ピーター・カルベ氏によるライカSLレンズ プレゼンテーション VOL.1 | Kasyapa for Leica Kasyapa for Leica|(カシャパ フォー ライカ)東京新宿のカメラ専門店マップカメラが提供するLeica専門サイト 
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PeterKarbe氏によるプレゼンテーション


2018年1月に発売されたLマウントの単焦点交換レンズ「ライカ アポズミクロン SL75mm F2.0 ASPH.」を皮切りに展開がスタートした、ライカのLマウントプライムレンズシリーズ。そのラインナップは順調に増え、いまでは35mmから90mmまで用途に合わせて選べる4本の「アポズミクロン」がラインナップされています。 ライカを愛する者にとって憧れでもある、このアポクロマートレンズたちは今後、広角3種のレンズの発売も予定されており、その動向からはますます目が離せません。 レンズの描写については、我々マップカメラでも逐次お伝えしてまいりましたが、今回はフォトプレビューとは異なる観点からこのライカSL用アポズミクロンの魅力を皆様にお届けいたします。


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現行のLマウントレンズたち、いずれもプロフェッショナルの作画に応える、高い評価を得ている。
今回焦点をあてるプライムレンズシリーズは、アポクロマートレンズを用いて色収差を高いレベルで抑えるなどの画質面に留まらず、
製造上の効率化双方を高い次元で成立させた、新たな単焦点レンズ群。
広角側21mmから中望遠90mmまでの「アポズミクロン F2.0 ASPH.」の豪華な7本のラインナップだ。

2019年秋、来日したドイツ・ライカカメラ社の光学設計課マネージャ、ピーター・カルベ(Peter Karbe)氏。 このレポートでは、Lマウントに限らず現代の多くのライカレンズの光学設計に携わってきた同氏が語る「ライカSLレンズの魅力」のプレゼンテーションと、更に日頃お客様から多くお問い合わせを頂く製品の疑問などについて聞いた同氏へのインタビューの模様をお伝えいたします。

昨年カメラ業界に激震を走らせた「Lマウントアライアンス」の発表で、ライカボディとのマッチングに留まらず、無限の可能性を広げるアポズミクロンSLレンズ―――
その魅力を、どうぞご堪能ください。

null 今日は2年ほど前に登場したLマウントのフルサイズ単焦点レンズ「SLプライムレンズシリーズ」についてお話しさせていただきます。技術的な内容を中心にお話し致しますが、後半ではそれが撮影にどう活かされるのかについてもお伝えできればと思います。


オートフォーカス性能について


null ミラーレスカメラのライカ「SL」のLマウントレンズはコントラストAFを採用しています。この為レンズを非常に細かく調整する必要があり、「ステッピングモーター」というモーターを使用しています。これは20g以下の軽いレンズしか動かすことが出来ない為、非常に軽量化が求められます。


ステッピングモーターの仕組みについて説明するピーター・カルベ氏
ステッピングモーターの仕組みについて説明するピーター・カルベ氏


null このステッピングモーターは1回転を640ステップで制御しており、1ステップが0.8µm(1µmは0.001mm)であることから、1回転あたり0.5mmレンズが動きます。非常に緻密な駆動を可能にします。そしてライカは「デュアル・シンクロ・ドライブ」という、インナーフォーカスが2群に独立して個別に動くシステムを開発しました。2群のレンズが独立し、リニアガイド上で制御されることで正確に作動します。特に今回は電気設計者が確立した設計の上に加えて光学設計をしなければならない、という従来には無い新たなチャレンジがありました。


"コンパクトさ"と"最高画質"の両立


null 次に画質についてですが、ライカは今後もカメラの高画素化はまだしばらく続くと捉えています。ですから、今後登場する製品は、この高画素化に対応した設計にしなければならないと考えています。その為に「センサーの画素に合わせて、どれくらいのレンズ性能を持つ必要があるのか」という基準を、独自に設定しています。例えば、35mm判フルサイズセンサーが2,400万画素の場合は、ピクセルサイズは6μmになります。この時の“限界解像度”は83本、“MTF50%”時には40本と定義しています。どういうことかと言いますと「6μm×6μmの1ピクセルを、白黒で交互に並べると、1mmに83本のラインがクリアに見えます」という意味で、この白黒の83本のラインをはっきり、くっきりと解像させることが出来る状態が「限界解像度」という考え方です。この完全にはっきりした状態を「MTF100%」、反対に白黒の境界が全く判別できない状態は「MTF0%」となります。ライカではこの双方の中間域「MTF50%」を、本来必要な解像度ではないかと捉えています。これは業界標準ではなく、ライカとしての独自の考え方です。


センサーのピクセル数ごとの必要なレンズ解像力を説明
センサーの高画素化はレンズ性能にも進化を必要としている


null 上の表のとおり、前述の2,400万画素センサーの場合、ピクセルサイズは6μm×6μm、限界解像度は83本、MTF50%時の解像度は40本。1億画素センサーの場合はピクセルサイズは2.9μm×2.9μm、限界解像度は172本、MTF50%時の解像度は80本となります。

