絞り:F1.1 / シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:160 / 使用機材:LEICA M9-P + Sonnetar 50mm/f1.1
大口径レンズ、古くはF2クラスのレンズから、今や『Noctilux 50mm/F0.95』まで。その巨大な光学ガラスの威容と、大きなボケを伴った幻想的な描写で多くの人を魅了するレンズジャンルになっています。ただ設計の難しさなどもあいまって、どの時代でも実に高価。なかなか手が出ないのも実情の憧れのレンズと言えるのではないでしょうか。
そんな中で、オリジナルレンズを製作しているMS-OPTICAL社が新たにリリースしたのがこの『Sonnetar 50mm/f1.1』。何と開放F値が1.1と言うのですから驚きです!以前制作された『MS-MODE-S 50mm/F1.3』を改良し、F1.1を達成。更に全体での描写性能を向上したレンズと言いますから、いやが上にも期待が高まります。まずは開放をメインに、その描写をご覧頂ければと思います。
最短近くでの開放撮影です。新緑に強い日差しが当たり、美しい緑色になっていましたが印象通りの描写です。F1.1とは言えフレアの中にしっかりと解像線が残り、柔らかすぎない描写は好印象です。
全体的にフワリとした描写です。このカットが今回撮影した中では滲みの最も大きかったものですが、同じF値でもしっかりと結像している場合もあり、光線状況等でその個性は大きく変わってくる様です。
強い日差しに無理矢理に開放で臨みました。結果はボケといいフレアといい盛大なものですが…よく見てみると、花弁などの結像はしっかりしています。想像以上に開放から良く写る印象で、無茶な光線状況でも良く粘ってくれそうです。
絞り込むと遠景までしっかりですね。F2位から結像はしっかりとしたものになってきます。
F1.4だと少し柔らかく…ですが発色は良いですね。他のカットも含め、特に赤系の色が印象的に残りました。
立体感や存在感も、しっかりと出ている描写です。実に精緻な描写で、「大口径だから」という言い訳は必要の無い好描写です。
つるりとしたボンネットも存在感がありますね。前後のボケもクセが少なく、使いやすい印象です。
斜めから強い光が入り、しかも開放ではこうしたフレアも出ますが個人的には印象が悪くありません。光と積極的に楽しむレンズですから、こうしたものも個性として捉えたい所です。
開放で5〜6m離れていると、前後がボケてミニチュアの様に写る事も。これもF1.1の開放値ゆえですね。
ゾナータイプの発展形として設計されたレンズだけあり、レンズの全長がとても短くコンパクト!鏡筒も軽合金製なので軽く、50mmでF1.1とは思えないほどフットワークの良い撮影が出来るのには驚きました。これなら他のレンズを携行しても、苦にならないセットで撮影に臨めるでしょう。ネジ込み式のフードも質感の高いものです。
国内販売は本年の夏頃。数量は手作業に近い制作の為限られるものですが、新品で手に入れる事が可能で10万円台が予定売価と、50mm/f1.1クラスのレンズとしては大変リーズナブル。大口径レンズの難点である金額と重量を大きく軽減したこのレンズ。活躍の場も広い魅力的な1本です。
Photo by MAP CAMERA Staff