LEICAD-LUX7
ライカコンパクトデジタルのスマッシュヒットモデル「D-LUX(Typ109)」が、更なる磨きをかけて帰ってきました。レンズフロントリングやコントロールリングなど、カメラを操ることを愉しむコンセプトはそのままに、Bluetooth常時接続や背面液晶のタッチパネル対応でより高機能に、マルチアスペクト対応で総画素数2177万画素とより高画質になった7代目の“D”『D-LUX7』のご紹介です。
コンパクトデジタルの最大の強みは、何といっても持ち運びの負担が少ないことではないでしょうか。唐突に出くわしたシチュエーションでも、直ぐに対応出来ることは、レンズ交換式と比較した際の大きなアドバンテージです。こちらの湖畔も急きょカメラを構えたカットですが、咄嗟の撮影であっても意図した場所にピンが置けて、プログラムオートに頼った形でも適正な露出で撮影することが出来ました。人の判断を加えずに予想以上に空の青が再現されたことも大きなポイントです。
港に停泊する海自の護衛艦をテレ端の75mmで撮影した1枚。コンパクトデジタルの望遠は少々描写が甘くなりがちですが、僅かに絞り込むことで右舷の上甲板の柵や、艦橋の通信機器などをシャープに捉えてくれました。
こちらもテレ端での1枚。繊細な色のグラデーションや、葉の葉脈の細かい描写、表面の艶、光の反射を忠実に描いてくれるので、撮影していても気分が乗ってきます。前述の取り回しの良さも相まって、軽快な撮影が可能です。
本製品はコンパクトデジタルの中では大型の部類に入る4/3型MOSセンサーと、「ライカDCバリオ・ズミルックス 10.9-34mm F1.7-2.8 ASPH.(35mm判換算で24-75mm相当)」という大口径ズームレンズを搭載しています。その強力なふたつの武器の恩恵から、柔らかいボケ味が堪能できます。
こちらは先代から一新された、“フォトスタイル”より、「モノクローム HC+」を選択して撮影したカット。シャドウが強調され、場を制圧する雰囲気を演出してくれました。モノクロ撮影を存分に楽しむことが出来るのも、ライカのカメラならではの醍醐味だと思います。
ワイド端では3cm、テレ端でも30cmの近接撮影が可能な本機。個人的には“寄れるズミルックス”という響きだけでも陶酔ものですが、特筆すべきはその撮影の容易さでしょう。高い視認性を誇る約276万ドットの高精細EVFでフレーミングするもよし、ハイレスポンスの3インチ、124万ドットモニターのタッチAFで感覚的に操作するもよし、使い手やシーンに合わせた多種多様な撮影が楽しめるのも「D-LUX」の大いなる魅力です。
夜間に工場や高速道路のJCTを狙ったカット、手持ち撮影にはぎりぎりの光量でしたが、強力なレンズシフト式の手ブレ補正機構を味方につけることで、多少ざらつきはあるものの何とか撮影にこぎつけました。勿論、軽量小型なボディの恩恵もあったことは特筆するまでもないでしょう。
“楽しい”という言葉を具現化したカメラ
撮影を終えてまず感じたこと、それは本機がもたらす圧倒的な撮影の“楽しさ”でした。 細部まで自らの判断で決めることが出来る、操作する悦び。先進技術を用いた高機能が実現する、圧倒的な安定性。軽量で小型、コンパクトなシルエットだからこその快適性。等々、撮影者を楽しませてくれる要素に富んだカメラであると感じます。 オートで撮影した画像も申し分ないのですが、冒頭でも触れたカメラを“操る”ことで得られる高い満足感には特別な感激が待っています。“より最適な、自分なりの設定で撮ろう”という思いは、ライカの提起する写真の本質や、カメラ本来の役割についても考えさせられ、皆様を他のカメラではなかなか味わえない境地へといざなってくれるでしょう。その小さなボディからは想像出来ない、大きな可能性を秘めたライカ『D-LUX7』。無類の喜びを是非実際に味わってみてください。
Photo by MAP CAMERA Staff