中判デジタル一眼レフ『LEICA S(Typ007)』の魅力をお伝えするフォトプレビュー第3弾。今回は寄れる中望遠レンズ『APO MACRO SUMMARIT-S 120mm F2.5』をご紹介します。30mm、70mm共に素晴らしい描写のレンズでしたが、最も中判フォーマットの“うまみ”を感じられたのが本レンズです。まずは絞り込んで遠景のカットなのですが、まるでCGのような圧倒的な表現力に驚きました。恐ろしいほど良く写るレンズ、というのが私のファーストインプレッションです。
鈍い輝きをみせる建物の外壁。なだらかに沈んでいくグレートーンの表現が見事です。
さすが中判フォーマット、ハイキーでの撮影でも驚異的なハイライトの粘りを見せてくれました。そして拡大して確認してみると細いワイヤーの編み込みまで写し出しているのがわかります。
絞り:F2.5/ シャッタースピード:1/250秒 / ISO:200/ 使用機材:Leica S (Typ007) + APO MACRO SUMMARIT-S 120mm F2.5
F2.5絞り開放での撮影。記事前半の絞り込んだ写真とは印象が違い、解像感はありながらも、どこか繊細さを感じる描写です。
本レンズは非球面レンズを使用していないこともあって、ボケ味が硬くならず、前ボケ、後ボケともに美しい表現です。
水辺にいた白鳥が羽を広げた瞬間にシャッターを切った一枚。薄暗くなってきた景色に白鳥の白さが際立ちます。しっとりとした写り味と羽のやわらかな表現は、さすがライカレンズというしかありません。
信号待ちのXL883をスナップ。F2.5ですが中判の120mmということでフォーカス部の解像感と前後のボケ味とのバランスが絶妙です。
絞り開放付近と絞り込んだ時の画作りの違いが楽しめる『アポマクロズマリットS 120mm F2.5』。しかし描写全域で言えることは、エッジが立つようなカリカリの写りになりすぎず、高い解像感の中にも繊細さを感じるレンズです。ライカレンズのみならず、今まで私が試してしたレンズの中でも絶妙な描写バランスのレンズだと思いました。
また、オートフォーカスからダイレクトにピントリングを回してマニュアルフォーカスになる仕様も使いやすいですね。特にマクロ域での撮影で効果を発揮してくれることでしょう。
『アポマクロズマリットS 120mm F2.5』はライカSを使う凄みを感じさせてくれる1本です。 これはいいレンズですね。使用しているといい写真が撮れる気持ちにさせてくれるレンズです。
Photo by MAP CAMERA Staff
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