他に類を見ない独創的かつスタイリッシュなデザインが目を引くライカTLシステムから、新たに『Leica TL2』が発表されました。
2014年に基盤となる『T(Typ701)』が発売され、2016年にはマイナーチェンジモデルである『TL』が発売されたライカTLシステム。TからTLではほとんど変化がありませんでしたが、今回のTL2では高画素化、4K動画記録を可能とする動画性能、AFスピード及びAF精度の向上等、様々な点で大きな進化が見られました。
特に1630万画素から2424万画素になったことは、既にTやTLをお持ちの方はもちろん、画素数の少なさにより購入を踏みとどまっていた方にとってかなりの朗報なのではないでしょうか。
今回のKasyapa for Leicaでは、島根県へと足を運びました。
1泊2日の旅行で持って行った機材は、『TL2』『ズミクロン TL23mm F2.0 ASPH.』『バリオ・エルマー TL18-56mm F3.5-5.6 ASPH.』の3点。カメラ1台、明るい単焦点レンズ、小回りの利く標準ズームと旅行にはちょうどいいラインナップですが、いずれの機材も小型・軽量だったため、嬉しいことに機材の持ち運びは小さなショルダーバッグ1つで済みました。特にこの暑い季節に重い機材を持ち運ぶのは大変ですから、TLシステムの携帯性の良さはとてもありがたいです。
冒頭の写真は、出雲大社から歩いて30分ほどのところに位置する稲佐の浜で撮影をした1枚。
TLシステムの象徴でもある見やすいフルフラットの大型タッチモニターは、感度が大幅に向上。そのため、構図決めもピント合わせも今までと比べて非常にスムーズに行うことが出来ました。
今までのTLシステムからさらに進化したAF性能。画像処理エンジンはライカSLと同じ『LEICA MAESTRO II』を採用しています。
さらに、新開発の電子シャッターはシャッター音を消すことができるため、こういった厳かな場所でも周りを気にせずにシャッターを切ることが出来ます。これはかなり嬉しい進化ですね。
この日の天気は曇ったり晴れたりと忙しかったのですが、曇りでもしっかりと良い写真を残してくれるのがライカの良いところです。
むしろ、晴れのときよりも曇りのときの写りの方が好きかもしれません。ライカ独特の湿度のある写りと、被写体の存在感を何倍にも引き出すその圧倒的描写力。ライカでしか味わえない写りが、そこにはあります。
こちらは冒頭でご紹介した稲佐の浜にある、大きな岩…ではなく、弁天島という小さな島です。昔は稲佐湾のはるか沖にあったとされていますが、砂浜が広がったことにより、今では海に入らずとも触れる位置にいます。
この日はあまりの暑さからか周囲にほぼ人がおらず、真ん中にぽつんとたたずむ弁天島が一際目立っていました。
ガラス越しに撮影したとは思えないほどに鮮明な写り。熱い鉄板の熱気が、画面越しに伝わってくるようです。
こちらの撮影に使用したレンズは『バリオ・エルマー TL18-56mm F3.5-5.6 ASPH.』。ライカTLの標準ズームセットに付属しているレンズですが、ライカの標準ズームはやはり写りの質が段違いです。標準ズームといって侮ってはいけません。
ライカTL2にはレンズセットがありませんので、最初どのレンズを買おうか迷ったらこのレンズを選択肢に入れられることをおすすめいたします。
内蔵メモリーはTLに引き続き32GB。連写をしない方であればSDカードいらずの安心の大容量です。
また、専用アプリを使用すれば簡単にスマートフォンに接続することも可能。最近はわざわざ専用のリモコンを買わずともアプリがリモコン代わりになってくれるので、便利な世の中になったなと感じます。
今回の旅行で泊まった宿は、出雲市と松江市にまたがる位置にある宍道湖の目の前。オーシャンビューならぬレイクビューが楽しめるお部屋でした。
鏡面のようになっているおだやかな宍道湖に、波紋を描くボート。宍道湖はしじみで有名なので、しじみを獲りに行くところでしょうか。ずっと眺めていたくなるような、素敵な光景でした。
本機と時を同じくして発表されたのが、Mレンズアダプターのシルバーカラーです。
今までブラックのみのカラー展開だったので、TLシステムのシルバーカラーを既にお持ちの方、そしてTL2のシルバーカラーの購入を検討されている方には嬉しいニュースです。
ライカTL2を最初に見たとき、「ん?」と一瞬違和感を覚えたのですが、しばらく経ってみて内蔵フラッシュが無くなっていたことに気が付きました。
フラッシュが無くなったことにより、軍艦部はよりシンプルに。また、録画ボタンであることを示す赤い指標も消えてボディに合わせたカラーリングに統一されたため、より一層Leicaの赤いロゴが目立ちます。
そして、今までアルミニウムの塊であることを象徴するかのように無機質な作りをしていましたが、隅が面取りされたことで素材の主張が少しやわらぎ、その分カメラとしての主張が強くなったような気がします。
個人的には今までのそのままインテリアに出来そうなくらいに格好良いTLも好きでしたが、TL2の方が持ち運びやすいと言いますか、このカメラで撮影をしたい、という気にさせてくれるのも事実です。形が少し変わっただけでここまで意識が変わるものなのかと、自分自身驚きました。
まさに「機能美」という言葉がふさわしいライカTLシステムは、今後どういった進化を遂げていくのでしょうか。
一風変わったデザインが目を引くカメラなだけに、その先は到底予想できません。だからこそ、楽しみでもあるのです。
Photo by MAP CAMERA Staff