こちらのグラフは「アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.」の解像力についてまとめたものです。先程、2,400万画素センサーでは大体40本を目標値に設定しているとお伝えしましたが、このグラフをご覧いただくと、いかにこのレンズの解像力が高いかがお分かり頂けると思います。このレンズはMTF50%の時には、207本となっています。限界解像度でも83本で良いところをさらに解像させているので、目安的な単純計算ではありますが、およそ4億画素ほどの解像度に対応したレンズであると言えます。


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「アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.」が持つ解像力について語る ピーター・カルベ氏
同レンズは単純計算ながら中心部は4億画素ものセンサーに耐えうるという


null レンズは一般的に、前ボケ部分が赤く、後ボケ部分は青い収差が出ることがあります。周辺まで高い解像感を求める場合にはそうした色収差が画質にも影響を与えてしまうことから、こうした色収差の抑制をしっかり行なうことができる“アポ”(アポクロマート)のレンズを使用しています。
このレンズについてライカは長い経験を持っています。アポレンズには特殊な硝材を使う必要があるのですが、過去に当社はガラスを溶かして硝材を独自に作っていました。特に柔らかい硝材は傷が付き易くセンシティブなマテリアルだけに、製造段階においても特別なケアが必要です。ライカはこうした分野にも高いノウハウを持っています。


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ライカはLマウント登場以前からアポクロマートレンズを世に送り出している。
写真はMマウントの究極の標準レンズと称される「アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.」


null 続いてこちらはLマウントの「アポズミクロンSL35mm F2.0 ASPH.」とMマウントの「ズミルックス M35mm F1.4 ASPH.」を比較したデータです。
「何故このLマウントのプライムレンズシリーズは開放F2.0なのか?」と思われる方も多いと思います。こちらのグラフは先ほどのものにMマウントの35mm F1.4も加えたものです。画質に定評のあるこのズミルックスは「MTF50%時に43本」。今の2,400万画素のセンサーに適していることはお分かりいただけると思いますが、これにも増してLマウント用アポズミクロン35mmが相当に高性能なレンズであることがみてとれるのではないでしょうか。


SL35F2vsM3514
Mシステムの銘玉「ズミルックス M35mm F1.4 ASPH.」との解像力比較
レンジファインダー用の高性能レンズと比較しても、今回のアポズミクロンSLレンズが如何に高性能かが伺える。


null 次のグラフは、レンズのコントラストを示しています。こちらも同様に「アポズミクロンSL35mm F2.0 ASPH.」を赤いグラフで「ズミルックス M35mm F1.4 ASPH.」を青いグラフでそれぞれ表して比較しました。
横軸がピント面、縦軸がコントラストを示しています。それぞれの線が中心から左右に広がりながら落ちていますが、これはピント面からボケてゆく様子を表しています。この山の広がりの幅が、写真においてはピントがあった部分からボケてゆく立体感表現やボケの大きさである被写界深度となります。この山の広がりの幅が両レンズで似ていて、形状が近いということは、「アポズミクロンSL35mm F2.0 ASPH.」は、そのボケの大きさや立体感表現が、F1.4のレンズと同じように見える。ということを表しているのです。更にアポズミクロンSLの縦軸のコントラストがズミルックスMよりかなり高いことも踏まえれば、ズミルックスM以上の視覚的効果が出る製品だと言えるでしょう。


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際立っているのはその高いコントラスト。ライカで撮影した写真が高い立体感を描写する所以はここにある。



作例 作例
<左>絞り:F2.0/ シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA SL(Typ601) + アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.
<右>絞り:F2.0/ シャッタースピード:1/160秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA SL(Typ601) + アポズミクロン SL35mm F2.0 ASPH.



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ライカが考える、高画素化時代のレンズ指標。周辺部の画質でさえ、1億画素のセンサーに対応するという。


null 更にこのグラフはレンズの中心から周辺に向け、MTFがどう変化するかを示したグラフです。いままで何本という単位を使ってご説明させていただいていたのは、レンズ中心部のもっとも画質のよい部分のお話でした。像面湾曲によって周辺部ほど解像力は落ちてしまいますが、この「アポズミクロンSL35mm F2.0 ASPH.」は周辺部でもまだ74本を維持しており、周辺部だけをみても1億画素程のセンサーには対応していると言えます。
この解像度の見方の概念は、現在まだ他のメーカーにはあまり無く、ライカならではだと思いますが、今後も高画素化レースにおいてレンズを設計する上では欠かせない見方になると思います。


ピーター・カルベ氏によるライカSLレンズ プレゼンテーション VOL.2(近日公開)へ続く










[Category: Leica Special Contents|掲載日時:2019年11月09日 19時00分]

Peter Karbe氏

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