『貴婦人』と賞されるレンズがあります。Leica用のレンズ群はどれも素晴らしい金属加工を施され、工芸品よろしい光を放つものですが、その中でもこの初代Summilux50mmの美しさは『貴婦人』と呼ばれるにふさわしいものと思われます。繊細な金属ローレットの刻み、上質なクロムメッキの上品な輝き。では、その描写はと言うと…この麗しさ、これも貴婦人の名にふさわしいものでは無いでしょうか。
スペックで見れば、開放の明るさについ目を奪われがちですが、Summilux50mmの美点は実は繊細なその描写にあります。開放時のフレア描写に一段と優しさを感じさせているのが、じつはこの驚くほど繊細な描写力。同時期のSummicronなどの力強い描写と違い、繊細に対象を捉えていく水彩画のような美しさがSummilux50mmの真骨頂と言えます。
もちろん、開放で最短に近づけばこの描写。絞り値ごとの描写の個性を知っていれば、表現の幅も広がる事でしょう!
実に瑞々しい描写です。細かな線の描写に僅かにフレアが取り巻き、繊細ながら優しい印象の描写を実現しています。Summiluxは35mmが大変に人気がありますが、真摯に写真と向き合うレンズとしてなら、50mmも大変オススメできるレンズチョイスです。
いかがでしたでしょうか。総じてしっとりと湿度を感じさせる描写で、植物や人物、果ては無機物にさえも優しさを感じさせてしまうその描写力。ぜひ一度、お試しいただければと思います。
Photo by MAP CAMERA Staff
Leicalens-Report.