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Leica (ライカ) M10-P 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズマロン M28mm F5.6

LEICA M10-P


ライカ好きにとって「フィルムM型ライカのようなデジタル機があれば最高なのに」という理想をお持ちの方も多いのではないでしょうか。今回はその理想にもっとも近づいたプロフェッショナルモデル『M10-P』をご紹介いたします。

『M10』からの外観上の変更点としては“赤バッチ”と呼ばれているロゴが取り去られ、軍艦部には筆記体ロゴとウェッツラーの刻印が施されました。これは今までのプロフェッショナルモデルにも見られた仕様で、往年の名機を彷彿とさせるデザインと共にカメラとして主張しない方が良い写真が撮れるという考えを形にしています。機能面ではM型初となる背面タッチパネル液晶を初めて採用。そしてもっとも注目してほしい点は『M10-P』の驚くほど静かなシャッター音です。


Leica (ライカ) M10-P絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/30秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + ズマロン M28mm F5.6

フィルム機の頃から「ささやくような音」と例えられてきたM型ライカのシャッター音でしたが、デジタルに変わったタイミングでシャッター機構が縦走り金属シャッターへと変更になり、電動チャージも相まって多少大きくなったと感じます。これが『M10』では“チャッ”という歯切れの良い音へと変わり非常に好印象だったのですが、今回の『M10-P』ではさらなる静音性の向上を体感できます。もしかしたらフィルム機よりも音が小さいのでは?と感じるシャッターはスナップを得意とするライカにとって、何よりも大きな進化点と言えるかもしれません。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/180秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズマロン M28mm F5.6

かなり日差しの強い日だったこともあり、屋外でのスナップでは『ズマロン M28mm F5.6』を中心に使用をしました。最新のレンズと比べると開放F5.6という暗い復刻レンズではありますが、その写りは非常に優秀。開放からコントラストと解像力が高く、階調表現も豊かです。逆光だと派手に周辺光量が落ちますが、それもレンズの味として使用できます。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F2.2/ シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M10-P +タンバール M90mm F2.2

こちらは復刻された『タンバール M90mm F2.2』で撮影した一枚。ソフトフォーカスの写り味は仕上がりイメージが明確でないとなかなか使い方が難しいレンズでもあります。タンバールの描写はフワフワとしてピントがどこに来ているのか分からないイメージがあるかもしれませんが、実は開放から繊細なピントの芯が存在しています。しかし薄いピントの山を持つ90mmをレンジファインダーで正確にピント合わせするのは至難の技。
その点でいうと『M10-P』のライブビューを使用した撮影方法は非常に効果的です。ライブビューはフォーカスピーキングに加え、拡大機能も備わっているのですが、『M10-P』はピントを合わせたい所をダブルタップすると瞬時にポイントを変更することができるようになりました。これにより正確なピント合わせが素早くできます。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/180秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P +ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F2.2/ シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P +タンバール M90mm F2.2

こちらも『タンバール M90mm F2.2』で撮影した一枚。薄いヴェールを掛けたような描写の中にあるピントの芯がお分りいただけるかと思います。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F2/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

全てが、直感的であること。

当初はタッチパネルの採用に疑問を抱いていた筆者でしたが、使用してみると「なるほど」と納得させられました。設定や撮影など全てタッチパネルに頼るカメラとは違い、『M10-P』のタッチパネルは必要最低限。しかも画面の拡大やフォーカスポイントの移動など、ボタンやダイヤル操作だと面倒な部分を上手にカバーすることで直感的な操作性を実現しています。

ピント合わせも含め、もともとアナログ操作が多いM型デジタルではありますが、その分シャッターチャンスをカメラに委ねることなく意のままに写真が撮れる一体感はこのタッチパネルの採用によりさらに向上したと感じました。

全ては一瞬を切り取るために。『M10-P』は写真を撮るための意義のある進化を遂げたカメラだと言えます。


Leica (ライカ) M10-P

絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/500秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P +ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.


Leica (ライカ) M10-P

絞り:F2.2/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:400 / 使用機材:LEICA M10-P +タンバール M90mm F2.2


Leica (ライカ) M10-P
絞り:F0.95/ シャッタースピード:1/125秒 / ISO:200
使用機材:LEICA M10-P +ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.

このカットは『ノクティルックス M50mm F0.95 ASPH.』を使用し、タンバールと同じようにライブビュー機能を使用して撮影しました。このようなピントの薄いレンズは撮影後にピントチェックすることが多いと思いますが、その際もタッチパネル液晶は効果的で、スマートフォンのように再生画面を指先だけで拡大縮小することができます。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズマロン M28mm F5.6

高いコントラストの中に豊かな階調を感じる描写はレンズのみならず『M10-P』のセンサー性能の高さを伺わせます。まるでCMOSセンサーとCCDの良いとこ取りをしたような写りです。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F4/ シャッタースピード:1/750秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.


Leica (ライカ) M10-P

絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/60秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

路上に停まっていたドイツの名車をスナップした一枚。使用したレンズは『アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.』です。全カメラレンズの中でも指折りな光学性能を持つ本レンズは、『M10-P』のセンサー性能を余すことなく引き出してくれるレンズです。


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F5.6/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.


Leica (ライカ) M10-P 絞り:F2.8/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200 / 使用機材:LEICA M10-P + アポズミクロン M50mm F2.0 ASPH.

日陰からこちらを見つめる猫。

『M10-P』のセンサーは、前面に配置されるマイクロレンズのオフセット角度などライカMレンズの特性に合わせた角度で作られており、通常1.5〜2mmと言われているカバーガラスは1mm以下まで薄くするなど、色や解像感だけでなく、レンズそのものの画質を最優先に考えて作られた特注のCMOSセンサーが搭載されています。

毛並みの1本1本までよく分かる解像感と立体感は画素数以上の描写力を感じます。


Leica (ライカ) M10-P

完成の域に達した、デジタルの“M”

ライカのアイデンティティを脈々と引き継ぐM型ライカ。「良い写真を撮るため」というテーマを徹底的に考え、そして余計な要素をそぎ落とし、現代の技術で作られたのが『M10-P』なのだと感じました。他のデジタル機のような目を見張る新機能はないかもしれませんが、目立たない事、音が小さい事、直感的である事、そしてレンズ画質に対して忠実である事が何よりもライカにとっては大きな進化点です。

もともと完成度の高い『M10』をベースに“Professional”の称号を与えられた『M10-P』。つらつらと追加機能や向上した性能を説明しましたが、やはり本機の持つ一番の魅力は“ライカらしさ”だと感じます。憧れと理想をうまく調和し、純粋に撮影に向き合える。全ての感覚がリアルで、道具でありながら体の一部のように扱える。他のデジタル機を最新の自動車に例えるなら、『M10-P』は軽快なバイクに乗っているような印象です。

ぜひその手でシャッターに触れ、『M10-P』の持つライカらしさを体感してください。このカメラでなければ撮れない世界があると感じるはずです。

Photo by MAP CAMERA Staff














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