コンパクト・ライカとして人気の”LEICA CL”、その専用レンズとして開発されたのがこの『Summicron C40mm/f2.0』である。軽量コンパクトを主眼に開発されたレンズだけあって、100gちょっとという 重量とサイズが非常に魅力的なレンズだ。それでいてF2.0としっかり大口径であり、またその広角すぎない40mmという焦点距離からも独自の魅力を持つレンズである。
モノクロフィルム時代に良く撮影していたレンズではあったが、デジタルで使用してその印象が少々変わった。以前は高コントラストのフィルムと組み合わせる事が多かった為に少々やわらかめかな、程度に感じていたが、デジタル機と組み合わせるとかなり柔らかい。もちろんデジタル機であればRAW現像時にかなりの調整がかけられる為、欠点ではなくこのレンズの個性として楽しむのが良いだろう。発色やトーンもかなり美しく、魅力的な描写である。
ハイキーに振っているが、フレアの出たその画面は独特なものだ。それでいて解像しているポイントはしっかりとある。決してコンディションの悪いレンズではなかったのだが、これは少々驚きである。
解像感を残しながら、それでいてとても柔かい収差のヴェールがかかる。
CLで使用すると更にコンパクトさが際立つが、やはり機材は手に収まるサイズで小型なのが望ましい。『Summicron C 40mm/f2.0』はコンパクトでありながら操作性が悪い事も無く、良くまとめられたレンズである。
『LEICA CL』用としては当初、開放F値を2.8に落とした『Elmarit C 40mm/f2.8』も計画されていた。しかしこの『Summicron C 40mm/f2.0』の価格とサイズ、そして描写性能の水準が高かった事から実際に発売される事は無かったという。それほど完成度の高いレンズなのだろう。デジタルボディとの相性はもちろん、CLとのセットでもぜひ使ってみて頂きたい1本だ。
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