使用機材:Leica SL2 + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
LEICASL2
M型とは別にライカを支える大きな柱として成長したLマウントシリーズ。その頂点に君臨する『Leica SL』が遂にフルモデルチェンジを果たした。今回のKasyapa for Leicaでは最新機種『Leica SL2』をご紹介しよう。
プロのフォトグラファーより絶大な支持を得ている『Leica SL』。そのコンセプトをそのままに、高い防塵防滴性能でより強く、操作系の一新によってより使いやすく、そして新型センサーによって高画質に進化したのが『Leica SL2』だ。
今回の撮影ではSLシリーズのスタンダードレンズとも言える『Leica バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.』をメインに使用したのだが、写真の抜けるような空の青さはもちろん、建物の外側に使われている石の質感を鮮明に写し出してくれているのがお分かりいただけるだろう。通常なら「これが4700万画素の新型センサーの実力」と話を繋げるところだが、この『Leica SL2』の描写性は高画素だけでは語れない。通常イメージセンサーの前にはIRカットガラスやカバーガラス、ローパスフィルターなどがセットになって作られているのだが、『Leica SL2』はローパスフィルターレス構造に加え、IRカットガラスやカバーガラスが極限まで薄く作られているのだ。これはレンズの光を限りなくセンサーに届けるというライカの強いこだわりで、過去にはガラスを薄くするためにIRフィルターすらセンサーから取り除いてしまったカメラを出したほどである。しかし、その強いこだわりは写真へダイレクトに影響する。正直今まで何度も使用してきたバリオ・エルマリートがここまで描写性に優れたズームレンズだと今まで思わなかったというのが本音だ。高画質なSLレンズシリーズの光学性能を最大限に引き出してくれるのが『Leica SL2』と言っても過言ではないだろう。
使用機材:Leica SL2 + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
秋冬は強い斜光が明暗のある世界を作り出す季節。印象的な光が多い分ニュートラルな色合いの写真を撮るには難しいが、影や逆光を意識した作品を撮るには絶好の季節と言えるだろう。このカットは撮る前からモノクロームのイメージが頭で出来上がっていたので、白線の位置と右上部の木の影で構図を決め、画のアクセントとなる歩行者が通った瞬間にシャッターを切った。『Leica SL2』の高解像度が想像以上にアスファルトを写し出し、写真がハードな印象になったのは嬉しい誤算だった。
今の季節の光は時として強すぎる事もある。このカットも強い逆光の中で撮影した一枚で、おそらく光学ファインダーだったら眩しさのあまり目を開けていられない状況だっただろう。その点『Leica SL2』は高精細な576万ドット電子ビューファインダーが搭載されているので、このような状況でも露出補正をアンダーにすればしっかりとピントの山を確認しながら撮影することができる。光学ファインダーの良さはもちろんあるが、総合的な撮影メリットという点では、すでに本機の電子ビューファンダーは光学ファインダーを超越しているように思える。
バイクや車好きなら車体の映り込みに特別な魅力を感じる方も多いはずだ。この写真も車体よりタンクに映り込む晩秋の景色を意識して撮影した一枚。赤や黄の紅葉や青い空の色がBMW R nineTをよりエレガントな一台に変えてくれている。
使用機材:Leica SL2 + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
使用機材:Leica SL2 + バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.
太陽の光と向かいの建物から反射する光の重なりを意識してシャッターを切った一枚。咄嗟のイメージを具現化するにはスナップでもズームレンズの方がありがたい。描写の単焦点レンズ、利便性のズームレンズというのが一般的な見解かもしれないが、その点で言うならば『Leica バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.』はそれらを両立させたレンズだと言えるだろう。『Leica SL2』でレンズシステムを組む際に是非とも加えておきたい1本だ。
今の季節の夜の訪れは早いもので、午後に撮影をしているとあっという間に暗くなってしまった。カメラをバッグへしまい込み、駅へ向かう道すがらオフィスビルからの光がとても綺麗なのに気づく。再びカメラを取り出し、ファインダーを覗くとちょうど良いタイミングで手前を電車が横切った。動きのない静のイメージに動きのある電車がいいアクセントになった一枚だ。
このような夜のスナップで気をつけなければいけないのがシャッタースピードだ。今の時代は積極的に高感度を使って撮影するのも一つの手だが、しっとりとした黒を表現したい時には可能な限りISO感度を抑えたいところ。しかし『Leica SL2』と『Leica バリオ・エルマリート SL24-90mm F2.8-4.0 ASPH.』はミラーレス機材でも大柄かつ重い種類で、手ぶれを考えるとこの重量はどうしてもネガティブな要素に思えてしまうのだが、撮影して驚いたのがボディ内手ぶれ補正の効きの素晴らしさだ。このカットは焦点距離56mm・シャッタースピード1/30秒で撮った一枚だが、前モデルの『Leica SL』で撮影をしたことがある方なら「ブレずに撮るのは結構難しい」とお分かりいただけるだろう。ところが『Leica SL2』の5軸5.5段の手ぶれ補正はこの状況をイージーなものに変えてしまう力がある。しかもライカSLレンズだけでなく、Lマウントアライアンスで互換性のある別ブランドレンズを使用した際にもこの手ブレ補正の恩恵を受けられるのは非常にありがたい。高画質なカメラであるからこそ、その性能を最大限に発揮できる性能も備わっている。これは大きな進化点と言えるだろう。
もう一つの頂点。
新たなフルサイズミラーレスシステムとして登場した『Leica SL』。ライカらしい質感と実力を兼ね備えたカメラであったが、破竹の勢いでシェアを伸ばす競合相手がいる中で少々不安な出だしに見えたのも事実としてあった。しかし気づけばライカSLレンズは現在8本、そこにLマウントアライアンスにて互換性のあるレンズが加わり、さらにマウントアダプターを使用すれば約170本のライカ純正レンズのラインアップが楽しめるシステムに成長している。そこへ登場した今回の『Leica SL2』はそれらのレンズ性能を最大限に引き出してくれるカメラとして進化を果たした一台だ。
最新のミラーレス機らしく動画撮影機能や連写機能、被写体認識AFなど先端技術を挙げればキリがないが、何より『Leica SL2』を使用して感じたのがシャッターを切るまでの操作のしやすさと、画質への徹底的なこだわりである。撮影のために必要最低限なボタンとダイヤルだけを残し、カメラを握る手の部分には一切ボタンが当たらないのは、人間工学に基づいた形状と、撮影に集中して欲しいという配慮からだろう。そして透明感すら感じるリアルな画を写し出してくれるのだ。
たとえ最新機能を詰め込んだとしてもライカのカメラはシャッターチャンスを撮影者に委ねてくれる。『Leica SL2』からもその考えをひしひしと感じることができた。画像ではなく写真にこだわりを持つ全てのフォトグラファーに使っていただきたい一台だ。『Leica SL2』は理想の写真を写し出す良きパートナーになってくれることだろう。
Photo by MAP CAMERA Staff