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LEICA SUMMILUX M90mm F1.5 ASPH.

2021年02月18日

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    レンジファインダーの特性上、望遠になればなるほどシビアなピント合わせが求められることもあり、どうしても90mmのレンズは手が出しづらいというのが正直な所かもしれません。しかし新旧のレンズラインアップを見るとエルマー、テレ・エルマリートなど描写力に優れた銘玉が多いのも事実で、多くの写真家が愛してきた画角ということに納得ができるはずです。そんな90mmに約一年前新たなレンズが加わりました、その名は『ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.』。開放F値がF1.5のためズミルックスの名ではありますが、このレンズの光学設計と構造は「ライカ ノクティルックスM f1.25/75mm ASPH.」と非常によく似た作りをしており、被写界深度は「ノクティルックスM f0.95/50mm ASPH.」の半分程度しかないという特異なレンズになっています。果たして狙い通りにピントが合わせられるのか、いささか不安ではありますが いざとなればLVを使えるのがCMOSセンサー機の強い所。その描写をご覧いただければと思います。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/2000秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    撮影をして見ると写りに透明感があると言えばいいのでしょうか、被写体までの間に嫌な雑味が一切ないようなクリアな描写と立体感に素直な背景ボケ。まだ午前中の少しキラキラした光加減がしっかり表現されています。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    まず弱音を吐いてしまうと、二重像を使ってでの本レンズのピント合わせはとても難しかったです。というよりは開放時の被写界深度の浅さで動いている被写体を捉えるにはある程度練習が必要だと感じました。しかし被写体をうまく捉えることが出来たときの画の完成度は素晴らしいの一言。90mmにしてF1.5という大口径らしい立体感とボケの描写を見せてくれます。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/4000秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    開放絞りのまま露出オーバーも気にせず逆光を撮影してみましたが、こういう高解像度だけではない描写はさすがライカだなと感じます。光と溶け合わさっていくようなボケにはうっとりしてしまいます。若干のフリンジは出ていますがこのくらいで抑えられるのであれば非常に優れた性能ではないでしょうか。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

     

    絞り:F2.8 / シャッタースピード:1/90秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    木漏れ日が射す渓谷。人気のある場所だと聞いていましたが時間帯の問題でしょうか。私以外には1人、2人とパラパラと見かけるだけで、暫しの間騒音のない散策を楽しめました。その時の静けさというのか穏やかな時間をそのままそっくり写し出してくれています。ほんの少し絞ったのですが、遠景ながらキリッとしたシャープ感と立体感が両立された素晴らしい画になりました。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    しゃがみながらこの接点距離だとファインダーで撮影することは困難な為、この1枚はライブビューで撮影しました。最短より少し遠めですが、驚くようなピント面のシャープさとボケ味です。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/1500秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    沢山の仕事帰りの人で溢れかえるホーム。その中で光を浴びて輪郭が際立っていたお二人にピントを合わせてみました。これだけごちゃごちゃした画の中でも誰を主役にしたのかが一目でわかる素晴らしい写りです。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/350秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/750秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    こうして面でピントの山を追ってみると本当に薄い被写界深度だということを実感します。だからこそ被写体が引き立つ独特の世界が生まれるということでしょう。この魔性的な描写はやはりポートレート撮影において輝くものです。

     

    絞り:F1.5 / シャッタースピード:1/1000秒 / ISO:100 / 使用機材:LEICA M10-P + ズミルックス M90mm F1.5 ASPH.

     

    今回の撮影で一番上手にピントを合わせる事が出来た1枚です。この写りを見せられては習得コストがかかったとしてもこのレンズを使う意義はあるなと感じさせられます。被写体を美しく魅せることに関しては完璧なレンズだと思います。

     

     

    魔性の90mm

    使いこなすのは難しいですが、当たった時の画力は想像以上。ライカは本当に悩ましいレンズを出して来たなと思わずニヤリとしてしました。スナップならまだしも、ポートレートなどで確実にピントピークを合わせるのであれば、EVFファインダーのビゾフレックスを装着するか、もしくは『ライカ SL2』での使用がいいかもしれません。久々に使い手の技量と慣れが必要なレンズだと感じました。

    しかしながら、その描写力は唯一無二と言っていいほど魔性に満ちた魅力的なもの。ズミルックス名ではありますが、外観、構成、特性などノクティルックスと同列のレンズと考えていいでしょう。ライカレンズ歴史に新たな1ページを刻む素晴らしいレンズでした。

     

    Photo by MAP CAMERA Staff

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