ライカの大口径標準レンズと言えばズミルックスシリーズに寄る所となるだろう。サイズや手にした時の重量バランスも良く、F2以上の口径を求めるのであれば安定して信頼出来るレンズである。初代、そしてブラッククローム仕上げとなった第2世代では1mだった最短撮影距離が70cmまで短縮され、より使いやすくなったのがこの第3世代。50mmの標準レンズでこの30cmというのはかなり大きな部分で、テーブルフォトやポートレート撮影でもかなり自由度が広がり人気のあるレンズだ。
夕暮れ時の撮影でも、F1.4というのは何とも心強い。フィルム時代ではISO400に1/15秒が撮影出来るボーダーになっていた故、たかがひと絞り、されどひと絞りなのである。
絞り:F2.0 / シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
新しい設計のレンズなので、コントラストや先鋭さは非常に高い。こうした遠景でも少し絞るだけでグッとシャープになる。
絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
前ボケも柔らかく丸くなり、嫌なクセは少ない。発色も良い事からとても使いやすいレンズとなっている。開放で明暗コントラストの強いシチュエーションではボケに強いクセが出る事が有るが、大半の状況であれば崩れる事の無い安定した描写を約束してくれる。ライカレンズのボケとピントの比較、その楽しみを存分に味あわせてくれるレンズだ。
絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
穏やかで柔らかいコントラストが魅力的なレンズだ。
絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/80秒 / ISO:800 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
ごちゃついた背景に強い光源が有るシーンだが、発色も美しく透明感が有り、ピント面からアウトフォーカスしていく様もとても品位が有る。こうした描写を見てしまうとズミルックスは薄暮が似合うレンズかとも思ってしまう。
絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/30秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
夕暮れの街には魅力的な被写体が多い。明るいレンズはそうしたスナップを存分に楽しませてくれる。
絞り:F2.0 / シャッタースピード:1/80秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
絞り:F1.4 / シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M + Summilux 50mm/f1.4 3rd-Model
レンズ自体がしっかりと太く、ピントリングも大きい為に使い勝手はとても良い。少し大柄のMデジタルボディともバランスが良く、まさに標準レンズといった印象だ。この次の世代からズミルックス50mmは非球面化されるが、滲みや収差を程よく残したこの第3世代も非常に人気がある。様々な表現が可能な安定の1本と言えるのではないだろうか。
Photo by MAP CAMERA Staff