『Leica X Vario』レポート第2弾。前回のレポート時より引き続き『Leica X Vario』使用しているが、当初想像していた以上に、普段使いのボディとして手放せない1台になっている。”Leica M”のボディも小さく持ち運びはしやすいのだが、取材先でのちょっとした撮影にはズームとAFの採用は実に便利。撮影を誰かにお願いする時も、設定をAFにしておけば『Leica X Vario』はためらわずにシャッターを切ってもらえる。それでいて画質は一級のクオリティなのだから、これは活用しない手は無い。当初は少々大柄に感じていたボディサイズも重量がさほどでもないせいか、持ち運びに苦を感じる事も無かった。
このカットはISOを1000程度まで上げて、更にRAWで明度を引き上げている。色がくすんだりノイズが出やすい感心しない現像方法だが、そんな撮影者の怠惰にもしっかりと描写でついてきてくれるのは大変助かる。古い建物の豪奢なロビーホール、その細かな装飾と光の具合まで実に良く描写してくれた。
こうした被写体との自然な遠近感の演出が上手いカメラである。さっと撮って、実に自然。それでいて被写体の存在感はしっかりとすくってくれる描写だ。
アンダー部の描写も、RAWデータの現像範囲が広いので十分に対応できる。こうしたカットでもビルの壁面までしっかりデータが残っているのは頼もしい限りだ。
『Leica X Vario』を長く使って、しみじみ思うその魅力にマニュアルとオートが共存したその操作系がある。フォーカスのAF・MF切り替えは写真の様に、ピントリングを回してシームレスに連動している。ピントリングを回せば自動的にMFに移行し、フォーカスアシストも自動で起動するのだ。別にフォーカスボタン等がある訳でもなく、「こうしたい!」と思った行動にカメラがついてきてくれる訳で、こうした”言わずに分かってくれる”操作系というのは使っていてとても気持ちのよいものだ。
モノクロームの描写もかなりイケる。RAWでの追い込みがいもある描写だ。
スペックだけを見るとレンズが少々暗いと思われる向きもあるかもしれないが、夕暮れのこうしたシチュエーションでも十分に実用になる。高感度対応の恩恵は大きなもので、これが『Leica X Vario』の使い勝手の幅を大きく広げてくれている。
背面液晶も美しくコントラストのしっかりしたもの、『LEICA M』譲りの背面操作系はシンプルだが要を得たものである。シャッタースピード、絞りも単独のダイヤルになっている為マニュアルで描写を追い込む事も、全てオートで気楽に撮る事も、どちらも出来るのが『Leica X Vario』の大きな魅力だ。新しい『LEICA X』シリーズ、その魅力を感じて頂ければ幸いである。
Photo by MAP CAMERA Staff