。そんな中で24mmという画角は広がりを持たせつつ、作者が画作りをコントロールしやすいギリギリのライン。実際にスナップをしていると、その使いやすさを実感する事が出来ます。
ちなみに必須に思われる外付けファインダー。もちろん有るに越した事はありませんが、M8やM9をお持ちの方であれば撮影した画像から画角を身につけてしまう事が出来るので、ファインダーが無くても驚くほどしっかりと撮影する事が出来ます。実際、今回の試写は外付けファインダー無しで行いましたが、困った事はありませんでした。画角や被写体との間合いを想像しながら、体で身に付けて撮影できるのもライカの大きな魅力の一つですね。
この間合いで、この画角で、このボケ。全体にウエットな空気迄しっかりと描き止める、24mmという広角で柔らかさのあるレンズは貴重です。
ライカレンズにしては、大柄です。ただこのスペックでこのサイズ。広角スナップを行う方にはぜひともお勧めしたい1本。絞り込んでの街頭スナップも、開放での情感あふれる1枚にも、応用範囲の広いレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.